下にいくほど新しくなっています

1may(thu)
28
planetary dog moon

 今日のネアリカンちーぼー だ。
 ジャスコ食品売り場のレジを辞め、新しい仕事に就いた。別のジャスコ内にある雑貨屋だが、自分のペースをとりもどせそうだという。
 ちーボーのお父さんは、「存在とはなんぞや?」と悩むと眠れなくなってしまうが、同時にパチプロである。哲学クラブで活躍するちーぼーをパチンコ収入で育て、今も10万以上儲かると夫婦旅行にいくそうだ。
 ちーボーが高校のころ、母親に反旗をひるがえした。自分を思いどおりにコントロールしようとする母親に言った。
「私には私の生き方があるのよ」
 今ではお互いに歩み寄り、かなり友好的な親子関係になってきたという。
 そんな和やかな雰囲気で「家族のカムイ」を貼っていたとき、悪魔がささやいた。
「ランチ看板つくんないと、客はこないぜ」
 はっ、「q」 のオープンは明日だ。大通りを歩く観光客に見えるランチ看板を屋上の側面に掲げねばいかん。
「ちーぼー、今日はネアリカをやめにして、看板つくんない?」
 ヤスコちゃんが今月入学した通信大学の先輩、「慶応ガール」であるちーぼーはニコッとオーケーしてくれた。
 看板は店から見えない屋上だし、メイン情報だけを伝えなければならない。
 誰がどうやっても「ランチ690円」をおしゃれにするのは不可能だ。
 とりあえずパクらせていただいたのは、抽象絵画の巨匠モンドリアン。
 あの世にいる巨匠も「ランチ690円」に利用されるとは思ってもみなかっただろう。
 ちーぼーは書道をやっていたし、高校は美術部なので看板屋にはもってこいだ。
 毛糸を貼りにきたはずなのに、なぜか看板をつくらされているちーぼーは、 純真な笑顔で言った。
「誰かの役に立てるって感じられるだけで、うれしいですよね」

2 may(fri)
1 spectral surpent moon

 今日からマヤ暦(13の月の暦)は、スペクトルの月にはいった。

 テーマは「私はどのように解き放ち、なすがままにさせるのか?」
 トーテム・アニマル(守護動物)は蛇。
 キーワードは「解放」、「溶かす」、「解き放つ」。
 アドバイスは、「生みだした創造物へのこだわり、個人の業績への執着を溶かし、手放す。成果が社会に広がっていくままにまかせて、流動的な状況の変化に、身を委ねる」

 あいかわらず鋭いアドバイスをくれるなあ。カフェづくりに熱中していた先月のアドバイスは「取り組んでいる仕事の仕上げ段階となる。話し合いを重ね、お互いの欲求に忠実に、妥協せずに完成を目指す」だったからね。
 今月からはまた自分の創作にかえっていこう。
 昨日ミッシェルが「ブルータスにAKIRAという人がウイチョル族のことを書いていた」と電話をくれた。
 すると今朝、そのAKIRA本人からメールがきた。
 彼とは2000年の「命の祭り」以来連絡をとっていなかったが、ウェブでオレたちのネアリカを見て「すばらしいですね」とほめてくれた。
 彼らはディアブラ・ブランカというグループ名で、ウイチョル族を2回、日本に招聘している。オレが去年メキシコでお世話になったウイチョル族を出会わせてくれたのも彼らだ。
 彼らはさらにパワーアップして、すごいイベントをブチ挙げようとしている。
 今年の7月25日(マヤ暦の正月にあたる「時間をはずした日」)、
  富士山山頂にて、
 ウイチョル族のシャーマン、
 アイヌのシャーマン、
 沖縄のユタ、
 久高島のノロ、
 チベット僧 が集い、
 セレモニーをおこなうのだ。
 名づけて「大いなる祭り」
 9枚のネアリカを背負って富士登山したいところだが、7月25日オレは田口ランディさんとメキシコにあるマヤのピラミッドでセレモニーに参加しているのだ。
 よしわれわれは海外特派員として大いなる祭りに参加しよう。テレビ中継じゃなく「テレパ」中継で、「ゆく年くる年」のようにやるぞ。
「はーい、こちらメキシコ南東部にあるパレンケから中継します。ピラミッドの頂上からながめるとジャングルで、Tシャツが汗ではりついて乳首が透けています。そちらはどうですか?」
「富士山頂は寒いです。みんな毛布をかけているんで、乳首は見えません。 ウイチョル族のドン・パンチョが生まれて初めて靴下をはきました。どうぞ」
「 あっ、今マラリア蚊がわたしの腕にとまりました。甘酒を飲むように吸っています。どうぞ」
「 チベット僧があなたの108つの煩悩を除夜の鐘のように受信しているそうです。……96,97,98,99,ずいぶん煩悩に満ちた生涯を送ってこられたのですね。どうぞ」
「っていうかー……100,101,12,103,わたしの人生は煩悩しかありません。あー、かいかい。どうぞ」
「電波がはいりづらくなってきました。率直に訊きますが、こんなことをやって世界は変わるんですか?」
「 104……いや、世界は変わりません。105……世界を見る、106……あなたの目が、107……変わるんです。どうぞ」
「うっわー、説教クセーテレパはいっちゃったよ。チバちゃーん、これボツ。テレフォンショッピングのイヴサーラにに差し替えといて」
「108……温泉旅行も安心です」
「おいチバちゃーん、これがあいつの遺言かよ!」

