下にいくほど新しくなっています

1 march(sat)
23 galactic hawk moon

 ポンちゃんは1時間仮眠をとっただけで、昨夜から今日の午後まで貼りつづけた。
「わたし、寝だめができるんですよ」
 2日間寝つづけて2日間起きつづけるのはざらだそうだ。テレビで見た百何歳のおばあちゃんみたいな特技だ。こういう人の1年は半年分になるので、低燃費のスローライフにはもってこいだろう。
 18回目のとっちゃんとともに、佐川さんも午後1時まで制作してくれた。
 午後3時に従兄弟のトッシーの車で足尾温泉にいく。
 オレは昨日も寝袋だったし、この2週間で10日もネアリカをやったのでふらふらだ。
 明日から6日間お休みをもらって、小説現代に依頼された短編の構想を練る。
 か、
 寝る。

2 march(sun)
24 galactic hawk moon

 屋根が飛んじまった。
 朝7時頃、5軒ほどうえにある友人から電話があった。
「おまえんちの屋根がはがれてるぞ」
 朝の5時まで原稿を書いていたので、意味もわからず「あっそ」と寝てしまった。
 起きて回覧板をまわすべくそとに出ると、
「まんもらほらちんちーん!」
 3メートルX50センチくらいのブリキが吹き飛ばされている。はしごで屋根に登ってみると、釘も打てないくらいぼろぼろに腐った梁がむき出しになっているではないか。
 栃木県は記録的な強風で、矢板市の家屋が倒壊したり、JR日光線は倒木のため始発から上下6本が運休したり、東北線の矢板−野崎駅間の箒川鉄橋で規制値(風速25メートル)を超え上下4本が遅れり、日光第2いろは坂沿道の建設作業小屋ががけ下の路上に落ちたり、そうとうの被害だ。
 宇都宮地方気象台では、3月としては過去最高の最大瞬間風速33.3メートル、日光は39メートルを観測した。  風の強さは、こんな風に表される。
 0〜4m/s 弱い (木の葉がゆれる)
 5〜8m/s やや強い (小枝がゆれる)
 9〜12m/s 強い (大枝が動く)
 13m/s以上 かなり強い (樹木全体がゆれる)
 家屋の倒壊現場では、台風並みの平均風速16メートルが吹いていたというから、築70年にもなるこの家が倒れなかっただけでも奇跡である。オズの魔法使いみたく吹き上げられて、玄関を出たら北朝鮮というのも困る。
 地元の業者に電話したら、そこら中の屋根が飛んでるらしく、1週間以上またねばならない。
 しかも明日の天気予報、雨じゃん。
 こうなったら、自分でやるしかねえ。
 もし明日この日記が更新されてなければ、オレが屋根から落ちたと思ってくれ。

3 march(mon)
25 galactic hawk moon

 屋根、直したよ。
 飛んだブリキをもどして、ボンド塗って、ゴムシート貼って、コンクリートブロック置いて、一丁上がり。
 ちょうどブロックがオレの頭のうえあたりなので、天井が抜けたら降ってくるだろう。
 なんかもう、つぎはぎだらけのフランケン・シュタインって感じだ。 (ちなみにフランケン・シュタインは博士の名前)
 フランケンで思い出したが、マヤ族の嵐の神は「フンラケン」という。これが「ハリケーン」の語源である。
 本格的な台風(ハリケーン)は200億トンの雨を降らせ、エネルギーの総量は原爆50万個に相当する。
 アメリカでよく発生する竜巻(トルネイド)は、台風の1000分の1ていどの威力だが、毎年何百人の死者を出す。吸い上げられると、体はバラバラに引き裂かれ、穴という穴は泥で塗り込められるそうだ。
  しかしちょっとお茶目ないたずらをすることもある。列車を空中で逆回転させて反対の向きで線路にもどしたり、寝ている子どもを窓から布団ごと吸い出し、子どもを起こさずに着地させたり、乳をしぼっている最中に牛だけもっていったり、馬や牛や豚が鳥よりも高く空を飛んだりしたという。
 昨日くらいすごい風なら、両手足首にシーツを縛り、 オレも飛べたんじゃないかな。大の字になって空に吸い込まれていくオレに、カウボーイハットをかぶった少年が叫ぶ。
「Yakko san.come back!」
 あっ、予報どおり雨が降り出した。

4 march(tue)
26 galactic hawk moon

 市役所に所得税の確定申告にいった。
 オレにとって年に一度の楽しみだ。
 原稿料や印税は最初から10パーセント源泉徴収される。オレのような低所得者には、それが丸ごともどってくるのだ。
 忘れたころにやってくる「タナボタ」のようなもんである。
 貧乏〜ってすばらしい〜。(生きるってすばらしいのメロディーで)

 「税金」の起源は弥生時代にまでさかのぼれるだろう。棒をはしご状に組んだ稲架(はさ)に、収穫物をかけ、神様にお供えしたのがはじまりだそうだ。これを「懸税(かけぢから)」と呼んでいた。
 竹中経済財政大臣いわく、一番最初の民主主義は「租税民主主義」だという。王様に税金を無駄遣いさせないよう、議会がチェックする。それが民主主義のはじまりだと。
 税務調査のはじまりは、紀元前約4千年前の古代帝国バビロニアの「税金徴収の監査」だって。
 どうでもいいけど、オレたちが汗水流して鼻水たらして働いた金を、無駄なダムや魚の住めない護岸やいらない道路やイラクの子どもたちの虐殺に使うなよ。
 んなことばっかやってると、税金という虚構が、国家という幻想が、ばれちゃうぞ。

5 march(wed)
27 galactic hawk moon

 去年、花粉症デビューしたが、今年はまだない。
 ネアリカンたちがくれた甜茶やシソエキスやベータグルカンなどのおかげだろう。
 アレルギーの語源はギリシャ語で、「変わった反応」という意味だ。(そのまんまじゃん)
 アレルギーの原因をアレルゲン(荒れる原)といい、日本では花粉症の約8割が杉花粉による。
 アレルゲン(花粉)に対して、「IgE抗体」がつくられ、鼻などの粘膜にある「肥満細胞」と結合する。そこから「ヒスタミン」(砒素多民)や「ロイコトリエン」(露伊小鳥炎)などの刺激物質が、鼻や目などの粘膜をかゆくさせるのだ。
 甜茶やシソには過剰な免疫反応を抑えるポリフェノールがふくまれている。
 去年の夏は暑かったので、今年の杉花粉は多いっつうし、
 杉並木にすむ杉山にとって杉花粉ほど恐いものはない。
 とか書いてるうちに鼻がむずむずしてきた。
 ハックショーン!
 この勢いで、フィクションのアクションをクリエーション、ときどき立ちショーン。

