下にいくほど新しくなっています

1 february(sat)
23 resonant monkey moon

 明日トトチョフの一回忌があるので、妹とその子どもたちと墓を掃除しにいった。
 3歳のしゅぼじい(周次郎)は「杉じい(トトチョフ)んとこ遊びにいこうよ」とせがみ、8歳のりぼじい(凛太郎)は自分の描いた絵をトトチョフに見せようと持参した。
 泣かせるじゃないの、
  子どもは死者と生者を「差別」しない。
 30分もあれば終わるだろうと軽い気持ちで出かけたが、墓場について愕然とした。
  墓は完全雪の中!
 泣き虫山の北側斜面にあるため、太陽がさえぎられてしまうのだ。
 雪をシャベルでかき分けながら進む。運悪く、うちの墓は遠いはずれにあんのよ。とうてい地面にとどくまで掘れないので、柔らかい部分だけを掘って踏み固める。
  ようやくうちの墓にたどり着き、雪を払うが、氷のため茶碗は割れているし、花瓶も抜けない。
 3時間もかけて雪下ろしを完了した。ネアリカで痛めた腰が、この重労働によって激痛をおぼえる。
 うちのとなりに親戚の墓が2つならんでいる。
 なんとなくひとすくいしてしまう。
 はっ、しまった! こんなシャベル跡を残したら、「やろうとしたけど、やっぱりやめた」という意志がバレバレじゃないか。
  ああ、痛恨のひとすくいである。
 しかたなくもう1時間かけて、2つの墓の雪を下ろした。

  墓というのは「共同幻想」である。
 慣習を宗教ビジネスが利用し、畳一畳もないスペースを何百万も払って買わされる。
 (いったいオレの雪かきはなんだったんだ)
 アボリジニは住居の下に死者を埋め、死後も会話をつづけていた。(合理的だなあ)
 古代ギリシャでも早世した子どもは玄関や十字路に埋める。女性がまたぐ場所に埋めると魂が股間からはいり早く転生すると言われている。
 メキシコには11月のあたまに「死者の日」というのがあって、家族親戚が墓場で飲めや歌えやの宴会で1夜を過ごす。いってみれば、お盆のラテン版だ。骸骨グッズが町にあふれ、墓場で酔っぱらい、死者と遊ぶのだ。
 墓場は死者を隔離した老人ホームの延長だが、そこで遊べば「デスニーランド(DEATH NEAR LAND)」になる。
 墓場は、バーチャルな死者の国へアクセスするためのプロバイダーであり、 墓石はアンテナなのだ。
 うちの仏壇は、祖父母、松吉とトヨ、ババチョフとトトチョフの位牌や写真とともに、アシリ・レラ(山道康子)さんが刺繍した敷物やアマゾンのパブロ・アマリンゴさんの絵や、サントダイミー教会のバッジや、縄文土器などが飾られている。
 朝起きて、まずアクセスするのは、仏壇。
 扉を開け、死者に話しかける。
 「迷信マニア」といわれてもけっこう。
 死者たちにとっていちばんうれしいのは、「思い出してもらうこと」なのだと、勝手にオレは信じている。
 不細工な毎日を生きるオレにとっても精神安定剤だし、
  「創作」の根元は「迷信」にあんじゃないの。
 矛盾しまくってるけど、
 「どれだけ自分の迷いを信じられるか」ってことさ。

2 february(sun)
24 resonant monkey moon

 トトチョフの一回忌をおこなった。
 2月12日の命日でもう一年。いろんなことがありすぎて、あっというまである。
  15分間のお経で5万円取られて、ひとり3回白檀をふりかけるのを1回に省略され、雪と泥で下駄箱が汚れるから靴はぬいだまま。
 悪名高いケチ坊主は檀家から嫌われている。税金も払わねえくせに、自家用ヘリコプターまでもっていると言うから驚きだ。跡継ぎの息子はフェラーリをはじめ、隠れ車庫には名車がずらっと並んでいるという。
  哲学クラブでちーぼー(ネアリカン)が書いたレジメによると、仏教は本来葬式をしないそうだ。

 「マハー・パリ二ッバーナ経」(大般涅槃経 だいはつねはんぎょう)
 お釈迦さまは、自分の秘書官であるアーナンダに次の様な指示を仰いだ。
「自分の葬式は在家の人間がやるので、おまえたちはそんなことにかかわらず修業せよ」
 つまり、お葬式は宗教の問題ではないと言っている。
 今でも南都六宗といわれる奈良の寺院では、お葬式は一切やらない。
 では、なぜ日本のような「葬式仏教」が生まれたのか?
 *お坊さんが本格的にお葬式を始めた時期と理由
 時代:江戸時代  理由:キリシタンの取り締まりのため
 檀家制度…キリシタンでないことを証明させるために、日本人全員をお寺に登録させた。
      つまり、お寺が役所の戸籍係と同じ役割を担っていた。
      「宗門人別帳」によって、 寺の檀家であることを証明し、
      その証明がない限りキリシタンだと疑われる制度。
 キリシタンにとって、「死の秘蹟」という考え方があるので、キリスト教式のお葬式が重要性を帯びる。
 よってお葬式をチェックすればキリシタンの取締りができるので、幕府は仏教式の葬式をやるように命じた。
             ↓
 檀家が行う葬式を執行する権利を持った寺院は経済的な力をつけていく。
 役所的な役目も持っていたので、檀家に対して一種の権力を持つようになる。
 何かあれば「おまえキリシタンだろう。宗門人別帳から消すぞ」と脅かすこともできた。
 檀家はそのような脅かしを恐れて、派手に葬式をやらなければならなくなる。
 →“葬式仏教”の基礎が築かれた 

 いちばん極楽浄土にいけないのは、日本の坊主じゃねえの。

4 february(tue)
26 resonant monkey moon

 ネアリカを15日までキャンセルしいてもらい、「ケチャップ」の脱稿に集中している。
  ネアリカ終わって日記を書いて、そのあとちまちま「ケチャップ」を直していたのだが、ぜんぜんはかどらない。
  美術と文学では使う脳の部位がちがう。脳みそを完全にシフトしないとだめなのだ。
 オレの場合が特殊なのかも知れないが、
  言葉以前に映像が浮かび、
  そこに風の音や街の騒音など音声が聞こえ、
  汗の匂いや、
  食べ物や口に広がった血の味や、
  触覚や痛覚まで感じないと、その世界にはいったとは言えない。
 言葉がでてくるのはそのあとだ。
 魔法の鍵は手に入った。
 オレは今、80年代のアメリカにいて、
 手のつけられない不良少年だ。
 宅急便屋さんにナイフ突きつけないよう気をつけなきゃ。

 PSネアリカンの掲示板が今すごいぞ。

6 february(thu)
28
resonant monkey moon

 現代日本では「トキ」のように希少なジャンキー作家、中島らもさん(50歳)が逮捕された。
 自宅の居間から大麻たばこと冷蔵庫からマジックマッシュルームを押収されたという。
 らもさんはアル中とドラッグ中毒で手が震え、書くことはおろかキーボードも打てず、奥さんに口述筆記してもらっていた。
 あまりにも惨めな、あまりにも 廃人な状況で、あれだけユーモアに満ちた傑作を残してきたのだ。
 ゴッホが抽象画の一歩手前で踏みとどまったように、ジョン・レノンが「ホワイトアルバム」の最後にある「ナンバー9」の現代音楽にいかなかったように、
 「今生きている人を、つぎの時代へのジャンプ台に導く」
 それこそが、今を生きている作家の仕事だ。
 らも先輩、オレは目の前の日光警察署が踏み込んできても「潔白」だからだいじょうぶ。
 これから、 らも先輩は刑務所において、よれよれの文字で最高傑作を書くだろう。

7 february(fri)
1 galactic hawk moon

 マヤ暦が「銀河の月」にかわった。
 テーマは「わたしは自分の信じているとおりに生きているか?」
 キーワードは、「無欠性」、「調和させる」、「型どる」。
 シンボルである守護動物(トーテム・アニマル) はワシ。
 アドバイスは、「規範とする生き方、自分の理想像の形に合わせ、モデルになりきって行動する。個々の持ち場で必要とされる役割に専念する。個人の奉仕を活性化することが、関わる活動全体を調和に導く」。

 完全に小説家モードにはまっている。
 いつもは郵便局やコンビニに出かけると、図書館やスーパーに寄り道するのだが、1分でも早く小説世界にもどりたいので自宅へ直行する。
 テレビはおろか、メールやほかのホームページも見ない。(ネアリカンのメールだけはなるべく見るようにするが)
 どっぷりと「空想温泉」につかるのは至福だ。
 子どものころは 「空想温泉」で暮らしていたのに、直立歩行をおぼえてから入浴時間がどんどん削られていく。
 気がつくと、肌はカサカサに乾いて、作り笑いのしわは地割れのようにひろがっていく。
 オレは自分の信じているとおりに生きていんのかなあ?
「規範とする生き方、自分の理想像の形に合わせ、モデルになりきって行動する」なんて、むりじゃねえの。
 だいいち「規範」とか、「理想像」とか、わかんないもん。
 イラク戦争がはじまろうと、
 北朝鮮戦争に巻き込まれようと、
 太陽が爆発しようと、
  「空想温泉」は24時間営業している。
 料金は無料だが、
 タオルは自前でお持ちください。

