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今年の「ネアリカ大賞」は、誰の頭上に栄冠が輝くか!
(まだ今年しかやってねえじゃん)
レコード大賞やグラミー賞やノーベル賞より重要なので、選考委員会やゲスト審査員も公平をきすのに精一杯だ。
(選考委員会やゲスト審査員をつとめているオレも緊張する)
中国製のハイテクノートブック「根在処(ねありか)学習帳」には、膨大なデータが記録されている。それらを綿密に検証して、栄えある
「ネアリカ大賞」を決めるのだ。
作品ナンバー1「鹿のカムイ」
サイズ 50号キャンバス(116,7cmX91cm)
初日と最終日 わけらな〜い(亜米利加人風に)
所要日数 うぉけるね〜い(英吉利人風に)
参加人数 わがんね(栃木人風に)
参加ボランティア チーフ健一郎(栃木)。小嶋剛成(栃木)。小嶋ヤスコ(栃木)。青山美幸(千葉)。在=城間正美(沖縄)。加納秀一(埼玉)
発明 青山美幸「みゆきグラデーション」(上部の大きな目の白目部分。暗い色から明るい毛糸を2飛んで1の規則でグラデーションさせる)
作品ナンバー2「太陽のカムイ」
サイズ 120号キャンバス(194X130,3)
初日と最終日 9月27日〜10月20日
所要日数 12日
参加人数 37人(複数日参加や毎回参加のオレもふくむ合計)
参加ボランティア 矢口明子(東京 2回)。増田勝俊(東京 4回)。西久保美和(京都)。高橋五月(千葉)。半田瑞穂(神奈川)。チーフ・健一郎(栃木 2回)。山岸耕太(埼玉 2回)。吉井三智(東京 2回)。佐川一政(神奈川)。川島清子(東京)。素樹文生(東京)。望月俊彦(東京)。深津有美(栃木)。下司晶子(栃木)。貝塚克子 あゆこ(東京)。君野倫子 里佳子(東京)。河村真友子(東京)。斎藤文武(神奈川)
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発明 吉井三智 「多色毛糸」(下部の背中のつながった双子の胎児。1本に何色かはいっている毛糸を使う)
作品ナンバー3「蝶のカムイ」
サイズ 120号キャンバス(194X130,3)
初日と最終日 10月21日〜11月4日
所要日数 7日
参加人数 32人
参加ボランティア 桜井明子(千葉 2回)。半田瑞穂(神奈川)。増田勝俊(東京 2回)。西久保美和(京都 3回)。斎藤文武(神奈川 2回)。大野香奈(兵庫 3回)。矢口明子(東京)。上原信幸(栃木)。上原春美(栃木)。榎本由紀(埼玉 2回)。杉本奈美子(東京)。池澤雪子(神奈川)。西沢純子(神奈川)。小嶋ヤスコ(栃木)。小嶋剛成(栃木)。吉井みち(東京)。やじろべえ(東京)。
発明 西久保美和 「みわメソッド」下部の眠る子ども部分。(毛糸を細かくほどき、まるで絵の具のような繊細さを出す)
発明 大野香奈 「かなメソッド=ぐるぐるメソッド」(微妙にちがう色を円周上に貼ることによって、網膜上で円をぐるぐるダンスさせる)
作品ナンバー4「牛のカムイ」
サイズ 120号キャンバス(194X130,3)
初日と最終日 11月23日〜12月7日
所要日数 10日
参加人数 34人
参加ボランティア 青山美幸(千葉 2回)。明田清美(大阪)。増田勝俊(東京 2回)。小芝裕子(東京)。明田清美(大阪)。半田瑞穂(神奈川)。毛利亜子(東京)。中野亜季子(横浜)。吉井三智(東京 2回)。玄(東京 2回)。河村真友子(東京)。美智子(愛知 2回)。オオタケアヤ(東京)。西沢純子(神奈川 2回)。斎藤文武(神奈川)。桜井明子(千葉)。michelle(東京)。中西かよこ(東京)。
発明 半田瑞穂 「お好み焼きメソッド」(多色の毛糸をほどき、お好み焼きのように盛り上げる)
発明 西沢純子 「混血メソッド」下部の牛のからだの地図部分。(毛糸をほどき、ちがう色とより合わせて新しい色をつくる)
作品ナンバー5「梟のカムイ」
サイズ 120号キャンバス(194X130,3)
初日と最終日 12月15日〜12月29日
所要日数 9日
参加人数 46人
参加ボランティア 榎本由紀(埼玉 2回)。杉田直子
(東京 2回)。増田勝俊 (東京 2回)。毛利亜子(東京)。素福 (東京 2回)。大野香奈(兵庫)。鈴木久仁子 (東京)。河村真友子(東京)。美智子