6 march(thu)
28 galactic hawk moon

 孤独は有機肥料。
 肥だめを泳ぐしか能がないんよ。
 だって自分の畑は、
 自分だけで耕せないんだから。

7 march(fri)
1 soler jaguar moon

 マヤ暦が「太陽の月」にかわった。
 テーマは「どうしたら私の目的に達するのか?」
 キーワードは、「意図」、「脈動させる」、「実感する」。
 シンボルである守護動物(トーテム・アニマル) はジャガー。
 アドバイスは、「個人的な欲求ではじめたものが、社会的な必要性に応じて変化をはじめる。計画を再度、定義し直す。与えられた社会的な責任を果たし、行為を公式化し動かしていく」。
 ううむ、「 個人的な欲求ではじめた」ネアリカが「社会的な必要性に応じて変化をはじめる」のかな? 
 近年さまざまな研究により、マヤ暦の恐るべき正確さが証明されている。
 マヤ暦によると、紀元前3114年8月12日にはじまった「現代」は、2012年12月22日に終わるのだ。
 人類もあと9年の命かよ。
 マヤ人は5000年以上も前から0の概念や、10進法、20進法、小数点、360度の角度測定法などを使っていた。
 ここ数年の宇宙探査や天体観測でわかった惑星の運行や太陽の黒点活動、太陽の磁場が逆転する周期まで割り出していた。
 太陽の磁場は平均3740年ごとに逆転する。
 前回は西暦440年から814年にかけて逆転し、中間の最大期にあたる627年にマヤ文明は滅びた。
 じゃあつぎは3740+627=4367年じゃないの?
 宇宙の巨大周期ごとに太陽の磁場は5回ずつシフトする。マヤ人は地球が過去に4回大災害に見舞われ、5回目が2012年だと予言しているのだ。
 最悪のシナリオは、逆転した太陽の磁軸と一直線になろうとして地球の磁軸が傾く。
 地震、火山噴火、洪水、台風、干ばつ、放射線の増大、不妊や乳児の死亡、多くの種が絶滅し、新しい種が生まれてくる。
 もちろん2012年12月22日にどわっとくるわけじゃなく、数々の前兆が起こるからちょびっとの対策はできるだろう。
 たとえば原子力発電所を停止させ、地球20個分を吹き飛ばす核爆弾を廃棄するとか。
 ノストラダムスみたいなあいまいさじゃなく、具体的な数字でくるからマヤの予言は恐い。数学に弱いオレの説明じゃうまく伝えられないので、「マヤの予言」(エイドリアン・ギルバート、モーリス・コットレル著。凱風社)を読んで。
 でもなあ、オレ終末論って嫌いなんだよなあ。
 死ぬなら死ぬでいいじゃん。
 こんな大舞台に立ち会えんだからさ。
 今日も雪んなかを靴下をびちょびちょにしてラーメンズのビデオを返しにいったし、「はねるのトびら」が4月7日から毎週月曜24:35〜58になったし、ぶさいくな日常ほど愛しいもんはない。
 たとえあと9年で世界が滅びても、オレは好きな歌を歌い、好きな文章を書き、好きな絵を描き、創りつづける。
 「今、ここ」に生きている奇跡を楽しむために。
 おっと、明日からネアリカ再開じゃん。

8 march(sat)
2
soler jaguar moon

 今日のネアリカンは、5回目の亜子ちゃん、2回目の美里ちゃんとポール(名取和宏)、初参加の清水君と余帆子ちゃんだ。
  亜子ちゃんは最初に音もでなかった鼻笛を完全マスターしており、美里ちゃんはアジアダンスフェスティバルの公演を終え、ポールは東京でいちばん美味いフランス直営のパン屋「PAUL」から極上のパンをたくさん買ってきてくれた。
 清水君は9月に子供が生まれる。 男か女かはわからないのに、名前だけは決めている。男の子の名だ。なんとその名は、
 侘助(わびすけ)!
 将来海外に出たときも考慮しているそうだ。
「Hey Wabby!」
 清水君は巻き舌で発音した。
 一人の人生を左右する「侘助サミット」に集まったG6は、全員一致で「侘助」を採択した。
 侘助が14歳になったとき、
「侘びいれてもらおうじゃねえか」
 
われわれはひとりづつ金属バットで殴り殺されるのを覚悟してシャウトする。
「Hey Wabby!」
  余帆子ちゃんはマヤのカレンダーを検索していて、ネアリカに出会った。半年かけてヨーロッパからアメリカ、オーストラリアや南米、アフリカも旅している。大学卒業後は開発援助機関に就職も決まっている。
 お兄さんが障害者であることも彼女の人生に大きく影響している。家族に障害者を抱えることの重みが伝わってくる。「スピ系」(スピリチュアル系)に惹かれるが、それでも「今、目の前にある現実 」から逃避しない力強さは、現在31歳で、5歳のまま成長しない肺と無垢さをもちつづける「兄が身をもって教えてくれた」ものだろう。

9 march(sun)
3 soler jaguar moon

 今日のネアリカンは、5回目の明子ちゃん、2回目の余帆子ちゃん、初参加は、京都から美紀ちゃん、そしてぬあんとベルリンから! ことのちゃんだ。
 骨折から復帰した明子ちゃんは、世界中を旅する放浪人だし、余帆子ちゃんもドイツに留学していたし、美紀ちゃんは9年アメリカ(テネシーとNY)に住んでいた。ことのちゃんは最初バルセロナに留学していたが、現在はベルリンの美術学校にかよっている。
  なんだかすごいメンバーだな、今日は。
 オレも4,5回ドイツにはいってるし、ドイツ人の友人も6人ほどうちに泊まっているので、ドイツ話で盛り上がった。
 ベルリンはモヒカン率が世界一高く、「変人」が多いという。頭にシングルレコードをのせ、穴から髪を飛びだたせている人がバスに乗ってきても誰も注意を払わない。
 ネオナチ警報が出ると、有色人種は外出を控える。とくにベトナム人がよく被害にあうそうだ。
 花屋でブーケを買ったら、ニンジンやピーマンまで混ざっていたりする。
 スーパーでマイバッグを忘れると150円くらいの布袋を買わされる。
 食事はかなり質素で、ゆでたジャガイモサワークリームを塗っただけのものが「ご馳走」としてふるまわれる。
 学生の授業料は無料だが、最近は留学生のみ少し払わされるようになった。
 地下鉄でくしゃみをすると、見知らぬ人から「Gesundheit!」(ゲズントハイト。ご健康に)と言われ、車両中からこだまのように「Gesundheit!」「Gesundheit!」「Gesundheit!」と声がかけられる。
 路面電車は自己申告制なので、かんたんにただ乗りできるが、パンクの兄ちゃんさえしっかり料金を払う。
 オレはラテン人と気が合うが、生真面目で人当たりのいいドイツ人も好きだ。
 現代アートの中心はニューヨークからドイツに移っている。アーティストを優遇する天国のような国なので、移住もいいかも。

10 march(mon)
4 soler jaguar moon

 完成日に集まったネアリカンは、19回目のとっちゃんと5回目のちーぼー、昨日から泊まり込んだ美紀ちゃんと太一さんだ。
 太一さんは、4日まえに言葉をなくした。
 地元の図書館で働く女性に恋し、どうすれば気持ちが伝えられるんだろうと悩んでいた。
 彼女は子どもに絵本を見せるのが好きで、その笑顔の素敵なこと!
 しかし勤務中の彼女に、お茶や映画に誘うなど、個人的な会話をもちかけるわけにはいかない。
 とくに日本では、「公」の場に「個」をもちこむことは厳禁とされているし、「忍び文」などを返却のときにわたしたらストーカー(エロ忍者)と思われてしまう。
 どうしよう、こうしよう、ああしよう、だめだっ!
 自分のふがいなさに泣いた。
 一晩号泣したあと、ある異変が起こっていた。
 声が出ない。
 翌朝母に「おはよう」と言ったつもりなのに、音声にならないのだ。
 こりゃあ、思いっきりパニクるよ。
 もちろん耳は機能してるから、相手の言ったことは100パーセントわかる。でも音声で答えられないのだ。
 オレが、アメリカ、ギリシャ、イタリア、スペインと移り住んだときのジレンマがよみがえる。
 苦しいよな、これ。
 言葉が話せないだけで、赤ん坊以下の扱いを受ける。
 外国に旅したこともなく、母国語(マザー・ランゲージ)のみで暮らしていると、「言葉」がもつヒエラルキー(階級意識)や、重要性を実感できないかも知れない。
 でも太一さんの立場に立ってイマジンしてみて。
 ある日目が覚めたら、「言葉をなくしていた」んだぜ。
 太一さんは自転車とテントで関東から屋久島まで100日間もかけて旅した強者だし、ネアリカに3回も参加してる。
  オレは、おもしろがってしまった。
 「こんな貴重な体験うらやましー!」
 もし自分が「言葉をなくした」ら 、ひとに会わないだろう?
 太一さんのすごいところは、「自分を笑い飛ばす」力だ。
 元ひきこもりであり、オレの講演会のタイトルの命名者でもあり、じぶんの特異な体験を「シェア」(次世代のキーワード)しようとしている。
 いっしょに露天風呂につかって月を見あげ、帰りぎわに抱きしめた。
 おたがいにゲイじゃないが、「魂のオカマ」かもしれない。