9 february(sun)
3 galactic hawk moon

 衝撃的事実を知ってしまった。
 われわれが異性を選ぶ基準は、かっこいいとか、やさしそうとか、ユーモアがあるとか、話が合うとか、頭がいいとか、お金持ちとか、運命的とか、そんなもんだと思っていた。
 ところがどっこい、人間も動物も昆虫まで同じ基準で異性を選んでいたのだ。
 それは「シンメトリー」。
 アメリカの動物行動学者ソーンヒルがニューメキシコ大学でこんな実験をおこなった。
 42人の男性に新品のTシャツを2晩着て寝て(昼間は着ない)もらい、身体測定を受けさせる。左右の、耳、ひじ、手首、足首、指などを、0,01ミリまで厳密に計測され、シンメトリー(左右対称)度を割り出す。
  46人の女性に1枚一枚Tシャツを嗅がせ、いい匂いかを10段階評価してもらう。
 排卵期(月経開始を1日目として、6日目から14日目)の女性たちが「いい匂い」として選んだのは高いシンメトリー度をもつ男 たちだったのだ! もちろん低いシンメトリー度をもつ男 たちも的確に当てた。
 ところが排卵期以外と、ピルを使用していた女性たちは、シンメトリー男をまったく嗅ぎ分けられなかった。
 受胎率が高くなる(ピークは12日目)ほど、女性は男の匂いを嗅ぎ分けられるという。
 ソーンヒルは数多くの種を調べた結果、左右が非対称の動物は生存率も成長率も低く、繁殖しにくいということを発見した。シンメトリーということは、その人がウイルスや寄生虫などのパラサイトから代々身を守り、健康に心身を発育させてきた証拠となるのだ。
 これだけの説明じゃ納得できない方も多いだろうから、竹内久美子さんの「シンメトリーな男」(新潮社)をお勧めする。竹内さんの本は、いつも目からうろこなので、とくに女性には全冊読んでほしい。
 ちなみにハイヒールに男がエロティシズムを感じるのは、セックスのときエクスタシーに達した女性の足の形だからなんだって。
 もひとつちなみに 女が男の手に惹かれるのは(逆もしかり)、手足の指と性器は同じ「Hox遺伝子」によって形成されているからなんだって。

10 february(mon)
4 galactic hawk moon

 雨宮処凛(あまみや かりん)ちゃんが12日発売の「悪の枢軸をたずねて」(幻冬社)を献本してくれた。
 なにしろ初めての海外旅行が北朝鮮で、2回目がイラクという人もいないでしょう。おまけにもう北朝鮮は5回もいってる。
 処凛ちゃんの文章もうまくなっているので、抱腹絶倒だ。

 北朝鮮編。
 ピョンヤンでは夜の一定時間にいっせいに町の灯りを消す「管灯統制」をやっている。どう考えても電力不足からくる節電なのだが、彼らは、「アメリカの人工衛星に団結力を見せつけるため」と答える。
「はっ、ピョンヤンの電気がいっせいに消えたぞ! なんて恐ろしい統制力だ」などとアメリカ人が驚くのか!
 地下鉄のホームにはシャンデリアがさがっているし、高麗ホテルのトイレは50畳もあるし、 託児所では化粧をした子どもたちの歌攻撃にあうし、少年音楽家がドラムを演奏したあといきなり客席にブーメランを投げつけたりする。
 な、なぜ「ブーメラン」なんだ!
 みんなが麦飯で耐えているとき米を食べて死刑になった兵士が美談で語られてるのに、レストランには食料があふれ、キリンの一番搾りまでおいてある。もちろん一般市民はレストランには入れないが。
 「国の顔」であるガイドやスチュワーデスや女優などは国がただで整形手術をしてくれるし、プリクラもある。しかしシールには「同志」や「友情」などの文字がはいっていまうのだ。
 しまいに処凛ちゃんは、NHKのBS放送を見ている(一般市民は見られない)よど号の娘たちからモーニング娘の中澤が脱退したのを知らされる。
 すばらしい。
 これほどなにが出てくるかわからない国があったのか。グローバル化されるまえにぜひ旅したい。とくにドラムとブーメランというぜんぜん関係ない発想の飛躍が知りたいのだ。

 イラク編。
 なんどもイラクを訪れている新右翼一水会の木村さんの誘いで、反米パンクバンドをやっていた処凛ちゃんはイラクの音楽祭に出演することになる。
 アメリカによる経済制裁によって卵3つが一ヶ月分の給料というハイパーインフレにもかかわらず、イラク人は明るい。
 バスのなかでいきなり歌合戦がはじまったり、おじさんがシャツをまくって「乳首なめて」と言ったりする。
 インターネットカフェもあるが、レストランで料理を注文してから4時間後に運ばれてくる、のんびりしたお国柄である。
 床にブッシュ(父)の踏み絵がありそれを踏まないとはいれないホテルや、病院で劣化ウラン弾によるガンや白血病、奇形の子どもが激増しているのを目の当たりにして処凛ちゃんは考える。
「いったい悪の枢軸とはどこの国だ?」

 アメリカは二日間で3000発の
ミサイルを撃ち込むことを発表した。推定死亡者数は10万人にものぼる。
 処凛ちゃんは15日から「空爆阻止の人間の盾」としてイラクいりする。

11 february(tue)
5
galactic hawk moon

 宅急便に左手でサインしてると、「いやあ、器用ですねえ」と言われた。
 しょっちゅうなので慣れたが、考えてみれば失礼だよな。
 大人が自分の名前を書けてほめられるとは。
 しかもオレ、画家なんですけど。
 だめ押しすれば、スカトロ書道の書道家なんですけど。
 高齢者や障害者のバリアフリーはすすんでいるのに、左利きへの改善はまったくない。
 たとえば急須の取っ手はぜんぶ右なので、左手首を外側にひねって注ぐ技はたしかに「器用」というか、アクロバットに近い。
 シャツのボタンも、社会の窓も、冷蔵庫の取っ手も、フライパンの油を落とすくぼみも、缶切りも、刺身包丁も、ハサミも、テレビのスイッチも、ステレオも、電子レンジ、オーブントースターも、電話も、カメラのシャッタもー、自販機のコイン投入口も、自転車のスタンドも、キャッシュデイスペンサーのカード口も、ドアの取っ手も、ネジやキャップも、すべては右利き用につくられている。
 こういうことって右利きには気づかないでしょ?
 左利きはいちいち創意工夫を強いられ、否が応でも器用になっていく。
 同時に観察眼が訓練され、物品の構造や他人の行動なども、どうしたらベターかなどと条件反射で考える。
 右利きが当たり前のように享受する社会の常識を、一歩引いたところから日常的に検証してしまう癖がついちゃうのだ。
 欧米をはじめ、牧畜民族には左利きは多い。
 農耕のはじまりとともに左利きは駆逐されていった。鉄器時代以降に発明された「鎌」は、世界中でひとつも左利き用が発見されてない。
 集団で忍耐強く反復作業をおこなう農耕に、左利きはむかないのだ。だってひとりだけ反対方法に鎌をふりまわしてちゃあぶないし、独創性は秩序を乱す。
 弓で狩りや戦争をしていた時代には、左利きが多かったそうだ。今でも弓で狩猟生活を営む先住民には左利きが多い。狩りにはカンや独創性が必要だし、左利きが弓を構えると右半身がまえに出、心臓が敵や獲物から遠くなる。
 ルネッサンス3人男、ダヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロは、デッサンの線が左上から右下に流れるので、一目瞭然の左利きだ。
 アーティストでは、ピカソ、エッシャー、梅原龍三郎、いわさきちひろ、立花ハジメ、四谷シモンなど。
 政治家では、ジュリアス・シーザー、アレキサンダー大王、ジャンヌ・ダルク、ナポレオン、フィデル・カストロ、ロナルド・レーガン、ビル・クリントン、ジョージ・ブッシュ、チャールズ 皇太子とウィリアム王子、東条英機、石原慎太郎など。
 学者では、フロイト、アインシュタイン、エジソン、ビル・ゲイツ、荒俣宏、ピーター・フランクルなど。
 文学では、ルイス・キャロル、澁澤龍彦、瀬名秀明など。
  映画と演劇では、チャップリン、マリリン・モンロー、ジェームズ・キャメロンスパイク・リー、トム・クルーズ、キアヌ・リーブス、ニコール・キッドマン、シャーリー・マクレーン、ジュリア・ロバーツ、ゴールディー・ホーン、ダイアン・キートン、ロバート・レッドフォード、ダン・アークロイド、ピーター・フォンダ、スティーブ・マックイーン、アンソニー・パーキンス、ケイリー・グラント、市川団十郎、坂東玉三郎、辻村ジュサブロー、崔洋一、竹中直人、瀬戸朝香、杉田かおる、倍賞美津子など。
 音楽では、バッハ、ベートーベン、ポール・マッカートニー、リンゴ・スター、ジミ・ヘンドリックス、カート・コバーン、ジェームス・ブラウン、アート・ガーファンクル、アルバート・キング 、オーネット・コールマン、坂本龍一、石野卓球、ガクト、トータス松本、島谷ひとみ、古内東子など。
 スポーツ選手では、ボブ・サップ、アンディ・フグ、マラドーナ、ランディ・ジョンソン、アイルトン・セナ、 ジョン・マッケンロージミー・コナーズ、マルチナ・ナブラチロワ、ジャイアント馬場、大鵬、高見山、貴闘力、王貞治、石井一久、中村俊輔、辰吉丈一郎、伊達公子、
 タレントでは、 松本人志、デーブ・スペクター、筑紫哲也、稲垣吾郎など。
 番外では、ユリ・ゲラー、乙武、中坊公平(弁護士)、引田天功(二代目)など。