(愛知2回)。沢田翠(東京2回)。ハルカ (東京 2回)。西久保美和(京都 2回) 。からくり半蔵(東京 2回)。石田明日香(神奈川)。小嶋ヤスコ(栃木)。岸愛子(神奈川)。吉井三智(東京)。斉藤文武(神奈川)。やじろべえ(東京)。戸嶋真弓(東京)。オオタケアヤ
(東京)。生形由香 (東京)。高橋五月(千葉)。素樹文生(千葉)。安藤美里(東京)。名取和宏(東京)
発明 ハルカ 「ケバケバ埋め埋め」(はさみで切った毛羽立ちをピンセットをくるりとやって埋めていくテクニック)
苦しくったって
悲しくったって
毛糸のなかでは平気なの
( 「アタックナンバー ハマナカボニー404赤」より)
審査委員長としては、まず52人のネアリカン(参加ボランティア)による血と汗と涙と温泉のドラマに感動する。
今年最後のネアリカンを終えた高橋五月の報告によると、昨日の足尾温泉では3人の美女たちが素っ裸で野性にかえり、露天風呂の岩のうえにならんで雄大な山を眺めていたそうだ。
毎回それぞれ初対面の出会いとドラマがあるんだよね。
さあ今、司会者の手に各賞の審査結果がわたされました。
オレの手は、結婚式の電報みたいにゴージャスなカードをひらく。
「それでは各賞に選ばれたかたは、ステージまでおこしください」
会場のびろうど椅子に座るネアリカンの緊張が伝わり、紅潮した手をぶるぶる震んながら叫ぶ。
「最多参加賞10回、増田勝俊!」
会場から拍手が沸き起こり、ほほを京劇役者のように紅潮させたとっちゃんが壇上で表彰状を恭しく受け取る。
「マイナスイオン賞は、5回の参加の斉藤文武さんです!」
もと引きこもりだった文ちゃんが、ぬくっと立ち上がると、大観衆の拍手につつまれる。
「癒し賞は、6回参加の三智さんです!」
プロの指圧師三智は、38回のセッション全部に参加して腰を痛めた審査委員長を治療してくれた。
「それでは審査員特別賞を発表します」
これこそ「最も印象深かった」ネアリカンの最高峰である。
「肺ガンをネアリカンの祈りで直してしまった矢口明子さんです!」
チューブの取れたばかりの明子さんが車いすに乗って壇上に登場すると、会場から「アキコ、アキコ」とシュプレヒコールがわき上がる。明子さんは肝臓から摘出された腫瘍を会場に投げる。
「人生なんて、六苦ん六得るだぜ」
「ただいま視聴者からの人気投票がはいってまいりました」
司会者が息をのむ。
「さあ、5作のなかからベストワンに選ばれるのはどれでしょう?」
オペレーターガールたちが電話やファックスやメールの集計からベストワンを選出していく。
処女作「鹿のカムイ」が意外に人気を保ち、「太陽のカムイ」のファンも多い。最新作「梟のカムイ」が「蝶のカムイ」に追い越された。残るは「蝶のカムイ」と「牛のカムイ」の一騎打ちだ。両者とも引かない。「再生」と「母性」のファンは同じようでありながら一歩も引かないのだ。
「投票結果を読み上げます。わずか3票差で、ベストワンは牛のカムイに決定しました!」
会場が割れんばかりに拍手につつまれる。
「それではいよいよ、ベスト・オブ・ネアリカンの発表です」
壇上に7人の発明者が呼ばれ、会場が嵐の前の静けさに沈黙する。
「みゆきグラデーション」の青山美幸、
「多色毛糸」 の吉井三智、
「みわメソッド」西久保美和、
「かなメソッド=ぐるぐるメソッド」の大野香奈、
「お好み焼きメソッド」の半田瑞穂、
「混血メソッド」の西沢純子、
「ケバケバ埋め埋め」のハルカ。
全員女性というのも興味深いが、ウィチョル族も考えつかなかったテクニックを発明したスーパースターである。
審査員の票は初代のグラデーションを発明した青山美幸に集まったが、ぎりぎりのところで逆転劇が起こった。
「ベスト・オブ・ネアリカンは、京都からきた西久保美和さんです!」
会場が沸騰した鍋のように沸き立ち、6人の発明とともに西久保の栄誉を讃える。
いったいだれが、30時間連続で毛糸を貼れるのだろう。
しかも猫アレルギーでマスクをかけて。
ネアリカン52人壇上にあがった。
全員が手をつなぎ、会場に頭を下げる。
誰もがひとりひとり地球のネイティヴ、
そして勇者 だ。
わけのわかんない毛糸絵画の創作に参加し、
素晴らしい作品をつくってくれた。
この輪は来年も広がっていくだろう。
ウイチョル族が教えてくれた
「Respect=他者を敬う」
という毛糸の波紋が世界に広がっていくといいな。
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