11 march(tue)
5
soler jaguar moon

 きのう太一さんに「ひとつの能力を失うと、新しい能力が開花するかもしれない」とオレは言った。
 そこで思い出したのが、整体の創始者、野口晴哉(はるちか。1911〜76年。)である。
 キリストの再来とでも言おうか、近代日本最大のシャーマンだ。
  晴哉は明治44年、8人兄弟の次男として東京の入谷に生まれたが、ジフテリアにかかった後遺症で9歳まで言葉が話せなかった。
 子供のいなかった針灸師の伯父の家にあずけられ、大切に育てられる。しかし伯父夫婦に子どもができたため両親のもとに返される。
 子どもが多かったためと、晴哉の言語障害のため、両親から冷遇され、孤独な少年時代を過ごした。
  晴哉は、当時流行していた催眠術を独学し、友だちなどにかけて遊んでいた。本人は催眠術のつもりだったが、じつはもっと巨大な能力だった。
 祖父にむりやり連れていかれる浅草の東京本願寺で、坊主の説教が退屈なため、会場の人々に「揺れる、揺れる」と念を送った。すると本当に人々が揺れだしてしまったのである。
 電車のむかい側に座った人々に「眠れ、眠れ」と念を送ると、眠ってしまう。
 映画館で前のやつの帽子が邪魔なんで、「帽子をとれ」と念を送ると、そのとおりになる。
 いたずらにつかっていた「催眠術」が、関東大震災 によって「癒し術」へと開花する。
 東京では上下水道が壊滅し、赤痢やチフスが広がった。苦しむ近所の煮豆屋のおばさんに晴哉は思わず手を当てた。人の体の悪い部分が黒く見え、手を当てるだけで直ってしまうのだ
 12歳の少年のもとに病人が殺到し、つぎつぎと快癒させていく。
 1926(大正15)年、晴哉はわずか15歳でヒーラーとして入谷に診療所をひらいた。手持ちの金は3円60銭だって。平均月給30円の時代だから、現代にすると3万円くらいになるのかな。
 若干17歳で「自然健康保持会」を設立し、45歳で文部省認定の「社団法人整体協会」を設立する。
 これは大きな方向転換だった。病気を「直す」ヒーラーから、病気と「共存する」教育活動を展開するのだ。
 戦後の日本には西洋医学がどっと流れ込んで、東洋医学は「迷信」とされた。そんな逆風の時代に100年も先を読む理論体系をつくりあげ、無数の人々を癒していく。
 病気は、「気づき」を与えてくれる「贈り物」なんだと。
 野口晴哉は、オレのもっとも敬愛する「天の邪鬼主義者=アマノジャキスト」のひとりである。
 目に見えない生命エネルギーを、中国は「気」、インドは「プラーナ」、古代ギリシャは「プネウマ」、古代ヘブライは「ルーアッハ」、イスラム神秘主義のスーフィーは「バラカ」、ポリネシアは「マナ」、インディアンは「オレンダ」と呼んでいた。
 個人的探求においても、メスメルは「生物磁気」、ガルバーニは「ライフ・フォース」、ゲーテは「 ゲシュタルツング」、ライヘンバッハは「オディック・フォース」、リシェは「エクトプラズム」、サクストン・バーは「生命場」、シュタイナーは「エーテル」、ライヒは「オルゴン」、インニューシンは「バイオプラズマ」、B・ラインは「サイ」、ライアル・ワトソンは「偶発システム」、シェルドレイクは「形態形成場」と呼んでいる。(参考文献「ヒーリングボディー」上野圭一著)
 野口晴哉は「愉気」と呼ぶ。
 「いーねっ!」
  とクレイジーケンバンドも叫びそうなネーミングである。
  「愉快な気」、「わくわくする気」、「ハッピーエナジー」を送ったら病気だって踊り出しそうじゃん。
 たとえば君が風邪をひく。(花粉症もいいな)
 ラッキー!
 免疫機能が正常に稼働している。病気=健康だ。
 風邪は体のシンメトリーを修正してくれる。直前に顔のバランスを観察すると歪んでいるそうだ。
 風邪薬なんて、とんでもない。
 近代医学は、出る杭は打つという「アロパシー」(対症療法)で袋小路にいきづまった。
 野口整体は古代ギリシア医学における「ホメオパシー」(同種療法)に近い。
 ホメオパシーは、抑えない。
 熱が出たら、もっと熱を出させる。
 下痢をしたら、もっと下痢させる。
 野口晴哉いわく、
 「病気になるのは、健康だから」(カルチャーショック!)。
 病症は抵抗作用だから、自然治癒力に気づくことで病の広がりを止めるだと。
 スタニスロフ・グロフヤ、アンドリュー・ワイルや、チャールズ・タートがあらわれるまえに、野口晴哉という日本人が「自然治癒力」という存在を、実践的に説いていたのだ。
 「健康」とは、常に変化しつづける体、敏感で柔軟な感覚を育てることだと。
 「病気」は人生最高のプレゼント?

 くわしくは「整体入門」「風邪の効用」野口晴哉 (ちくま文庫)。「野生の哲学」永沢哲(青土社)がおすすめ。

12 march(wed)
6
soler jaguar moon

 野口晴哉を書いたら、もうひとりの巨人、野口三千三(みちぞう。1914〜1998年)も書かずんばなるまい。
 身体論の革命である「野口体操」の創始者だ

 三千三は、大正3年群馬県で生まれた。小学校の教師として働くかたわら、独学で解剖学などを研究した。
 しかし敗戦によってすべての価値観が崩壊する。東京は焼け野原となり、人のつくったものはことごとく崩れ去った。
 悲惨な光景をまえに啓示がふってきた。
  大地は毅然として残り、人の体も自然の一部であると。
 オレも20年ほどまえ、野口体操を教わったことがある。
 ニューヨークのプエルトルコ人と大げんかをし、逃走の旅に出た。それに同行したのが、当時「大駱駝鑑」で舞踏家をしていた荒井ノリトだった。
 オマハの図書館まえにある公園で、ツラが割れないように丸坊主にされ、石けんがないのでノリが直接ツバをオレの頭に吐きかけて剃る。公園を散歩する人々はふたりの坊主のあやしい動きに集まってきて、投げ銭までしてくれた。
 舞踏の基礎となるのも野口体操なのだ。
 別名「こんにゃく体操」とも呼ばれ、体に不自然な動きを強要する従来の体操とは対極にあるゆらゆらにょろにょろの脱力運動。
「人の体は骨があって、それに筋肉がつき、その外側を皮膚がおおっているというのが一般的な考え方だが、まず皮膚と言う一つの生きた袋があって、その中に液体がいっぱい入っていて、骨や内臓や脳がその中に浮かんでいるというのが体ではないだろうか」
 たとえば「ぶらさげ」は、両足を開いて立ち、上半身の力を抜く。体のなかの水を揺らしていき、波が伝うようにまえへ上半身を倒す。今度は指先から水を吸い上げるように上半身をゆっくりと起こす。
「自分の重さ(存在)に任せる。それは重さの神の声を聴くこと。重さの神とは自然の神の使途」
 「おへそのまたたき」は、仰向けに寝て両手を上に伸ばし、おへそのあたりの力で上体を起こす。あいかわらずほかの筋肉は弛緩させたままである。
 「しりたたき」は、足の裏で自分のケツをたたく。これも力を抜かないとできないのよ。ばしっと当たるといい音がする。
「最大量の筋力を発揮するには,それぞれの瞬間に少なくとも全身の筋肉の半分は休んでいなければならない。」
 野口体操は、いかに力を入れるかではなく、いかに力を抜くか。いかに体をコントロールするかではなく、いかに体に教えてもらうか。自然や重力に逆らわず、感覚を澄まして体の声を聴く。
  三千三は長年東京芸術大学で体育を教え、同大学の名誉教授でもあった。ガイアの時代を先取りしたような独特の宇宙観、ホロトロピック(包括的)な身体論、味わい深くユーモラスな語り口は。多くの芸術家や舞踏家や演劇関係者や教育者を魅了してきた。
「まるごと全体のからだが、優しさという生きものになり切ったとき、すべての動きは易しくでき、そのときの感じは安らかで休まり癒される」

 くわしくはオフィシャルページ
  「原初生命体としての人間」野口三千三(岩波書店)。「野口体操 からだに貞(き)く」野口三千三(春秋社)。三千三の高弟である羽鳥操の「野口体操 感覚こそ力」(春秋社)。