 以外だったのは、左利きの文学者が少ない。
 言語機能を司るのは左脳だからと思っていたら、ちがうんだって。

 右利き
 
左脳に言語中枢がある人は64%、
  右脳に言語中枢がある人は16%。
 左右の脳の言語中枢に差がない人は20%。

 左利き
  右脳に言語中枢がある人は46%、
 右脳に言語中枢がある人は22%。
 左右の脳の言語中枢に差がない人は32%。
(平凡社大百科事典「左利き」の項より)

  オレの文章が「視覚的」「音楽的」と言われるのも、美術や音楽をやってるからじゃなく、左利き的な脳の構造にありそうだ。
 顕在的な左利きは10%でも、潜在的左利きは半数近くいるらしい。
 日本のように極端な右利き社会(左脳偏重)では、シンメトリーへの渇望によって、左利き(右脳派)は反乱分子として噴出してくる。
 ぜんぜん科学的に根拠のない結論でしめくくってみる。
 右利き社会に適応できない君は、潜在的左利きの狩猟民族かもしれない。
 ここで危ないのは、右脳と左脳の二元論に分けちゃうこと。
 右脳と左脳が手を結ばなきゃ、新しい文化は生まれない。
 右翼と左翼で戦っていたのは、30年も前の話だ。
 右脳と左脳、
 右翼と左翼
 ふたりが「まぐあう」と、どうなる?
 「 中翼」(仲良く)なる。

12 february(wed)
6
galactic hawk moon

 今日の朝までぶっとうしで書いて「ケチャップ」が完成した。
 本にすると300ページの大作(オレにしては)である。
 さっそくプリントアウトし、フロッピーをそえて出版社に送った。
 すると妹から電話があった。
「今日はトトチョフの命日だから、墓参りにいこう」
 そうか、忙しさにかまけて忘れていた。
 「ケチャップ」の最終章は去年ニューヨークで取材してきたもので、現地で書いた原稿をベースにしている。
 ここまで思い出して、青くなった。
 1年前の同じ時間に同じ箇所の原稿を書いてるよー。
 だってオレはニューヨークでトトチョフの訃報を受け、いそいで帰国したのだ。
  シンクロの輪が1周して1年後の命日に完成とは。できすぎだぜ、ダディー。
 1週間まえの一回忌と同じく空は澄み、トトチョフの骨を埋めた女峰山の頂上がくっきりと見わたせた。
 友人の太田さんからもらった大吟醸「天壽」をアシリ・レラ(山道康子)さんからもらったアイヌの碗につぎ、昼間っからトトチョフとふたりっきりで酒宴をした。
 物語は死者からの贈り物だ。

14 february(fri)
8
galactic hawk moon

 ふう、バレンタイン・デーか。
 高校のころはバンドやってたんで、2トントラック5台分くらいのチョコで生き埋めにされたもんだが、今じゃあ近所のババアからぼた餅さえとどかねえ。
 だいたいなあ、チョコを好きな人に贈るなんてのは、50年前に日本のチョコレート業者が考案したキャンペーンだったんだぞ。
 由来はじつに血生臭い。
  西暦3世紀ごろ、ローマ皇帝クラウディウス二世は、兵士の結婚を禁じていた。ローマ国教のなかでキリスト教をキャンペーンしていた司祭バレンチノ(英語読みでバレンタイン)は、密かに結婚式を挙げさせてやってた。
 怒った皇帝は、2月14日にバレンチノを処刑した。
 プレゼントの赤い包装紙はバレンチノの死体から流れ出た血を、金のリボンは尿を、チョコレートは糞を象徴していると、 言われていない。
 処刑から200年後、ローマでは毎年2月14日に祭りが開かれる。
  未婚の女性たちの名前が書かれた札を未婚の男性たちが引き、ふたりは付き合うというものだ。もちろん双方に拒否権はあるが、なかなか過激で平等な合コンだ。
 この合コンも当時の教皇に「風紀が乱れる」と、聖バレンチノを奉る退屈な祭りに変えられた。
 現在アメリカやヨーロッパでは、恋人や夫婦も家族や友人も、グリーティングカードや花やプレゼントを贈り合う。
 もしかすると商業主義にのせられた日本のバレンタイン・デーのほうがローマの合コン祭りに ちかいかも。
 キリスト教という業者のキャンペーンによって、秘密の結婚式をあげる……。
 むむっ、世界でバレンタイン・デーの本質が最も残っているのは、日本だった!
 キリストの誕生日を勝手に「セックス記念日」にしちゃう日本人こそ、
 死とエロティシズムの 密接な関係を無意識に理解しているのか。
 「ただのスケベ」という説もあり、オレはこっちだと思う。

15 february(sat)
9
galactic hawk moon

 今日「人間の盾」たちがイラクへ出発した。
 団長は、イラクに20回も通い、フセイン大統領を「サダム」とファーストネームで呼べる唯一の日本人、新右翼一水会書記長木村三浩氏。
  一水会代表の鈴木邦男氏
 もと赤軍派議長の塩見孝也氏。
 ライブハウスの草分け新宿ロフトやロフトプラスワンのオーナー平野悠氏。
 70年代に一世を風靡したロックバンド「頭脳警察」のPANTA氏。
 もと自衛官のストリッパー沢口友美氏。
 もと「ミニスカ右翼」で作家の雨宮処凛氏
  全34名の混合部隊だ。
 昨日の記者会見の模様はこちら
 具体的に彼らがイラクでなにをするのか?
 驚くなかれ。
 「ええじゃないか」を歌うのだー!
 97年のイベントで同じようなメンバーで歌ったことがある。
 もちろん歌詞は「戦争反対」や「反米」の内容に替えられるが、 オレの歌がイラクデビューするかと思うと感無量である。(オレ頭脳警察のファンだったし)
 イラクでは新聞の第一面を飾り、テレビ放映されるだろう。

おれはブッシュを殺してえ
ぶっ刺して ぶち割って なんで悪い
(なるべくこういう歌詞にしてほしくないなあ)
 ええじゃないか ええじゃないか ええじゃないか よいよい
 ええじゃないか ええじゃないか ええじゃないかよ 

あたしアメリカ潰したい
つっかかってぶっつぶして なんで悪い
(できれば憎しみの連鎖を断ち切る歌詞にしてほしい)
 ええじゃないか ええじゃないか ええじゃないか よいよい
 ええじゃないか ええじゃないか ええじゃないかよ

 とかテレビで歌ってる最中にBOMB ! 
 生命力の強い彼らのことだから、髪の毛チリチリ、お肌真っ黒のアラブ人になっても歌いつづけるだろう。

ハレハレEverything gonna be all right
Let's dance dance to the happy end of the world (ここの歌詞を「だんだん素になって踊ってる〜」と思いこんでた人もいる)

16 february(sun)
10
galactic hawk moon

 さあ、ネアリカ再開。
 今日のネアリカンは15回目のとっちゃん、6回目の瑞穂ちゃん、4回目の亜子ちゃん、そして、ぬあんと北海道からやってきた麻里子ちゃんだ。
 北海道で結婚生活3年を送り、東京へ里帰りする日を旧友の亜子ちゃんに告げた。
「ねえ亜子ちゃん、なにか美味しいものでも食べにいかない?」
「そうだ、日光に美味しいものを出すところがあるの。ちょっとそうさくを手伝うんだけど」
「じゃあ、雪山とか歩ける靴とか暖かいジャケットがいるわね」
 麻里子ちゃんは電話で「創作」を「捜索」とかんちがいしたらしい。
 今日のメニューは、チーズ・フォンデュだ。
 シーフードやハーブソーセージを前の晩からガーリックソースにひたし、玄米も発芽させておいた。土鍋に白ワインを沸騰させチーズを溶かす。瑞穂ちゃんなんかあまりの美味さに涙ぐんでる。
 これも小さなシンクロだが、麻里子ちゃんはスイスの友人と長年文通して、本場でチーズ・フォンデュを食べたことがある。
「やっぱ本場はすごい?」オレは訊いた。
「いいえ、だってパンだけだったの」
 それじゃあフォンデュじゃなくて、「チーズ汁パン」じゃん。
 オレは、パンはもちろん、ホタテ、エビ、イカ、ソーセージ、ブロッコリー、ポテト、里芋、大根、リンゴなどを用意したが、本場はいたってシンプルらしい。
 元気もりもりになったネアリカンは鼻笛にはまった。みんなすぐに音が出せるようになり、「メダカの学校」を合奏したり、「カッコー」を輪奏できるまでになった。 しかし音程はふにゃふにゃで、相手のおバカな顔を見ると笑い出してしまう。これだけ笑わせてくれる楽器は今までにない。
 今日の4人で 鼻笛オーケストラは8人になった。カーネギーホールへの道に4歩近づいたということか。
 たった今、朝日新聞のHPでこんな記事を見つけた。