3 may(sat)
2 spectral surpent moon

 今日のネアリカンは4回目の名取ポール、3回目の清水くん、初参加のなおこちゃんとDJ中田だ。4人は朝8時に車で出発したが、GWの渋滞情報を知り浅草に引き返し、電車できてくれた。電車も満杯だったという。
 前回の4/5に清水くんは妊娠中の奥さんイクちゃんと参加してくれたが、「侘助」という命名は絶望的なもよう。
 もちろん「清水 バロン伯爵」(最初から名前に爵位がついている)や「清水 ー」(「はじめ」ではなく、「しみずー」と伸ばす記号)なども却下である。(無念!)
 清水くんは「家族のカムイ」のお父さんのボディー部分を鬼気迫る様相で貼り終えた。わずか3時間で広大な面積を埋めてしまうとは、数ヶ月後に父となる清水くんの覚悟と情熱がうかがえる。
  CM制作会社でキャリアを積むなおこちゃんは、ヴァイオリニストでもある。母親のカムイを1ミリのすき間も残さず貼り終える手腕に驚かされる。
  DJ中田は「ディスク・ジョッキ−」ではない。ポールの解説によると、中田 準(ナカダ ジュン)→だじゅん(この時点でDJ化)→デブッチョ→DJ(デブっちょ ジュン)になったそうだ。
  オナラが止らない過敏性腸症候群という病を患っているが、念願の彼女ができたせいで「オナラ断ち」の苦行に耐えている。
 オナラの成分は、メタン、炭酸ガス、窒素、水素、アンモニア、硫化水素、インドール、スカトールである。「アジアに落ちる」でも書いたが、宇宙でオナラをすると大変なことになる。
  地上では重力によって拡散していくが、無重力状態ではオナラのかたまりが空中を浮遊する。スペースシャトルの実験中にとなりのやつのをもろにくらった飛行士が失神しそうになったという。
 オナラのもとは2種類に大別される。70%が食べ物などから口にはいった空気で、30%が不消化物による発酵ガスである。
 前者の音は大きいが、臭いがきつくない。炭酸飲料や、チューイングガム、キャベツやカブなどが発生源だ。
 後者の「すかしっ屁」が臭いのは、肉類から発生した発酵ガスであり、火をつけると燃える。
 ちなみに焼き芋は皮といっしょに食べると、酵素やビタミン、食物繊維で消化がよくなり、音は大きくても臭くなくなる。
 オナラのシステムは、腸内ガスの刺激が内肛門括約筋をゆるめ、意志でコントロールできる外括約筋で「核のボタン」を制御するのである。
 「こくか、こかぬべきか」
  決めるのは、本人の状況判断である。
 女性がすかしっ屁を得意とするのは、骨盤が男性よりも広く浅く、直腸のとなりに弾力性に富んだ膣があるからだ。
 男にはまねできない芸当である。
 古今東西の文学を見わたしても、チョーサー、ラブレー、スウィフト、サド、バルザック、ミラー、ジュネ、ダリ、平賀源内など、オナラ話はつきない。
 オナラが爆笑を生むのは、がんじがらめの規則を吹き飛ばす爆弾(体内化学兵器)だからではないのか?
 「革命」の原点は、オナラやもしれん。
 ビッグバーンだって、宇宙のオナラだ。
 宇宙の起源は、オナラやもしれん。
(オナラ失敗談があったらメールして。もちろん匿名にするから)
 DJ中田は、完全オープンしたcafa qで「瓶内発酵」のヴァイスビールを2本(500ml x 2 )空けても、「腸内発酵」に耐え抜いた。
 我慢は、体に悪いぞ。
 DJ中田にだけ、「ここぞの一発」を許す。
 記念撮影の笑顔のためにドでかいのを決めてくれ。
 笑顔を通り越して、
 累々たる屍(るいるいたるかばね)か。