13 march(thu)
7
soler jaguar moon

 今日から新しいネアリカにはいった。
 ネアリカンは3回目の友恵ちゃんと、2回目のこまっちゃんだ。
 北大の春休みで東京に居候生活している友恵ちゃんいわく「北海道は寒いので、冬はほとんどひきこもりですよ」と言う。
 こまっちゃんは、インディーズ映画を紹介するNGOをやっている。世界中からビデオが送られてきて、月1で中野で上映会をやっている。つぎはブラジルのインディーズ映画を上映するが、ブラジルでひきこもっていた作品をいきなり日本にひきだしてしまう。
 今回のネアリカは「孤独のカムイ」である。
 不浄とされる左手に目があり、自分の流した涙の海におぼれていく。
 ネアリカンの米木太一さんが描いた原画に感動し、
 「孤独」を「シェア」(共有)したいと思った。
 「シェア」できないから「孤独」なんじゃねえかよ!
 と、つっこまれそうだが、 誰もが痛いほど知っている共通課題だ。
 「孤独」ってなに?
 オレの思いつきだけ、羅列してみる。

 「孤独」は、「他者」との関係を断ち切る。
 「孤独」は、「自分」の内面を見つめる。
 「孤独」は、今までつながらなかった新しい「他者」と出会う。
 「孤独」は、世界を拡大する。
 「孤独」は、過去のしがらみを断ち切り、生まれ変わる通過儀礼だ。

 深夜すぎてもまだネアリカはつづいているので、そっちに参戦する。
 これからみんなといっしょに考えていこう。
 メールやネアリカーナに「わたしの孤独体験」「自分にとって孤独とはなんぞや?」などをお寄せください。

14 march(fri)
8
soler jaguar moon

 今日の ネアリカンは、夜中過ぎまでかかってすんばらしい「目」を完成させてくれた北海道の友恵ちゃん、20回目という大記録を成し遂げたとっちゃん、「昭和の子ども」ちーぼー(6回目)、「ロンドン帰りの由紀」(6回目)である。
 富山の実家から屋久島に旅立つ友恵ちゃんを夕方4時に見送り、全員温泉を拒否して夜8時まで貼りつづける。(10時間労働だぜ!)
  フレームのデザイン制作をまかせているとっちゃんから、とんでもないアイデアがでた。
「脱脂綿をつかったら?」
「えっ、毛糸絵画に?」
 やじさんが寄付してくれたピンクと水色の毛糸で下地をを貼り、うえに脱脂綿の雪を降らせることになった。無口なフレーム職人はネアリカの可能性を広げてくれる「前衛仙人」である。
 
ちーぼーの制作した月は、チジミ(韓国風お好み焼き)みたいで美味そうだなあ。
 3ヶ月ぶりにネアリカ復帰した
由紀ちゃんは、母方のおばあちゃんの死と大学の卒業旅行が悪印象でひきこもっていたそうだ。
 身内の死というのは、ランディさんいわく「ボディーブローのようなものよ。あとからじわじわきいてくるんだから」。
  死者は生者を「孤独」に突き落とす。
 野口晴哉のいう「風邪は歪んだ体をシンメトリーにもどす再生の儀式」ならば、
 「身内の死というのは、歪んだ心をシンメトリーにもどす再生の儀式」なんじゃないかな。

15 march(sat)
9
soler jaguar moon

 今日の ネアリカンは、3回目の由香ちゃんと2回目のたまちゃんだ。
 由香ちゃんのバイク(スズキの250cc、グラス・トラッカー「草に轍を残す者)の名前を考えた。
 「寅さん」
 ほかのトラッカーのってるやつもこう呼んでる可能性があるのでボツ。
 「草薙さん」。
  スマップのファンとまちがわれるのでボツ。
 「ヤン・グルジンスキー」。
 なんじゃそりゃでボツ。
 「日本呪術史」とかで調べて決めた。
 「梵」(ぼん)。
 速記者のたまちゃんは、赤い絨毯を踏んで国会議事堂に出勤する。国会中継を探せばたまちゃんがいるのだ。
 国会中継を真剣に見てみよう。たまちゃんウォッチングのために。

16 march(sun)
10
soler jaguar moon

 きのうソウルフラワーユニオンのライブにいったネアリカン友恵ちゃんから、「ホライズンマーチ」という曲の歌詞がとどけられた。

ひとりとひとりが出会うこの町
へその緒切れたときにすでに孤独さ
笑った分だけ涙なんて落ちる
涙が溜まれば海になる

踊ってゆこう 何もホラ逃げないから
そしてブラッとゆこう 地平線はそこにあるから
立ち止まってみよう 何もホラ
げないから
そしてもぐってゆこう 夜にだって月はあるから

 オレが28日のライブにいくシロップ16gの「My Love's Sold」(売られた僕の愛)にはこうある。

愛されたいなんて言う名の
幻想消去して
沈むよ嵐の船

環境と関係性と
感情の海で
むよ嵐の船 箱の船

 谷川俊太郎さんは、1952年21歳のデビュー作「二十億光年の孤独」でうたっている。

人類は小さな球の上で
眠り起きそして働き
ときどき火星に仲間を欲しがったりする

火星人は小さな球の上で
何をしてるか 僕は知らない
(或はネリリし キルルし ハララしているか)
しかしときどき地球に仲間を欲しがったりする
それはまったくたしかなことだ

万有引力とは
ひき合う孤独の力である

宇宙はひずんでいる
それ故みんなはもとめ合う

宇宙はどんどん膨んでゆく
それ故みんなは不安である

二十億光年の孤独に
僕は思わずくしゃみをした

 オレが83年のニューヨークで書いた詩集に「キリンの雨」というのがある。

ゾワゾワゾワージュリロー
突然の雨
 雨はなにかを待っているとき降るという
 ボクはなにを待っているんだろう?
 大福もち パチンコ屋の花輪 キリン
 やつらは雨の夜なにを待ってるんだ?
 なんでもいい
 だれでもいい
 とにかく ボクのところに来てくれ
 ただ となりにいてくれればいいんだ
 それだけで それだけで
 じゅうぶんなんだ

ギャラクシ ダッシャーン!
突然の雷
 雷はなにをそんなに怒ってるんだ
 ボクはなにもしてないよ
 おんぼろピアノ サンドバック 注射器
 なんでもする
 だれとでもする
 とにかく ボクのことを怒らないでくれ
 ただ 歌ってくれればいいんだ
 それだけで それだけで
 じゅうぶんなんだ
 それだけで それだけで
 生きていけるんだ
 
 「必要」は、発明の母であるように、
 「必要悪」

 「孤独」は、創作の母である。

17 march(mon)
11
soler jaguar moon

  アマゾンからメールがとどいた。
 「アヤワスカ!」を読んでペルーへ旅立っていったネアリカンbico
(ビコ)さんからだ。
 10歳の娘もいる40代前半のお父さんである。
 ちなみに鼻笛を教えてくれたのもbicoさんだし、 「ビコ劇場」なる、踊り、歌、詩、鼻笛、何でもありのパフォーマンスを路上やライブハウスでおこなっている。
 「アヤワスカ!」にもでてくる「ドン・パブロ・アマリンゴ」のところに20日間滞在したあと、ペルー・アマゾンの最大の都市イキトスからジャングルでシャーマン修行をしているという。
 わけもわからず、こんな状況に追いつめられたビコの想いがビンビン伝わってくるライブメールだ。
 イキトスには日本語ソフトがないし、ビコに許可を取るのも不可能だし、これは「孤独」という混沌に放りこまれたひとりの男の「詩」だと思う。あえてローマ字のまんま伝えよう。
  ライブ中継ほど生々しいもんはない。