 ロスの10万人集会、日本人がフルート吹き反戦訴え

 ロサンゼルスで行われた反戦集会で、爆撃で亡くなった子を抱える父を演じる市民をそばに、フルートを奏でるきくちゆみさん=15日、ロサンゼルス・ハリウッドで「金属は戦争でなく音楽のために使って」。
  世界を一周した15日のイラク攻撃反対集会・デモの最後に行われた米ロサンゼルスでの集会で、千葉県鴨川市のフリーライターきくちゆみさん(41)が、フルートを吹いて平和を訴えた。映画の街ハリウッドの街頭で、同市の反戦運動史上で最大となった10万人の参加者が拍手を贈った。
 きくちさんは演奏後、楽器を掲げて「金属は平和な音楽のために使って」と訴え、友人が「戦争の盾」としてイラクに入国したことを伝えた。
 01年の同時多発テロをきっかけにNGO(非政府組織)「グローバル・ピース・キャンペーン」をつくり、テロと武力報復に反対する全面広告をニューヨーク・タイムズなど米紙に4回掲載する運動を組織した。
 舞台を降りると、「この戦争を止められたら、次の戦争も止めることができます」と話した。

 ゆみさんとは、ハワイ島の先住民の墓にJALがゴルフ場を建設するのを反対するイベントで知り合った。あれから何回か会う機会もあったが、
  フルート奏者だったとは知らなんだ!

 よし、 われわれ鼻笛(ノーズ・フルート)オーケストラも10万人の平和集会で演奏できるよう練習しよう。
 「メダカの学校」は卒業して、課題曲は 、ベートーベンの「喜びの歌」だあ!
  10万人を「感動」させられなくとも、「笑わせる」自信はある。

17 february(mon)
11
galactic hawk moon

 「アレックス」の上映がはじまった。
 オレのなかでは「21世紀最大の問題作」である。今後97年間でこの映画を越えるものが出ないんじゃないかと思えるくらいの衝撃だった。
 カンヌ国際映画祭では1500人の観客のうち約200人が途中で飛び出し、東京国際ファンタスティック映画祭では、1000人のうち約50人が席を立ち、失神したり、トイレに駆け込み嘔吐する客までいたそうだ。 帝都高速度交通営団にもポスターを拒否された。
 東京の上映館は、銀座 シャンゼリゼ、渋谷パンテオン、新宿ミラノ座、ワーナー・マイカル・シネマズ板橋、上野オークラ劇場、吉祥寺バウスシアター1、八王子 ヴァージンシネマズ南大沢。
  大阪の上映館は、梅田ブルク7、心斎橋 パラダイススクエア1、堺 ヴァージンシネマズ泉北。
 過激な暴力シーンばかりが取りざたされるが、そんなもんならデヴィッド・リンチでも撮れる。「アレックス」の衝撃は、作品宇宙の巨大さにあるのだ。
 パンフレットの解説は田口ランディさんが書いている。
「この映画の解説だけは、わたしにしきゃ書けないでしょ」と笑ってた。
 うむ、いちいち正解ごもっとも。
  そうとう覚悟して観てほしい。じゃないと勧めたオレまでうらまれそう。

  「アレックス」で地獄に突き落とされた治療薬は、なんといってもラーメンズ。
 笑いを越えた「異次元笑劇場」とでも呼ぼうか、ジャンル分け不可能だから観るしかない。
 オレもう全作品8本もビデオ観ちゃったよ。1本のビデオ(1公演)に5,6個の作品がはいっているのに、どれひとつハズレがない。アルバムの全曲がシングルになるような奇跡のクオリティーだ。
 なぜラーメンズがすごいのか?
 ふつうのお笑い芸人は、人間の「意識」をくすぐるが、
 ラーメンズは「無意識」を笑わせてしまうのだ。
 同時代に生まれて、ラーメンズを知らずに死んでいくのは、あまりに悲しい。
 今すぐ、レンタルビデオ屋にGO !

 ラーメンズで無意識のコリをほぐしたら、俗世間へもどろう。
 俗の超表層をくすぐりまくるのは「はねるのトびら」だ。
  ドランクドラゴン、北陽、キングコング、インパルス、ロバートなどの若手お笑い芸人のユニットがくりひろげるむちゃくちゃな笑爆弾。
 ずっと前から紹介しようと思っていたが、今オフィシャルサイトを見たら大失敗。
THE LIVE「はねるのトびらで逢いましょう」の再放送2月14日を見逃してしまった。もう一度再放送が3月30日(日)21:00〜23:00にあるので、カレンダーに丸しよっと。
  レンタルビデオ屋に「はねるのトびら」は2本ある。1巻目は試行錯誤の段階でそんなに笑えないが、2巻は涙流して手足をじたばたさせるほど爆笑する。

 オレがいちばんハマってるバンド「Syrup 16g」の最新アルバム「HELL SEE」(ヘルシー=地獄を見ろ)が3月19日に発売になる。3月28日のライブもいっちゃうもんね。

 オレは43にもなって、なんでこんなにミーハーなんだ!
 ライアル・ワトソンは「ネオ・フィリア(好奇心)が、人類を進化させた」と言っているが、 孔子は「論語」のなかでこう言っている。

  吾れ十有五にして学に志す。
  三十にして立つ。
  四十にして惑わず。
  五十にして 天命を知る。
  六十にして耳順(したが)う。
  七十にして心の欲する所に従って矩(の り)を踰(こ)えず

 オレは「吝語」(りんご)のなかでこう言う。

  吾れ十有五にして学にこころ……挫す。(挫折する)
  三十にして立……たないときもある。(とくに酒を飲むと)
  四十にして惑……いまくり。
  五十にして 天命を知……ったこっちゃない。
  六十にして耳順(したが)う……わけないじゃん。
  七十にして心の欲する所に従って矩(の り)を踰(こ)え……逮捕。

 こんな人生設計どう?

18 february(tue)
12
galactic hawk moon

 今日のネアリカンは8回目の文ちゃんと太一さんだ。
 オレもはじめての講演会のタイトル「宇宙的ひきこもりの時代」は、太一さんの文章からつけさせてもらったので会いたかった。
 文ちゃんも太一さんもひきこもりからの生還者だ。
 世間の無理解に傷つきながらも、自分自身の深淵に降りていき、ふたたび還ってきた者の目はやさしい。
 太一さんは「全身をラップでくるみこまれ、精神的な皮膚呼吸ができないような感覚」に悩まされたとき、近所にある自然公園に毎日通ったという。(できれば太一さんの書いた全文を読んでほしいが、抜粋する)

 私はそこで、生えている一本一本の木々がそれぞれどんな枝ぶりをしているのか、どんな形の葉をどのように生い茂らせているのか、風に吹かれてどのようにそよいでいるのかを見つめました。ハトやすずめ、カラス等の鳥たちのさえずり、鳴き声に対し、まるで外国語の 聴き取りをするような態度で耳を傾けました。
 花や雨、土の匂いを、ワインやコーヒーの香りを味わうかのように丹念に嗅いでまわりました。芝生や落ち葉と、自分の足の裏との触れぐあいを、一歩一歩確認しながらゆったりと歩きました。
 ただ漫然と公園をぶらぶらすのではなく、それらの観察をひたすら注意深く行っていると、頭の中を暴れまわっていた 種々の観念は次第に雲散霧消していき、とてつもない美しさとともに、生命感が蘇ってきました。
そして私は、人間はまぎれもなく自然の一部であることを実感し、あらゆる動植物との得もいわれぬ一体感を味わったのでした。それは神秘体験というより、真の現実体験でした。