4 may(sun)
3 spectral surpent moon

 今日のネアリカンは3回目のまっぽんと初参加の昌(あきら)くんだ。
 まっぽんはエイズ撲滅運動のNGO(コンドームの着ぐるみを着て踊っていた)をやめ、プー生活を楽しんでいる。
 昌くんは、なにも知らずまっぽんに誘拐されてきた。
 いきなり早朝から「日光に毛糸を貼りにいこう」と、GWの満員電車につめこまれ2時間立ちっぱなし。ヒゲの男の家に連れ込まれ、毛糸とボンドをわたされる。
 ……せっかくの休みになんでこんな労働をしなくちゃなんねえんだ!?
  左利きの昌くんは小学校に上がるまえからプラモデルづくりに没頭した。家が貧乏だったので、同じプラモデルを完成しては解体し、何度も何度も作り直す。
 「ボンド」と「貼ること」を幼いころから訓練する……これはネアリカン養成ギブスじゃねえか!
 あんのじょう昌くんは「ボンドをえたプラモデラー」のように、すごいスピードで「家族のカムイ」の闇を埋めていく。
 昌くんの人生は波瀾万丈だ。生みの母、育ての母、育ての叔母と、母親が3回も変わった。それというのも父親があやしい宝石だの、疲れがとれるニセ磁石だのを売り歩くフーテンの寅さんみたいな人だった。
 生みの母もファンキーな人で、デパートのおもちゃ売り場に昌くんを置き去り、自分の買い物を楽しむ。昌くんの腕にはマジックで家の住所が書いてあるので、迷子になって送り届けられる。(ううむ、すごいシステム)
 両親が離婚したので、幼い昌くんは父の行商につきあわされ、なんども転校をくり返した。
  「親になんか甘えていらんない」親がこんな具合だと子どもがしっかりする。
「父は子どもに手をあげたことがないんです。でも足をあげるんです」
 再婚した義母に気を使い、父に蹴られても体力的には勝てる年頃なのに暴力で家庭を乱すことは決してしなかった。
 現在も、生みの母、育ての母、育ての叔母と連絡取り合っているし、父も60代後半でかたぎの警備会社に勤めている。
 昌くんはひょうひょうと語りながら、「家族の闇」をひょうひょうと埋めていった。

5 may(mon)
4 spectral surpent moon

 じつはみんなに告白しなくてはいけないことがある。
 マスコミも報道していない衝撃の内容なので、腰を抜かさないように正座してほしい。
 あらゆるものを白い布でおおっていく白装束集団「パナウエーブ」が日本中をパニックに陥れている。
 千野代表は表向きの看板だが、本当の教祖は……
  オレだった!(だったのかー!)
 証拠物件。

7 may(wed)
6 spectral surpent moon

 今日のネアリカンは11回目の文ちゃんだ。講演会のときに忘れていったi Bookとプロジェクターを横須賀から車でとどけてくれた。
  文ちゃんもいっしょに「べてるの家」の総会にいくことになった。10日に大洗からフェリーで20時間かけて、12日に苫小牧に着く。日高本線を襟裳岬にむかっていき、浦河でおりる。