 AKIRA GENKI DESUKA?
 IMA IQUITOS NO NETCAFE KARADESU.
20NICHIKAN USKOAYAR(ドン・パブロがアマゾンでひらいた絵画学校) NI TAIZAISITAATO,
IQUITOS KARA SARANI HUNEDE 2JIKANHODOKAKARU TAMUSIYAKU TOIU JUNGLE NO NAKADE,
  MAINICHI AYAWASKA ZANMAI NO HIBIDESU.
 AYAWASKA TO JYUJUTSUSHI NI BAKAATAMA NO CHIRYOu WO UKENAGARA,
 NANTO JYUJUTSUSHI NO SHUGYO WO SITEMASU.
 AYAWASKA NI DAI 3 NO ME WO MORAATARI,
 UCHU NIMO TSURETEETE MORAATASI,
 BOUREI MO SEIREI MO ARAWARERUSI,
 DANCE MO OSIETEMORAATERUSI,
 GOD DEMO
 HOTOKESAMA DEMO
 TENSI DEMO
 NANDEMO ARIDE...
 MOU DOUNIDEMOSITE!..
 .TOIUKANJI.....
  I AM STILL IN AYAWASKA MAGIC.
 ASITA MATA JUNGLE NI MODORIMASU.
 JIKAN NO YURUSUKAGIRI,
 JUNGLE NI TODOMAATE AYAWASKA NO OKU NO OKUMADE IKUTSUMORIDESU.
 AISITANO YORUNIWA,
  AYAWASKA TO SANPEDORO WO DOJINI YARIMASU.
(この組み合わせは薬学的に危険だからやめろ! と言っても手遅れ)
 SORENISITEMO
 IMA BOKUGA TAIKENSITERUKOTOWO MINNANI DOUYAATE TSUTAERERUNOKA..?.
 AYAWASKA WA
  SEISIN NIMO
  NIKUTAI NIMO KIKU
 SUGOI YAKUYOUSYOKUBUTSU
(薬用植物)DESU.
 SORENI、 JYUJUTSU NO SEKAINIWA KAGIRINAKU MIRYOKU WO KANJITEIMASU.
 KONO TAIKEN WO JIBUN NO JINSEI NIMO, 「BICO GEKIJOU」(ビコ劇場)NIMO I
IKASU TSUMORIDAKEDO,
 MAJI
 JYUJUTSUSI NI NAROUKANA!!??
  NANTE.......
 AYAWASKA NIWA, KANPEKI NI POSITIVE NA SEKAI GA ARUKOTOWO.....
  BOKURA NO IKITERU SEKAI NIWA MUGEN NO KANOUSEI GA ARUKOTOWO....
  .BOKURAJISIN GA KONO GENJITU WO IKAYOUNIDEMO 「CREATE」(創造)
DEKIRUKOTOWO......
SOREKARA,OTOGINOKUNI GA
  GENJITUNI SONZAISURUKOTOWO OSIETEMORAATEMASU.
 I FOUND NEVERLAND THAT IS MY HOMEGROUND!
 I LOVE FUTURE! SUPER NOVA! JOY!
 Bico YORI

18 march(tue)
12
soler jaguar moon

  ジョージ・W・ブッシュの最後通告をライブ映像で見た。
 このポペット・ショー(人形劇)は、怒りや憤りを通り越して、
  「あわれ」だった。
 英雄を気取る顔が、粒子に拡散してしまうような非存在感、
 「正義」や「自由」という言葉が干からびて風にちぎれていく。
 幼いジョージは巨大な父の影におびえながら「男らしさ」をむりやり演じてきたのだろう。
 一生をポペット(操り人形)で過ごすという孤独をジョージは自分に課した。
 人形使いは、ディック・チェイニー副大統領である。
  ディックはジョージ・H・ブッシュ元大統領(父)のとき、国防長官として湾岸戦争を指揮し、この戦争で大もうけしたハリー・バートン社の社長となる。ハリー・バートン社は軍事基地の建設や石油ビジネスで何10億ドルもの巨大利益を得ている。ディックの妻リンはロッキード社の重役となり、軍需契約史上最大の戦闘機製造契約を交わした。
 人形劇の脚本や演出は、一握りの企業が独占している。
 アメリカ連邦政府(自由裁量)予算の50%を軍事費が占め、教育関連予算はたった8%である。
 国防総省と契約した会社を1999年度予算で見ると、ロッキード(127億ドル)、ボーイング(116億ドル)、レイセオン(64億ドル)、ゼネラル・ダイナミックス(46億ドル)、グラマン(32億ドル)、ユナイテッド・テクノロジー(24億ドル)、ゼネラル・エレクトリック(17億ドル)、テキシトロン(14億ドル)、TRW(14億ドル)などだ。
(参考文献「戦争中毒」
 一発のミサイルは2億円。
 劣化ウラン弾で白血病やガンで死んでいくアメリカ湾岸戦争兵士やイラクの子どもたち、デイジーカッター爆弾で挽肉となって飛び散るアフガンの子どもたち、新型爆弾のモルモットとなるイラク国民の命は、
「How much ?」
「Too much」
  今回の新型爆弾「MOAB」は、「MASSIVE・ORDNANCE・AIR・BURST」(空気を切り裂く巨大兵器)。米軍関係者のジョークでは「MOTHER・OF・ALL・BOMB」(すべての爆弾の母)と呼ばれている。
 第一次世界大戦で「戦争」は終わった。
 「宗教の正義」や「国家の威信」が、「経済原理」に乗っ取られた。
 ヒロシマ以降は「War」ではなく、「Bargain」(バーゲン=不当取引)だ。
 命のバーゲンセール、武器の在庫一掃セール、出血大サービス!
 イラク兵士の訓練風景を見て、涙が出そうになった。彼らはまだ戦争を「宗教の正義」や「国家の威信」だと信じている。
 オレは、暴力や闘争本能は肯定する。精子の時点から競争原理はプログラムされているし、人類はウイルスや外敵との戦いによって進化してきた。
  しかし「経済原理」は、ここ数100年の流行にしかすぎない。
 今回の世界的な反戦デモを見て気づかなかったかい?
 遊んでる。
 学生運動とかの世代は「真剣みが足りない」と批判していたが、オレはそう思わない。
 宇宙は、壮大な遊びだ。
 だからつづいている。
 「主義」や「正義」や「経済」は、遊びを排除する。
 だからつづかない。
 反抗や批判からはなにも生まれない。
 創ろうよ。
 「戦争」よっかワクワクできる、
 「新しい遊び」をさ。

19 march(wed)
13
soler jaguar moon

 着陸寸前の飛行機から見た町はキャラメル箱のようで、高層マンションの明かりのひとつひとつに生活があって、明るい家庭や浮気問題や受験戦争や家庭内暴力が、埃のかぶった蛍光灯のしたでくり広げられている。
 生きている人間、全員が「孤独」だ。
 Mさんからのメール。

 「孤独のカムイ」は見ていると一緒に泣けてきます。
 なんででしょう。いつの孤独を思い出すのでしょう。
 私の中の孤独ではなく、太一さんの孤独があまりにも深く、それを理解してあげることは出来ないからかもしれません。

 「孤独」とはと考えると、アメリカで死んでしまった友達を思い出します。
 交通事故の後遺症でアパートの部屋で一人死んでしまってました。
 亡くなってから2、3日ほどして他の友達が大家さんに連絡してアパートを開けてもらって見つかったそうです。
  彼は苦しんだのだろうか?
  孤独だったのだろうか?
 不安だったのだろうか?
 幸せだっただろうか?
 と考えてしまいます。

Kさんからのメール。
 
 私にとって孤独とは、
 「誰も その人の哀しみの深さを知る事は 出来ない」
 つまり他者の介在が全く許されない。
 いや他者がいることさえ気付かない。
 また
 「この世に宇宙に 自分と自分という宇宙のみが存在する状況」
 他者がいて自分がなにものか? と確認出来ますが。
 他者がいなくては、まったくわからない状況です。
  
 ちなみに私の孤独体験は。。。父との関係。
 家族仲良く出かけたりした反面、
 幼いころから無視して育てられもしました。
 夕飯を食べようと食卓へ行ったり、テレビを見ようと居間へ行くと部屋から出ていかれます。
 話しかけても返事はなく。たまに返ってきても怒鳴り声でした。
 
 血が繋がった親子というより たまたま父親となった見知らぬおじさんという気持ちがどこかにあります。
 私が29歳となったいまは、だいぶ変わってきました。
 
 今年は初めてバレンタインデーでチーズケーキのおすそわけが出来、なんだかとてもウレシイです。
 
 ちなみに父の父、 わたしにとっての祖父は愛人をつくり、家を空けっぱなしで、何度も刃物で自分を傷つけては、最後に自分自身を電車で殺めてしまいました。
 血筋らしく父の弟、わたしにとっての叔父も自身を殺めました。
 
 今となって父は、家族として接したくとも家族のアイデアがなかったために、会社のような人間関係を家族に作ってしまったのかもしれません。  
 我ながら 様々な家庭があるなかのひとつだなと実感します。

 
飛行機から見るまでもなく、地球には70億個の「意識の果実」が実っている。
 ぜんぶがぜんぶ異なった味をもつ。
 あるものは、必死で成長しようとし、
 あるものは、 たわわに実り、
 あるものは、種をやどし、
 あるものは、しぼみ、
 あるものは、地に落ち、
 あるものは、栄養となる。
 ちがいは個性であり、孤独だ。
 孤独は、
 ちがうものへ必死に伝えようとする
 透明な種?