 この文章を読んだとき、オレがアマゾンで断食(ひきこもり)した感覚とシンクロしていてびっくりした。
 しかも 太一さんは「アヤワスカ!」を読んでいないのに、年内にアマゾンを旅する計画を立てていたのだ。
 ひきこもるまえの太一さんはシアトルの大学に留学しているし、生還後も屋久島まで自転車でいっている。3ヶ月間もテントで野宿の旅だ。
 オレの癖だが、まずは目を見る。
 長い旅やつらい体験をくぐり抜けてきた人は「死者の目のような輝き」を放っている。
 実際に会った太一さんの目は、太陽にきらめく「木の葉」を思わせた。
 人を威圧するような生命力じゃなく、植物も動物も人間も包みこむ「反射」だった。
  「反射」というと無気力と思われがちだが、網膜に映った現実を取捨選択せずに受け入れる「鏡」のような目をしていた。

 ネアリカの掲示板に文ちゃんが書いた文章に、ランディさんは涙が止まらなくなったという。

 皆さんの書き込みを読みながら、数年前に死んだペットの犬のタロのことを思い出していました。
  タロとは中学生の時からの友達でした。タロは限られた環境の中で、自分なりの幸せを探して楽しんでいました。ちょうちょを追いかけたり、飛び跳ねるバッタに吠え掛かったり、太陽におなかをさらしてお昼ねをしたり、ありんこの行列をだまって眺めたりしていました。そんなタロの姿を眺めていると僕まで幸せになりました。
  でもある日動物病院の先生からタロの心臓が弱っていて、そう長くは生きられそうもないと言われて悲しくなってしまいました。それと同時になぜタロといっしょにもっといろんなものを感じようとしなかったかと後悔しました。結局できる範囲で、車で海までタロを連れて行きました。タロにとっては生まれてはじめての海でしたが、波打ち際を尾っぽを振りながら楽しそうに散歩していました。
  タロの楽しそうな姿を眺めながら、自分はこれまでタロの目を通してこの世界のすばらしさを感じることができていたのだなあと気づきました。
  なぜもっとこのことに早く気づいて、タロといっしょにいろんな場所に行かなかったのかとても後悔しました。タロが死んだ今も僕はタロの目を通して世界を美しさを見ているような気がします。そしてタロがこの世界のすばらしさを僕に教えてくれたような気がします。僕がこの世界の美しさを感じられるのはタロが僕なかで生きているからだと思えます。
  ちょっと関係なかったかもしれないけど、僕なりの自分と死者との関係を書いてみました。
( 2003 . 2 . 5  22 時 42 分)


 文ちゃんはある決心をした。
 10回ネアリカを終えたら初めての海外旅行にでると。しかもインド!
 「ネアリカンのなかで海外旅行してないと肩身が狭いから」と笑っていたが、オレはびっくりしたと同時にすごくうれしかった。
 ひきこもり→ネアリカ→インド
 あまりにもすごい急成長ではないか。

  「ケチャップ」を脱稿する10日間、人に会わなかった。
 書斎にひきこもり、外界との接触を断った。
 べつに珍しいことじゃない。
 基本的に創作は孤独だから。
 20年前も、オレはひきこもっていた。
 ヘロインの禁断症状と戦い、友人のバスルームで手首にカミソリを走らせた。
 
 氷の部屋でひとりぼっち
 ひざを抱えてテレビ Waching
 闇が震える
 ぼくは凍える
 涙凍って
 床に散らばる真珠たち
 No Exit
 No Exit
 ぼくをここから
 連れ出してくれ
 君の名を呼ぶ
 星がまたたく

 氷のベッドではだかぼっち
 天井から降る雪じっと Waching
 雪が渦巻く
 ぼくは埋もれる
 言葉乾いて
 風にちぎれる枯葉たち
 No Exit
 No Exit
 ぼくをここから
 連れ出してくれ
 君の名を呼ぶ
 月が微笑む

 ぼくをここから
 連れ出してくれ
 君の名を呼ぶ
 雲が流れる

 Open the door
 Open the door

 オレは「ひきこもり」を研究しようなんて思わない。
 自分が知っている痛みでしか、語れないから。
 文ちゃんが中心になって動いてくれている講演会では、裸になってぶちまけようと思う。
 友人と会っているときも、ネアリカの最中も、オレはジョークしか言わないしマジな話は無意識にさけている。
 本やウェブにも書ききれないことはいっぱいあるんだ。
 オレのあほジョークしか聞けないネアリカンたちも、
 今年中に10回というネアリカルールに参加できない人たちも、
 このあたふた日記を読んでる人も、
 横浜で会おうぜ。
 打ち上げもあるし、個人的にゆっくり話す機会もある。
 たぶん今年中にネアリカの20枚が完成したら、オレは一生「ひきこもる」んで(外国移住?)、君と出会える最後のチャンスかも。

19 february(wed)
13
galactic hawk moon

 「インディゴ・チルドレン」という言葉を知っているだろうか?
 アメリカの超心理学者ナンシー・アン・タッぺが1970年代にインディゴブルー(藍色)のオーラをもつ赤ちゃんを見て、命名した。インディゴ・チルドレンは年々増えつづけ、アン・タッぺいわく、「10歳以下のこどもの90%はインディゴ」だそうだ。(本当かなあ?)
 インディゴ・チルドレンの多くは、「ADD」(Attention Deficit Disorder=注意欠陥症)や「ADHD」(Attention Deficit Hyperactive Disorder=注意欠陥多動症)などの病名(ニューヨーク大学の医学部精神科が70年代に命名)を貼り付けられる。
 「注意力と集中力が散漫で、持続力がない。衝動を抑えきれず、外的刺激に過敏である。規則を守れず、机に座りつづけたり、列に並ぶことができない」
 こんなのあたりまえじゃん。かえって子どもらしい子どもって感じ。学校という調教所になじめなかった「風の子レラ」を思い出すなあ。

 「ADHD」の原因に、ダイオキシンやPCBによる甲状腺ホルモンの低下。脳内での神経伝達物質ドーパミンの異常という説もある。
 治療には向精神剤リタリン(塩酸メチルフェニデート)が使われ、副作用(不眠、興奮、神経過敏、頭痛、めまい、うつ状態など)も多い。
 「インディゴ・チルドレン」(リー・キャロル、ジャン・トーバー編著、愛知ソニア訳) という本にはこう定義されている。

1・インディゴは尊厳を漂わせながらこの世に生まれてくる。(多くの場合、生まれた後もそのように振舞う)
2・彼らには「自分は存在するべくして存在している」という気持ちがあり、他人にそれを理解されないと、気が動転してしまう。
3・自己評価には重きをおかない。彼らはよく親に「自分は誰なのか」を語る。
4・絶対的な(説明や選択の余地を与えない)権威を受け入れない。
5・特定のことをあっさりと否定する。例えば並んで待つ事は、彼らには難しい。
6・創造的思考を必要としない儀式的なシステムには、欲求不満を募らせる。
7・家庭でも学校でも、物事のよりよいやり方を見つけ出すので、「システム・バスター」(いかなるシステムにも従わないもの)のように思われてしまう。
8・インディゴの仲間と一緒にいるとき以外は、非社交的であるようだ。自分に似たような意識のものが周囲に誰もいないと、しばしば内向的になり、誰からも理解してもらえないと感じる。そういう子供達にとって、学校生活は非常に難しくなる。
9・罪悪感を持たせるようなしつけ方、例えば「そんなことをして、お父さんが帰ってきたら怒られるわよ」といったような説教をしても効果がない。
10・自分が必要とすることは臆することなく伝える。

 ううむ、ブッダのごとく悟ったガキどもだな。
  「新人類」やら「ニュージェネレーション」は聞きあきたけど、たしかに子どもたちの「傾向」としては当たってるような気がする。
 自分の子が「病気」だと向精神剤を飲ませるより、親が子どもの視点に立って創造性を伸ばしてやったほうがずっといい。

 「インディゴ・チルドレン」は、オレがアマゾンの断食で見たヴィジョンが重なってくる。

 死んだ樹木の魂が透明な発光体になって空に昇っていくのがわかった。彼らのあとを追いたいと思った瞬間、枯葉のごとく突風にさらわれていた。慣性がピークを終え下降しはじめるとき、気流に乗って滑空グライドした。積乱雲から上層の巻雲を突きぬける。あくまでこれは幻覚だと自分に言い聞かせるが、大気の層はわずか百メートル、酸素ボンベとかなくてだいじょうぶだろうか。竜宮城に着く前に溺れ死んだ浦島太郎のギャグを思いだす。たくあん石でもぶらさげてるような、急激なG(重力)がかかってくる。シャンパンから撃ち出されるコルクのごとく成層圏を突破した。肉眼で見られないほど、太陽がまぶしい。大気の層がないので星は瞬かず、光りは闇に吸収され、微塵の反射も見られない。眼前に赤茶けた惑星がせまってきた。どこか火星無人探査機が撮った写真に似ている。酸化鉄におおわれた地面に巨礫きょれきがころがり、プリン型の台地メサが入り組む渓谷はグランドキャニオンを思わせた。荒れ果てた砂漠の地平線から青白い太陽が昇ってくる。いや、太陽ははるか左手後方にある。これは日の出じゃない……。
 地球の出だ!
 巨大な闇に浮かびあがる奇跡の惑星、サファイヤさえもおよばない青の輝き、胸が軋きしみをあげるほど愛しいふるさと。樹木の魂たちが泣いているのがわかった。彼らは作戦会議のすえ、人間に生まれ変わることを採択した。樹木の痛みと地球の危機を伝えるために、新しい世代を生みだしていこうという最後の手段だ。樹木たちはふたたび青い宝石にむかって、つぎつぎに転生していった。 (「アヤワスカ!」講談社)

ネアリカの「牛のカムイ」「蝶のカムイ」にもつながってくるし。(ページのバックはインディゴ・ブルーだし)
  「インディゴ・チルドレン」を新人類とまつりあげてニューエージ・ビジネスの餌にするのも危険だし、誰だって子どものころは「インディゴ・チルドレン」だった。
 60年代の「フラワー・チルドレン」も今や花を刈りとる部長だし、80年代の「新人類」だってリストラ名簿をつくる課長だ。
 「インディゴ・チルドレン」だって30年後には妻も子もある40代になる。
 重要なのは、どれだけ子ども心を捨てないで大人になるかだ。

 またたく星の背景に広がるインディゴの宇宙
 かすかに紫をおびた藍色の闇
 びろうどの夜空を撫でる繊細な指の感触
 思い出してごらん
 思い出してごらん

 愛する人の水晶体に収縮するインディゴの宇宙
 わずかに赤みをおびた藍色の闇
 おびえる産毛をなだめるやさしい指の感情
 思い出してごらん
 思い出してごらん

 ほら、知ってただろ?

 なつかしさは
 過去の反復じゃなく
 未来をくりかえせない
 後悔

 あれえ?
 ジーンズ裏返しではいてきちゃった

20 february(thu)
14 galactic hawk moon

 今日のネアリカンは主婦軍団プラスちーぼーの4人だ。
 2回目のえみさん、初めての亜子(つぎこ)さんと敏子さんには、みんなふたりずつ子どもがいる。敏子さんの長男はもう22歳だって。
 えみさんの小5になる息子が昨日お絵かき教室でふざけているとき、たまたま小1の子にちょっとしたケガを負わせてしまった。(といっても鼻をぶつけただけなのだが)相手の親がすごく怒って、あやまりにいくためネアリカをあきらめたが、夫がひとりでいってくるからだいじょうぶと言ってくれたそうだ。敏子さんの息子も人に暴力はふるわないが、ドアを壊したことがあるという。彼女たちの息子はぜんぜん暴力的ではないが、こんなことを考えてみたい。
 なぜ男の子は女の子より暴力に走るのか?
 援助交際など女の子の犯罪もあるが、「少年犯罪」には暴力がつきまとう。
 複合的要素はあるにせよ、見落とされがちなのは生理機能だ。
 男女が分化する思春期に男のなかに嵐のように吹き荒れるもの、
 それがテストステロンだ。
 テストステロンは、おもに睾丸から分泌される男性ホルモンの一種で、男性的な特質を促進させる。
  のどちんこがふくらみ、声変わりし、ひげが生え、骨格や筋肉をたくましくし、性器を成熟させる。
 心理的な影響も大きく、突然性欲が目覚め、攻撃的になり、 自意識が肥大し、「個」が身をもたげる。
 「個」に気づくというのは、とてつもない地獄なのだ。
 それは、世界から切り離されること。
 地動説から天動説へ。
 世界は自分を中心に回っていたのに、「おまえはその他大勢のチリにしかすぎない」と宣言されるショック。
 その葛藤が自意識過剰に陥らせる。誰でも中高生くらいの自分を思い出すと、赤っ恥の連続だったと思う。
 憎き赤っ恥の真犯人は、テストステロンだ。
 思春期には以前の数百倍のテストステロンが決壊したダムのごとく少年を襲う。
 性と暴力がセットで爆発するのだ。
 この発見は、暴れ狂う雄牛の睾丸を切り取ることで鎮静させたというきっかけにより、今では「行動内分泌学」として確立された。
 あらゆる種では、睾丸を切除すると攻撃性が急激に落ち、合成 テストステロンを注射すると攻撃性が回復する。
 攻撃性=テストステロンという仮説が提出された。
 この説が正しければ、健康診断でテストステロン値を計り、正常値を超えた者は暴力犯罪予備軍として監視できる。
  ここでおもしろい結果がでた。
  睾丸を切除したオスに通常値の20パーセントのテストステロンを注射しただけでも通常の攻撃性が回復する。しかし200パーセントを注射しても攻撃性のレベルは変わらなかった。
 つまりテストステロンは攻撃性を「誘発」するものではなく、「促進」するものだったのだ。
 健康診断で暴力犯罪予備軍は割り出せない。
  はじめに暴力ありき。テストステロンは応援団みたいなもの。テストステロンにすべての罪を押しつけられない。
 やっぱ暴力は「タマタマ」なのだ。

21 february(fri)
15 galactic hawk moon

 韓国で起きた地下鉄放火事件は悲惨だった。
 北朝鮮のテロだと騒ぎ立てるやつもいたが、死者にとっては同じことだ。
 サリン事件も、阪神大震災も、ヒロシマも、アフガン空爆も、イラク攻撃も、うちのトトチョフ(父)も、突然死をむかえた。
  ガンを宣告されてから半年間苦しんで死んでいったババチョフ(母)と、どっちがいいんだろう?
 オレは半年も死とむきあう勇気ないよう。
 トトチョフみたいな突然死が理想だなあ。
 だからといって理不尽な戦争で死にたくはない。
 驚くほど、みんな自分の死に場所をイメージしない。
 人生は地味な下積みだけど、死はハレの舞台だぜ。
 自分の死に場所をイマジンするのはスゲー楽しいゲームだよ。(これって変態?)

 オレの第一候補は、アマゾンの森。
 微生物たちにやさしく解体され、森と同化していくのは究極の癒しだろうな。

 第2候補は、チベットの鳥葬だ。
 2メートルもの翼にのってウルトラマリンの空を舞う。

 第3候補は、カリブ海かな。
 エメラルドグリーンの海で、イルカに突っつかれ、鯨に呑みこまれるのも素敵だ。

 最終候補は、そのときいる場所で、ひっそりと眠りにつく。
 どこでもいいんだ。
 安らかに目を閉じられればね。
 おいおい、救急車なんか呼んだらしょうちしねえぞ!

 オレが熱病のごとく世界を放浪するのは、
 「理想の死に場所」を探しているのかなあ?
 そんなもん選べないのは、わかってるくせに。
 君はどこで死にたい?

22 february(sat)
16 galactic hawk moon

 今日のネアリカンは、16回目のとっちゃん、3回目のミッシェル、初参加のハマさんとたまちゃんだ。
 サッシ職人のとっちゃんは、孔雀の羽からヒントをえたタマゴ模様を緻密に縁取る。
 ミッシェルの小包龍には一同びっくり。
  小包龍を家庭でつくっちゃうのは、神をも恐れぬ暴挙だ。
 小麦粉から皮を練りあげ、1時間寝かし、のし棒がないのでワインボトルで薄く伸ばす。豚の挽肉と鶏のゼラチンを混ぜた具を包み、蒸す。黒酢につけてほおばると、やけどしそうにジューシーなつゆが口いっぱいに広がる。
 まさに龍神の味だ。
 ハマさんはプロの翻訳家である。
 カナダのケベックに留学していたので、フランス語もいける。主にコンピューター関係の翻訳が多いが、将来は小説も手がけたいという。ハマさんのセクシーなテナーヴォイスは声優にむいていると思う。
 たまちゃんはなんと、国会専属のベテラン速記者である。小泉首相はもちろん歴代議員と仕事をしている。
 ためしに「こんにちは」と「ありがとう」を書いてもらったが、5文字がじつにシンプルな1文字に表されてしまう。
「えっ、こんな便利なもんがあるなら、日本語も速記に変えちゃえばいいのに」
  ひらがな、カタカナ、漢字、ローマ字と、4種類もの文字を使う民族は日本人だけだ。
 いや待てよ。
 日本語が速記に変えられて、いちばん困るのはオレたち作家じゃねえか!
 たとえば主人公が、「ぼく」か、「ボク」か、「僕」かでは、 ぜんぜん性格設定がちがってくる。作家は日本語特有の4種類の文字をあやつって繊細な表現を伝えている
のだ。
 今回のネアリカのバックは、超むずかしい「フラクタル図形」に挑戦した。
 「フラクタル図形」とは自然界の「成長」や「増殖」を模倣した数式によって形作られる。
 1という原形を模倣した2は微妙に変化し、2を模倣した3も微妙に変化し、3を模倣した4も微妙に変化し、螺旋を描いて生成していく。各世代間にはそれほどちがいがないものの、100世代、1000世代のちには、まったく別物になっている可能性がある。
 これぞ進化という(宇宙や輪廻もふくめた)「伝言ゲーム」の 醍醐味だ。
 とっちゃんの縁取りも、ミッシェルの 小包龍も、ハマさんの翻訳も、タマちゃんの速記も、
 自分の得た情報を模倣し、
 「トランス・フォーム(変容)」させる。
  種に蓄積された情報から花が咲くように、サナギから蝶が飛び立つように、ひきこもりだった文ちゃんがインドへ旅立つように、
 オレたちは膨大な過去の記憶をトランス・フォームさせて、「新しい」作品を創作しているのだ。
 過去を軽蔑する者に未来はない。
 自分がすべて0からつくっていると思う者は、スランプにいきづまる。
 「新しいもんなんてなんもないぜ。すべてはもう、そこにある。見たことあるぜ」(シロップ16gより)
 作家の器を決めるのは、
 「宇宙的伝言ゲーム」を受け入れる、
 「謙虚さ」なんだと思う。