20 march(thu)
14 soler jaguar moon

 今日のネアリカンは、クラゲねえさんこと3回目のあやちゃん、三回目のえみさん、初参加のカップルはクマちゃん(熊井晃史)とあきこ(小本あきこ)ちゃんだ。
 免許とりたてのあやちゃん、1年半前にとったえみさん、ともに女性ライダーである。
 法政の国際環境学部にかよう、クマちゃんはアメリカのボストンに、あきこちゃんはフランスのリヨンに留学経験がある。
 平和にネアリカをはじめたとたん、えみさんにメールがはいった。
「開戦よ」
 あわててテレビをつけると、花火のような閃光が夜空を震撼させ、巡航ミサイルが発射される映像がくり返される。
 たとえ40発だろうと、宙を舞うミサイルは着弾する。人や動植物のすむ大地に。
 あまりの無力感に胸がどんより重くなる。
 オレは「人間の盾」にもなれないし、デモにも参加していない。
 今のオレやネアリカンにできるのは、ひたすら毛糸を貼ることだ。

 「人間はミサイルもつくれるが、こんなに美しい作品だって創れる」。

 孤独は無力じゃない。
 たとえ世界とのなれ合い関係を断ち切ったとしても。
 世界との新しい関係を生み出す一本の糸になりたい。

21 march(fri)
15 soler jaguar moon

 シロップ16gのニューアルバム「HELLSEE」がついに発売だぜ!
  音楽の好みはみんなちがうが、オレにとっては現存する日本のバンドで最高峰だ。15曲入りで¥1500というインディーズプライスと、2色刷のインディーズなジャケットに心配したが、内容は充実。あいかわらずネガティブな五十嵐節が冴えまくってる。

 戦争はよくないなと
 となりのやつが言う
 適当なソングライターも
 たばこに火をつける

 テレビのなかでは
  込み入ったドラマで彼女はこう言った
 「話しもしたくないわ」
 そこだけ俺も同意した(「HELLSEE」)

 明日の天気なんて知らなくたっていいじゃん
 明日の敵なんて知らなくたっていい
 朝になってみりゃわかるんじゃねえの?
 傘がなくたって死ぬわけじゃねえさ(「I'm 劣性」)

 汚れた人間です
 卑怯モンと呼ばれて
 とくに差し支えないようです
 道だって教えます
 親切な人間です
 でも遠くで人が
  死んでも気にしないです(「ex.人間」)

 使えないものは駆除し
 排除されるよなあ
 雑踏のその何割
 いらない人だろう

 絵本はもうお終い
 迷路はもう行き止まり
 正常はもうおしまい
 正常ははもう行き止まり(「正常」)


 今もイラクの人々の上には爆弾の雨が降りつづいている。

22 march(sat)
16 soler jaguar moon

 今日のネアリカンは、お盆に帰省した家族状態だった。
 ともに4回目のミッシェルと由起ちゃん、初参加は、広島から三代目春駒夫妻、兵庫からイクちゃん、長野からT
ちゃんと3歳の娘Sちゃんだ。
 ミッシェルは大量のタイカレーをつくってくれ、由起ちゃんは東大合格よりむずかしいラーメンズのチケットをゲットしてくれた。
 春駒さんは広島のFM曲でディスクジョッキーをやっており、以前オレも電話インタビューで出演した。本職は広告デザイナーであり、「心体育道」という空手の師範であり、シーカヤックのカヌーイストであり、コラムニストであり、ミュージシャンでもある。そんな超人が半年前に結婚した。奥さんの智子さんは、バイオリニストで自分のカルテットももっている。今回は新婚旅行をかねてネアリカにきたというから驚きだ。
 イクちゃんとTちゃんは芸大時代からの友人で、ランディさんの「アンテナ」を撮った熊切和嘉監督も友だちという。
 娘のSちゃんはピンセットを並べ、「がんばって」とみんなの肩をたたき、茶の間で休んでいる人に「こっちきておしごとしなさい」と叱咤する。
 3歳の 工場長、恐るべし。

23 march(sun)
17 soler jaguar moon

 今日のネアリカンは、合宿した春駒夫婦、イクちゃん、花見ちゃんと「工場長」さゆりの5人に加え、21回目のとっちゃん、6回目の亜子ちゃん、5回目の明子(桜井)ちゃんだ。
 とっちゃんの提案で墓参りにいくことになった。半年前までは他人だった9人でうちの墓へ行列というのは「変」だが、天気はいいし、気持ちいいかも。
 墓参りを終え、昼飯をすませたころ、初参加のサリーちゃんが到着した。予定より4時間遅刻の大物だ。
  じつはオレ、遅刻する人大好きなのよ。
 「遅刻人(ちこくびと)に悪人なし」(格言1)
 勝手につくった諺だけど、オレが世界じゅうを旅して得た個人的な「統計学」だ。
 「時間にルーズな人ほど、信頼できる」(格言2)
 会社や学校にいきたくないとかじゃなくて、
  そのまんま「ルーズ」。
 はなっから「時計時間」に生きてない。
 もしくは「時計時間」に生きる気がない。
 愛すべき人種じゃねえの?
 案の定サリーちゃんは、ゆったりとしたぬけかたが心地よい笑顔の持ち主だった。みんなが温泉いってからラーメンズのビデオをみてるあいだ、ひとりで貼りつづけ、海の底辺を完成させてくれた。
 「遅刻は愛のバロメーター」 (格言3)
 5分の遅刻を許さない恋人、30分の遅刻で苦笑いする恋人、1時間も待ってくれる恋人、30年待ってくれる恋人、来世まで待ってくれる恋人。
 君はどれを選ぶ?
 「待つこと」は愛情であり、「待ち時間」は愛情量に比例する。
 という説は、ウソだと思う。
 オレの仮説はこうだ。
 長い時間待てる人間は、俳句の行間を楽しむというか、ハチ公の鼻の造形を吟味したり、ティッシュ配りのお兄ちゃんの生活に思いをはせたり、植え込みの光合成具合をチェックしたりする。
 森羅万象を楽しめる人は、「目的」に縛られない。
 「目的」に猪突猛進する人は遺伝子的に「優位」かも知れないが、高度成長も終わったしな。
 「目的」なしに「待つ」こと。
 どんどん「遅刻」しようぜ。
 「時計」なんか、どんどん無視しようぜ。
 「目的」なんか、どんどん破棄しようぜ。
 すべては、
  いきあたり、
 ばったり……
 死ぬ。
「すんませーん、死期に遅刻しちゃいました!」

24 march(mon)
18 soler jaguar moon

 オレの好きなブラジルの作家パウロ・コエーリョ(「アルケミスト」「星の巡礼」)がブッシュに宛てた手紙が新聞に掲載された。

ありがとう、偉大な指導者ジョージ・W・ブッシュ。
サダム・フセインが体現している危険をすべての人に知らせて
くれて、ありがとう。
私たちの多くは、彼が化学兵器を、自国民に対して、クルド人
に対して、イラン人に対して使用したことがあるのを忘れてし
まっていただろうから。フセインは血に飢えた独裁者であり、
現時点においてもっとも明白に悪を体現している人物のひとり
である。
しかし、私があなたにお礼を言いたい理由はほかにもある。2
003年の最初の二ヵ月の間に、あなたは幾つも重要なことを
世界に示してくれたのであり、それゆえ感謝を捧げたい。そこ
で、子供のころに覚えた詩を模して、あなたにありがとうと言
っておきたい。
ありがとう。トルコの国民と議会とが、たとえ260億ドルを
払っても買収できないことを全世界に見せてくれて、ありがと
う。
ありがとう、統治者の決定と、国民の願望との間に巨大な断裂
があることを世界に示してくれて。ホセ・マリア・アスナール
とトニー・ブレアがともに、自分を選出した国民の声にまった
く重きを置かず、まったく敬意をもっていない人であることを
明確にしてくれて、ありがとう。アスナールはスペイン国民の
90%が戦争に反対であることを無視しおおせ、ブレアはこの
30年間の英国で最も大規模なデモを心にかけない。
ありがとう、あなたの不屈の精神のおかげで、トニー・ブレア
は捏造された書類をもって英国議会に臨まざるをえなくなった
。ひとりの学生によって10年も前に書かれた文書が、「英国
諜報機関の収集した決定的な証拠」として提出されたのである

 
ありがとう、コリン・パウエルを物笑いの種にしてくれて。彼
が国連安全保障理事会の場で提示した数枚の写真は、一週間後
、イラク武装解除の責任者である査察委員長ハンス・ブリクス
から公式な反論を受けることになったのである。
ありがとう、あなたの態度のおかげで、フランスのドミニク・
ドビルパン外相は、戦争に反対する演説によって、国連総会の
場で万雷の拍手を受けるという名誉に浴することになった一一
これは私の知るかぎり、国連の歴史上、これまでたった一回し
かなかったことであり、それはネルソン・マンデラが演説した
際だった。
ありがとう、あなたの戦争努力のおかげで、いつもばらばらで
あるのが当たり前のアラブ諸国が、2月の最後の一週間カイロ
で開かれた会議で、初めて一致団結して侵略を避難することに
なった。
 
ありがとう、「国連が現実的な有用性を示す最後のチャンス」
と主張するあなたのレトリックのおかげで、もっとも及び腰だ
った国々でさえ、ついにはイラク攻撃反対の立場をとることに
なった。
ありがとう、あなたの外交政策のおかげで、イギリスのジャッ
ク・ストロー外相が、21世紀のただ中で、「戦争が道徳的な
正当性をもつ場合もある」と発言した一一そして、その発言に
よって、すべての信用を失うことになった。
ありがとう、統合のために苦闘しているヨーロッパを、分断し
ようと試みてくれて。それはまたとない警告として、決して忘
れられずに生きてくる。
ありがとう、今世紀、ほとんど誰にもなしえなかったことを実
現してくれて一一世界のすべての大陸で、同じひとつの思いの
ために闘っている何百万人もの人を結びあわせてくれて。その
思いというものは、あなたの思いとは正反対のものであるのだ
が。
ありがとう、再び私たちに、たとえ私たちの言葉が聞き届けら
れることがなくとも、少なくとも自分は黙ってはいなかったの
だ、と感じさせてくれて一一それは将来において、私たちによ
り以上の力を与えてくれることになる。
ありがとう、私たちを無視してくれて。あなたの決断に反対す
る態度を明らかにしたすべての人を除け者にしてくれて。なぜ
なら、地球の未来は除外された者たちのものだから。
ありがとう、なぜなら、あなたがいなければ、私たちは自分た
ちに人を動かし、動員する力があることに気づかなかったはず
だから。その力は今すぐには何の役にも立たないかもしれない
が、もっと後になって必ず役立つはずだから。
戦太鼓がもはや後戻り不能なところで鳴り響いているような今
、私はかつて、ひとりのヨーロッパの王が侵略者に対して語っ
たことばを自ら口にしておきたい。「どうかあなたの朝が美し
いものでありますように、太陽があなたの兵隊の鎧の上で輝き
ますように一一なぜなら、午後には私があなたを打ち負かしま
すから」
ありがとう、すでに起動してしまっている歯車をなんとか止め
ようとして街路を練り歩く名もなき軍勢である私たちに、無力
感とはどんなものかを味わわせてくれて。その無力感といかに
して戦い、いかにしてそれを別のものに変えていけばいいのか
、学ぶ機会をあたえてくれて。
それゆえ、どうかあなたの朝を、そしてそれが今のところまだ
、もたらしているのであろう栄光を十分に味わっておいていた
だきたい。
 
ありがとう。私たちに耳を貸さず、私たちの言うことを本気に
しないでくれて、ありがとう。むろんのこと、私たちはあなた
の言うことをしっかり聞いており、あなたのことばを決して忘
れない。そのことを、ぜひ知っておいていただきたい。
ありがとう、偉大な指導者ジョージ・W・ブッシュ。
ありがとうございました。


 あまりにもみごとな切れ味にスカッとするものの、
 寂しかった。

 コエーリョは、ブッシュを「個」とは見ていない。
 もちろんオレにも、世界的な大作家が書いた切実な皮肉を笑う余裕はある。
 でもオレは操り人形の「孤独」を笑えない。
 「悪人」にも感情移入してしまうのは、オレの悪い癖だろうか。
 どんなにひどい独裁者だろうと、オレたちと同じ赤い血が流れている。
 ブッシュ本人でさえ気づいてないだろうが、
 「孤独」だ。
 国際世論とか、国連の支持とかじゃなくて、オレたちと同じひとりの人間として孤独なのだ。
 政治家としてのブッシュは、アメリカ史最悪の大統領として名をとどめるだろう。
 でもオレたちが失ってはいけない物差しは、「個」として「孤独」を計る物差しなんだ。
 痛い。
 今「世界一孤独な男」の痛みに共振してしまう。
 愚直なオレはどんな境遇にある「孤独」も、皮肉ることはできない。
 ブッシュの「孤独」は、
 君の知っている「孤独」と同じだから。

26 march(wed)
20 soler jaguar moon

 恐るべき写真を見てしまった。
 2002年4月にイスラエルにあるジェニン難民キャンプで起こった虐殺である。イスラエル軍は無防備なパレスチナ難民を、アパッチヘリコプター、105mm タンク、手りゅう弾などで攻撃し、家屋ごとブルドーザーでなぎ倒した。
 イスラエル軍は組織的な大虐殺を隠蔽するため、ジャーナリスト、医療関係者、国際連合や人道的援助チームの立ち入りを6日間禁止した。
 現場近くのシファ慈善病院からの救急車もキャンプ入りを阻止された。
 目撃者の発言によると、パレスチナ人に手錠をかけて道に寝させ、肉塊が砂と混じり合うまでタンクで往復し踏みつぶしたという。ブルドーザーで家屋を倒し、なかの死体を隠蔽した。
 被害者は300〜800人と予想されている。
 アメリカ人の写真家、ジェニファー・ローウェンステインがシファ慈善病院で撮影した被害者の写真にオレは目を覆った。
(あまりに残酷なため、万人にはお勧めできない。それでも現実を直視するという方は、こちらにあります。
http://www.ummah.com/inewsletter/massacres/palestine/jenin.htm
写真映像が多いので、ローディングに時間がかかります)
 人間のもつ「負の可能性」に慄然とする。
 ユダヤ人は自分たちが受けた苦難をパレスチナ人に課し、アメリカ人は世界中の貧者を殺しまくり、日本人はそれを支持する総理大臣を選んでいる。
 どんな敵にも自分と同じ赤い血が流れているのを知らないのか?
 同じ痛みを、孤独を、抱えて生きているということがわからないのか?
 思いやりとは、「想像力」だ。
 相手の悲しみや笑顔を想像する力だ。
 イメージをクリエイトする想像力は、
 「創造力」でもある。

27 march(thu)
21 soler jaguar moon

 講演会の原稿を実際読み上げてみて愕然。
 これじゃ3時間以上かかるわ。
 1時間で話せる内容ってのはほんのちょっとなんだね。
 ネタがありすぎて100時間くらい講演できそうだが、そうとう絞り込まねばなるまい。
 きっちり原稿化して棒読みするより、ゆるやかな構成でライブ感を楽しんだ方がいいな。
 文字が発明されるまえのネイティヴたちがたき火のまわりを囲んで、旅人の話に耳を傾けるみたいな雰囲気。
 旅人は、少しはにかみながら淡々と話し出す。
 長老たちは、掟を破って村を飛び出した若者がもどってきたのを歓迎する。
 村を出たことのない人々は、瞳に炎を映しながら真剣に聞き入る。
 子どもたちは火のまわりではしゃぎながら、異国での奇想天外な話に笑いころげる。自分もいつかこの村を飛び出してやろうと、幼いながらも決心する。
 夜空にはじけた火の粉は星になり、死んだあとはそこへ帰ることを村人は知っている。
 旅人は立ち上がり、夜空へむかって異国でおぼえた歌を歌い出す。
 太鼓やダンスが加わり、新しい祭りがはじまる。
 会場は冷たい蛍光灯が照らし出す会議室だけど、こんな風に親密な雰囲気がつくりだせればいいな。

 明日はオレがエキストラで出た「池袋ウエストゲートパーク」SP(TBS21:00〜22:54)が放映されるが、渋谷アックスにシロップ16gのライブいくんで見られん。誰かビデオ撮っといてー。王様ラーメンのカウンターにクレイジーケンバンドと座ってるからさ。
  あさっては下北本多劇場でラーメンズの本公演、すっげー楽しみい!