23 february(sun)
17 galactic hawk moon

 由香ちゃんがバイクにまたがってやってきた。
 しかも今日はむっちゃ寒いのに。
 1年前に免許を取って、半年前にSUZUKIの「Grass Tracker250」(草に轍を残す者)を手に入れたそうだ。
 女性バイカーってかっこいいよな。騎馬民族の女頭領みたい。
 それにしてもバックのフラクタル図形はむずかしー。
  メインのガイコツの10倍くらい複雑だ。ふつうなら1色で埋めてしまうバックにすごく時間がかかる。
 毎回新しい挑戦をしてるとはいえ、ちょっとこれは無謀だったかも。
 でも右下が埋まってみると、すげえカッコイイじゃん。しかも貼っていておもしろい。むずかしいが、やりがいがあるのだ。
 これほど完成が待ち遠しいバックははじめてかも。
 螺旋の渦に吸い込まれる。

24 february(mon)
18 galactic hawk moon

 「ばい菌!」とか言われて、いじめられたやつっているよね。
 いじめっ子は「ばい菌」が進化を生んだことを知らない。
 たとえば細胞が誕生したのは、「ばい菌」ミトコンドリアをとりいれたからだ。
 細胞にとってミトコンドリアは、よそ者であり、ヒモであり、まったく異質な他者である。
 最初はすったもんだもあっただろうが、今では「ミトちゃんなしでは生きていけない体にされちゃったの」である。
 オレたちの体は、「ばい菌」(=ウイルス)と共存する雑居アパートであり、「入れ墨お断り」の札がさがっていない銭湯のようなものだ。
 入れ墨モンモンさんは、「おれの桜吹雪にシャワーかけんじゃねえ!」と怒ったりするが、「兄ちゃん、女ってのは自分のおふくろだと思ってつきあえよ」などと貴重なアドバイスもくれる。
 自分と異なる者、自分に対抗する者、他者と渡り合い、共存の道を探ることによって、生命は進化してきた。
 「対抗進化」は、一定状態にはとどまないという特徴をもつ。ウイルスは日々新しい技を発明し、ホストも防御策を高度化させていく。キン肉マンのような対抗試合によって、35億年もの永続的な進化がつづいてきたのだ。
 こういう教育がちゃんとされていれば、「ばい菌!」とののしられた子が、ポッとほほを赤らめて、「いやあ、それほどでもないっすよう」と照れ笑いするのに。

 ダム推進派に「ばい菌」呼ばわりされた熊本の須藤さんから、川辺川に関する最新レポートがとどいた。

  2月16日、第6回住民討論集会に参加してきました。
 場所は熊本県庁地下会議室。開場12時 開始13時。終了18時半。
今回は12月のあの「会場占拠」を反省して、入り口を「ダム賛成」「ダム反対」「中立」の区分けで行い、順次整然と入場させるという事前協議の案内が来ておりましたので、まあ11時半過ぎだと大丈夫入れると思い、ゆったり構えておりましたら、まあ賛成派の動員が今回もかかっており、かなり危なかった。
 今回からテーマは「環境」。ダムができたら川はどうなるのか。
 その影響は? 川の流量は? 水質は?アユへの影響は? 海の影響は? という話をするのですが、いかんともしがたいのが国土交通省。
 川辺川ダムは「清水バイパス」といってダムの上流部にもう一つダムをつくり、上流の「きれいな水」をバイパスを使って(ダム本体を迂回して)下流に流すシステムを考えているのです。
  想像できますか?
 ダム湖自体の水はアオコの発生や堆積物で汚れることを彼らは十分認識している。だから下流の住民が、汚れた水が流れてくるぞ! と文句をいわないように清水バイパスなる設備を考えて
いるのです。だから環境対策は十分ですと大見得を切る。
 アユへの影響はありませんとも。
 もう一つのシステムが「選択取水設備」。
 これはダム湖の水を放流するとき、放流口がダムの下部だけに固定されていると低温の水や汚れた水が流れ出し、下流域へ影響を与えるから、放流口をその時々の水温や汚れ具合や水の澄み具合を勘案し、きれいな水のみを取水・放流しようとするために考え付いた手段!
 いうなら、潜水艦の潜望鏡のようなものがダム湖の底にあり、それが伸びたり縮んだりして、「きれいな水」を取水・下流に流すという。
 その姿を想像してください。
 ということで、「この二つの施設をつくるから、環境対策は十分です。環境に与える影響は無視できるくらいのものです。」と最初から最後までこの主張のみでした。
 本当に笑い話のような、冗談だろといいたくなる話ですが、これが4000億円という巨費を投じて、37年前に計画され、国土交通省が建設に固執するダムの姿なのです。
 ダムの上にもう一つダムをつくり、それで環境対策は万全だと。
 潜望鏡をダム湖に沈め、これで環境対策は十分ですよ。
 今まで以上にきれいな水が、定量で流れ、渇水対策の心配も無用だし、アユへの影響もありません。球磨川くだりも今以上に快適にできます。とこの後に至ってもなお、ばら色のダムを描くのです。
 人間がすることに、無条件の信頼を与えるほど、私らは太平な世に住んでいるわけではありません。スペースシャトルの爆発、韓国の地下鉄災害。東京電力の事故隠しや東海村のあのバケツ事件。諫早・・・・ 巨額の税金投入した『公共事業』の姿がこの程度。
 唯一つよかったこと。
  ダム反対の専門家の「ダムができたときの影響について」のプレゼンのとき、アオコの発生や重金属の堆積水質汚染や水量の低下などを話したのですが、流石の推進派それも動員された人たちからは声もなく、目のあたりにするその実態に芯から心を揺さぶられた表情が見えたことです。
 国土交通省の専門家の「高度」な話をどこまで市民レベルまで引きずりおろせるか、市民の話として環境問題を語れるかが今後を占うと感じた一日でした。結構面白かった。
 地元新聞に「考川辺川」荒瀬ダム特集などあります。よかったらついでの時にでもみてください。熊本日日新聞といいます。
http://kumanichi.com/index.htm
 今、選挙モード。ズブズブ状態です。今度は人吉市長選挙。
 ダム反対の仲間が市長選挙にたちます。
 「ダム反対派はばい菌だ」と現市長の応援に駆けつけた熊本県建設業協会の会長はテレビの前で発言。
 受けた現市長も「ダム反対の候補を応援するのはばい菌とその周辺」と、これまたテレビの前で発言。
 先日ローカル番組の特集で其れがそのまま流れ、結構大騒ぎです。 ダム賛成以外は人間であらず という彼の政治姿勢が端的に現れた事件でした。
http://www.islandvoice.net/murakami/
一人の応援団です。

25 february(tue)
19 galactic hawk moon

 今日のネアリカンは、8回目のみち、2回目の太一さん、初参加では京都からポンちゃん、なんと北海道から友恵ちゃんだ。

  ポンちゃんは立命館の法学部を卒業し、お弁当工場でバイトしていた。実家は東京なのに、京都が気に入っているので住みつづけている。北野天満宮の近所というから、うらやましい環境だ。
「今芸者さんは7人います」
 なぜ数までわかるんだと訊いたら、よく道ですれちがうので、知っていて当然なのだそうだ。
 ううむ、オレも「セブン・ゲイシャガールズ(7人の芸者)」の町に住んでみたい。
 きのうネアリカンの由起ちゃんが、下北沢の本多劇場に並んでラーメンズのチケットを奇跡ゲットしてくれた。由起ちゃんは春から京都伝統工芸専門学校に通う。ポンちゃんの野望は、その学校で仏像の彫り師を目指すというものだ。
 なんだか、hip-hopみたいですごくない?
 法学卒業→弁当工場→伝統工芸。