 ちなみにこれは遊んでいるのではなく、あくまで講演会とライブのための「研修」である。
 そこんとこ、夜路死久(よろしく)。

29 march(sat)
23 soler jaguar moon

 いってきました最強の2日間。
 渋谷アックスでおこなわれたシロップ16gのライブは、なんと新アルバム「HELL-SEE」の曲順どおりの演奏だった。
 これって、ライブでは絶対やっちゃいけない「禁じ手」なわけ。
 「つぎの曲はなんだろう?」とわくわくする楽しみを奪っちゃうし、せっかくの生演奏がCDの機械的な再演になる。
 ガッちゃん(リーダーの五十嵐隆)は「これぞ、逆予定調和」とあざ笑い、自分たちを「サラリーマン」と呼ぶ。汗だくになってアルバムの演奏を終えると、客にむかって「お疲れさん」と皮肉る。
 リスナーの感情移入を拒む、どこまでもねじれた根性だ。
 今回の新アルバム「HELL-SEE」も、自宅録音風のわざと粗雑な音に仕上がっている。
 ガッちゃんの心境をオレなりに推測すると、「このままいくと、中村一義やクレイジーケンバンドのように売れてしまう。武道館とかで演奏させられるのをなんとか拒まねば」という「ひきこもり反応」だ。
 いいよ、いいよ、ガッちゃん。
 雪の結晶のように美しい歌が、氷の部屋からしか生まれてこないなら、ずっと心地よい孤独にすんでいていいんだよ。
 アンコールのラストにやってくれた曲は、オレがシロップの全曲中
いちばん好きな「明日を落としても」だった。
 ガッちゃんのひきこもり歴のなかで「もっとも痛い歌」だという。オレはネアリカンのまえで歌ったこともあるし、講演会でも歌おうと思っていた曲に泣いた。

つらいことばかりで
心も枯れて 
あきらめるのにも慣れて
 したいこともなくて
 する気もないなら
 無理して生きてることもない
明日を落としても
誰も拾ってくれないよ
それでいいよ

機械みたいな声で
サヨナラされて
それでも何か傷ついて
 誰も愛せなくて
 愛されないなら
 無理して生きてることもない
明日を落としても
誰も拾ってくれないよ
それでいいよ

 そう言って
 うまくすり抜けて
 そう言って
 うまくごまかして
 そう言って
 楽になれること
 そう言って
 いつのまにか気づいていた
 
Do you wanna die ?
Do you wanna die ?

 今日のラーメンズもすさまじいよ。
 舞台設定はホテル。
 完結した短編をランダムに並列してきたラーメンズが、コンセプトをホテルにしぼり、密室でおこなわれたコントが有機的につながっていく。
 ラーメンズの魅力は密室劇にあり、コラボレーションははっきりいっておもしろくない。
 ラーメンズは「閉じること」(ホテル=密室=ひきこもり)を今回はじめて意識し、 長編(トータルな短編集)に挑んだ。
 やっぱ、すごいよ。
 同時代に生きているラーメンズを知らずに死ぬのは「もったいない」。
 ツタヤでもどこでもラーメンズのビデオは5,6本おいてあるので、
  「見るべし!」「見るべし!」「見るべし!」。
 シロップの涙を忘れて思いっきり笑った。
 あまりのおかしさに涙が出る。
 夜中に日光の自宅に帰り着いたが、シロップもラーメンズも正反対から「深夜11時59分」を攻めてくる。
 悲しくて悲しくて泣きつづけると、笑ってしまう。
 おかしくておかしくて笑いつづけると、涙が出る。
 ただいま、深夜11時59分59秒。

30 march(sun)
24 soler jaguar moon

 今日のネアリカンは、9回目の大ベテラン文ちゃんと「孤独のカムイ」の原作者の太一さんだ。
 ふたりとも元ひきこもりで、今「引き出者」(ひきでもの)。
 オレの講演会の企画制作を文ちゃんがひとりでやってくれている。
 これってけっこう大変なのよ。
 紹介ページつくったり、締め切りあとの人に「すいません」メールだしたり、当日も大忙しだろう。
 図書館司書に恋して失語症になった太一さんは「あの子に告白できたときに言葉がよみがえる」と言っていたのに、ぜんぜんロマンチックじゃない方法で復活した。
 「言葉話せないと不便だもん」
 そう認識したつぎの朝に音声がもどった。
 言葉を失っていたときのカリスマ性は吹っ飛び、ただの酔っぱらいに「進化」してしまった。
 そうそう、「ぺてるの家」帰りの精神科医関口先生がやってきて、元ミキハウス社長のタケちゃん、来月から飲み屋をオープンするヤスコちゃん、元ネアリカのチーフ健一郎、総勢7人でカリスマ酒場「瓢吉」で盛り上がった。
 本当は講演会の打ち合わせという大義名分でみんな集まったのに、関口先生は言った。
「もうAKIRAさんが1時間無言で会場に立ちつくしてればいいのよ」
 オレははじめての講演会に緊張して、本1冊分くらいの原稿を書いたのに。
 オレの青春を返せー!
 講演会とは名ばかりに、「珍獣鑑賞会」だったのかー!
 原稿捨てます。
 人間やめます。
 あてでよかったら、好きにしていいんやで。
 もう楽ー。
 講演会のプレッシャー、木っ端みじん。
 なにが起こるか、すっげー楽しみ。

31 march(mon)
25 soler jaguar moon

 「ソウルメイト」
 日本語に訳せば「魂友」(こんゆう)。
 いさましいー。
 家族、結婚相手、恋人など、「時代を超えて愛し合う者」たちだ。
 しかし実際は、敵対する者同志があえて「家族」になるらしい。
 「家族」=「暴力」のなかで育ったオレは、「家族」をつくる自信がない。
 悟ったようなことをほざいていても、恐いのだ。
 父親になる資格がない。
 別居した両親の間に引き裂かれる子どもの痛み。
 頼れる者のない「孤独」。
 オレは今も、
 大人になることもできなくて、
 子どもにもどることもできなくて、
 おびえてる。

 「孤独のカムイ」に参加したネアリカンからメールがとどいた。
 ちょっと、泣いてしまった。

 パレスチナ人の写真見ました。
http://www.ummah.com/inewsletter/massacres/palestine/jenin.htm
 昼も夜も頭から離れず、ここ何日間か泣きっぱなしです。
 「アレックス」の救いも消えてしましそうです。
 イスラエル人もパレスチナ人も私そのものです。
 問題の本質はキレイ事では決して解決出来ないし、それは人間に課せられたとても苦しい試練なのではないかと思います。
 私は今まで父親に対して嫌悪と憎悪の念を持ち続け、それを自分の不幸さの言い訳にして、なんとか自分を保っていました。
 父親を許してしまったら、その先どこへ行けばいいのか分からないから一生懸命恨み続けてた気がします。
 それでもまったく救われなかった。自分の存在価値が見つけられなかった。
 ある時、ふと父親の孤独について考えてみました。
 家族全員に恨まれ、誰にも愛されず、ひとりぼっちで老いてゆく姿が浮かんでしまい、
 初めて父親のために泣いてしまいました。
 考えてみたら、一番辛かったのは父親だったんだと気付いて。
 その時やっと父親と自分の両方を許す事が出来ました。
 すると同時に感謝の気持ちでいっぱいになり、
 生まれて初めて「この世に誕生させてくれてありがとう」と手紙で告げました。
 相手の立場になるって、孤独を共有して痛みを生きる力に変えていくための共同作業なのではないかと思います。
 でもいったいどうすれば、この世のすべての孤独の犠牲者たちを救えるのか?
 その想像を超える大きな悲しみに、何も出来ずただ泣くばかりの自分が情けないです。
告知
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定員いっぱいになりましたので、
締め切らせていただきます。

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