  友恵ちゃんは北大の薬学部1年生だ。
 入学してショックだったのは、ねずみの解剖だって。
「 こんなぺーぺーの私がひとつの命を無意味に奪うことにどうしても納得いく理由を見つけられないし。私だけでなく一日でひとつの部屋の中だけで100匹近くものねずみが殺されるんです。なにより殺すことになれてしまう自分が恐い」
 そのネズミの命と引き替えにたくさんの人間の命が助かるかも知れない。このような考えは人間側の傲慢であり、ネズミに言わせれば、「人間の命を救いたいなら、人間で実験しろ」というだろう。
  ひとつだけできることは「感謝」しかない。
 生命を維持するためには、他者を殺しつづけねばならない。「奪う」のではなく、「いただく」、または「もらい受ける」。その謙虚さと感謝を失ったとき、必要以上の大量殺戮が起こる。戦争や森林の伐採、ダムなどの暴走を止めるキーワードはひとつ、「感謝」につきるだろう。
  アイヌの人たちがイヨマンテ(熊送りの儀式)でキムン・カムイ(熊の神様)に感謝を捧げるのも、それが唯一の方法だと知っていたからだ。
 友恵ちゃんは来月、屋久島に旅立つという。

 もとひきこもりだった太一さんの絵に胸を打たれた。
 左手の手のひらにはひとつの目があり、涙を流している。涙が海になり、手のひらを呑みこんでいく。
 太一さんは今年中にアマゾンに旅立つという。

 みちはこのあいだ退行催眠を受け(25000円)、自分の前世を見てきたそうだ。
 前世は無数にあるので、前回の人生とは限らず、その時の自分に必要な前世を無意識が選びとってくれると先生は言う。
 みちの前世は冷酷な兵隊で、中世のイギリスらしい。兵隊はたくさんの人を殺し、家を焼き払い、17歳の少女を略奪し、むりやり結婚した。
「彼女の名前は?」と先生に訊かれて、すぐ浮かんだ。
「ルーシー」
「あなたの名前は?」としつこく訊かれたので、おぼろげながら浮かんだを答えた。
「ゴンザレス」
 先生がぷっと吹き出す声が聞こえる。
「ええ、まあゴンザレスの人生のテーマはなんだったんですか」
「強さ」みちは、いやゴンザレスは即答する。
「では今回のみちさんの人生のテーマは?」
「調和」迷わずに答えたゴンザレスにみちは驚いた。
  マッサージ師のみちは、整体や分子栄養学なども学んでいて、人間の全体的な癒しを目指している。退行催眠を受けたみちは思った。
「これなら、あたしもできる!」
  こういう発想が、みちのすごさだ。クスコで首締め強盗にあったり、ブラジルの農場で車のドアもへこませるダチョウにキックされても、へこまない生命力。
 みちは春に今の仕事を辞め、チベットへ旅立つという。

 音楽の相棒タケちゃんの車でとなり町の極上格安居酒屋「瓢吉」へみんなでいった。
 もと魚屋のマスターは毎朝ある魚市場(企業秘密)でむっちゃ新鮮な魚介類を仕入れてくる。いついっても店は満員だ。ばかでっかい生牡蠣が4個で500円だよ。ハマグリよりでっかい化け物アサリが一個100円なんて、原価割ってるじゃん!
 ミキハウスの社長を今月辞めたタケちゃんは、4月にペルーに旅立つという。

26 february(wed)
20 galactic hawk moon

 昨夜10時に居酒屋から帰ってきて、「ラーメンズ」と「はねるのトびら」のビデオを30分ほど見たあと、みんなはまたネアリカをはじめた。
 太一さんは深夜1時くらいに床につき、「朋友」コンビ(朋子+友恵=ポンユー。ちなみにふたりは初対面)は明け方近い4時過ぎまで貼っていたという。4時間の睡眠後、朝8時から正午まで、2日で18時間制作していたことになる。
 北海道や京都からやってきて疲れているはずなのに、「朋友」パワー恐るべし!
 海鮮タコ焼きのブランチ(ブレックファースト+ランチ)のあと、徒歩5分の小倉山遊歩道で鼻笛の練習をした。
 葉を落とした枝たちが冬曇りの空をおおう。
 空のキャンバスに描かれた枝のデッサンは、完璧に美しかった。

「おい待てよ、なんで完璧に美しいなんて言い切れんだよ?」(ラーメンズの片桐的なつっこみ)
「おまえなあ、ひとの感動に水さすな。おれが美しいと思ったら美しいんだよ」(小林的な答え)
「だってあんなのただの枯れ枝じゃん。毛細血管みたくて気持ち悪いよう。うねうね〜ちょろちょろ〜」(両指を震わせながら広げる)
「おまえの好みはわかる。でもきのうサンクスの沙也香さんにレシートの裏に携帯の番号書いたのにレシート姥捨て箱にポーンだろう。たしかに沙也香さんは、むちむち〜ぽちゃぽちゃ〜だ。悪いけど、おれの好みじゃないね。おれは、うねうね〜ちょろちょろ〜がう・つ・く・し・い・んだよ!」
「じゃあ、美ってなんなんだあ!?」(前ふり長いなあ)

 片桐や小林が言うように(言ってないって)、「絶対的な美」は存在しない。
  「美」は、「関係性」にあるのだ。
 木々や、山や、川や、雪や自然を見て「美しい」と感じるのは、700万年間の人類史、35億年の生命の歴史で、プログラムされてきたからだ。
  秋に葉を落とし、春に新芽を生む木々のサイクルを、オレたち生命はあまりにも長いあいだ見つづけてきた。
 見慣れた風景に安心し、自分も生きのびられると思う。
 それを「美」と呼ぶ。
 「美」は対象そのものではなく、気の遠くなるような歴史から学びとった自分にとって友好(=有効)な「関係性」なんだ。
 この200年間、オレたちは遠まわりをさせられてきた。
 「自然」は醜い、「人工物」は美しいと。
  オレたちはあたりまえにあった自然を破壊してはじめて、大切さに気づく。
  遠まわりはむだじゃない。大切なものを再認識させるための通過儀礼だ。
 フラクタルな螺旋を描いて、オレたちは永遠に「まちがい」つづけるだろう。
 「まちがい」が「対抗進化」を生み、淘汰を生きのび、
 オレたちは今ここにいる。
 そして冬枯れの枝を美しいと思う。
 「死者のカムイ」の背景を彩るフラクタル図形は、自然の生成過程を模したものだ。
  自然自体が美しいのではない。
 自然を美しいと感じるように、オレたちは「条件づけ」されているのだ。
 その感覚を失ったとき、人間も滅びる。

27 february(thu)
21 galactic hawk moon

 クレイジーケンバンドと映画に出た。
 つーか、オレはエキストラだよ。
 テレビでやってる「池袋ウエストゲートパーク」の映画化だ。
 舞台は池袋のラーメン屋。
 カリスマ浮浪者役の剣さんは毛皮のコートに光り物のアクセサリーをじゃらじゃらつけている。そのふたりとなりのカウンターでオレは運ばれてきたラーメンにわり箸を割り、麺をたくしあげたときに、剣さんの決めゼリフ。
「いーねっ!」
 ラーメン屋の店員一同が拍手する。
 わっかんねえだろ。テレビも原作も知らないオレにはぜんぜんわからない。
 映画のスタッフをやってる友人のたのみとはいえ、このクソ忙しいのにオレ、なにやってんだ。
 でもわずか1メートルとなりで発せられた剣さんの肉声「いーねっ!」に満足し、帰宅した。

28 february(fri)
22 galactic hawk moon

 こんなにうめえチゲ鍋を食ったのははじめてだ。
  田口ランディさんのファンサイトをやっているトシさんが厳選された材料を送ってくれ、居酒屋に勤めるやじろべえさんが調理してくれた。
 佐川一政さんが辛いの苦手なので、やじさんは2種類の鍋をつくってくれた。両方とも牛筋のダシが利いていて、ポンちゃんもマッポンも大感激。

  ポンちゃんもマッポンも佐川さんと話したくて、合宿することにした。
 マッポンはエイズ撲滅キャンペーンの事務所に勤め、 翌朝10時から横浜で仕事がある。
 「明日の仕事は事務?」オレが訊く。
 「オチンチンづくりです」
 中学生向けの教材として男性器の張り型を木でつくり、すべりいいようにラップをはり、ストッキングをかぶせる。ときどき先端から白い木工ボンドがはみ出したりして、超リアル。あわててふき取る。これを使って中学生がコンドームの付け方を学ぶという。ううむ、すごい時代になったもんだ。

  ポンちゃんはすごい読書家で、ジョイスをはじめ日本の近代文学など膨大な知識を持っている。佐川さんがもってきた短編の批評を求めると、プロの編集者もびっくりするようなコメントを返す。ぜひ個人編集者にやといたいと、佐川さんが言っていた。

 佐川さんは数日前に湯船で手首を切り、病院に運ばれ、思いっきり落ち込んでいた。しかし温泉とネアリカと宴会ですっかり元気をとりもどし、上機嫌だ。
 必殺ネアリカ療法は効くなあ。

告知

AKIRA初講演「宇宙的ひきこもりの時代」
2003年4月4日(金) 6時開場 6時15分開演
横浜市健康福祉総合センター9階大会議室(地図)
ひきこもり経験者 500円/一般 1000円
先着100名(一般の残りはわずか。早い者勝ち)
3月10日締め切り
ネアリカの展示あり
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 第2作「太陽のカムイ」制作過程
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