  べてるの家を一言で説明するのはむずかしい。
 「年商1億をあげる精神障害者団体」
 「病気やトラブルさへも笑いに変える吉本興業以上のお笑い軍団」
 「すべての常識がひっくり返る逆さまの世界」
 「古くて新しい未来像」

 1978年、浦河赤十字病院に赴任してきたソーシャルワーカー向谷地(むかいやち)さんがオンボロの教会堂に住み着いた。すきま風が吹き込み、ネズミが走り回り、向谷地さんの洗濯物が壁や天井に画鋲で留めてあったというからすさまじい。
  浦河赤十字病院を退院した精神障害者たちがそこで共同生活するようになり、84年「べてるの家」と名づけられた。
 「べてる」というのは旧約聖書で「神の家」という意味で、ドイツ中央部(BIELEFELDの近く)にも精神障害者の施設が点在する同名の町BETHELがある。BETHELへナチスが「無用な障害者」を殺そうと乗り込んできたとき、牧師と医師が「患者を殺すならわれわれから先に殺してもらおう」と袖をまくり上げ安楽死の注射を打ってみろと迫ったところ、ナチスたちはその迫力に押されて退散したという。
 「 地域への貢献」をめざしてべてるの家ははじまったものの、アル中患者は医者の白衣を盗んで無銭飲食をしたり、町の人としょっちゅうケンカするし、幻覚妄想患者は2階の窓からビール瓶を道に投げつけるとか、問題は後を絶たない。
 地元の特産品である日高昆布の袋詰めをはじめるが、仕入れ先の工場とケンカし、自ら商売をはじめる。
 会社を設立するかどうかのミーティングで、ある女性からこう言われた。
「あんたたちのような頭おかしい人に商売なんかできるわけないっしょ!」
 司会を務めていたミスターべてることキヨシどんはキレた。
「そんなことまで言われてチックショー! 腹クソ悪い! つくるべ! 絶対会社つくるべ!」
 なにしろ社員全員が病気の会社である。その日にならないと誰が出社してくるかわからない。そこで会社のモットーがすばらしい。
 「安心してサボれる会社」
 無理して働くと発作が出てしまうので、「諦めが肝心」。好きなときに働き、好きなときにサボる。人が働いているよこで昼寝していてもかまわない。
 「利益のないところを大切に」
 草むしりやスーパーの床掃除、病院のゴミ処理など健常者がやりたがらない仕事をしたり、 紙おむつは一個からでも配達する。
 「弱さを大切に」
 自分の弱さを情報公開して、お互いが補い合って生きていく。弱さによるネットワークは強い絆となる。
 「発作で売る」
 べてるの守護神、川村医師は講演会に入院中の患者をつれていってしまう。患者自身が講演してる最中に発作が起こってもかまわない。それどころか逆にウケ、感動させてしまう。
 川村先生のモットーも常識と逆さまだ。
 「直さない医者」
 薬や管理で社会復帰させて果たして幸せなのだろうか? 病気という贈り物と共存し、楽しみ、売りにさえしてしまう。
 「入院させない医者」
 患者を病院に閉じこめず、町へ出ていかせる。地域の人とどんどん交流させ、お互いの理解を深めていく。トラブルなんかあって当たり前。「順調! 順調!」
 「右肩下がりの人生」
 出世や名誉なんてくそくらえ。患者と肩を組み、ほくほくした黒土の地面へ下りていくような生き方。
 ソーシャルワーカー向谷地さんいわく、「精神障害者は、苦労する権利を奪われている」。自分では良心的だと思っている人々が障害者を囲い込み、彼らの可能性を摘んでいる。 だから苦労の多い商売をはじめた。
  べてるでは徹底的にミーティングをおこない、すべて当事者に決めさせる。リーダーも規則もない、裸の人間がぶつかり合う直接民主主義だ。
 17日におこなわれる総会のメインイベント「幻覚&妄想大会」がなによりの楽しみ。今年いちばんおもしろい幻覚や妄想を見た人に大賞が贈られる。
 過去の受賞者では、美人看護婦に恋して想像妊娠した男性松本さん、空中に浮かぶ緑色の牛にションベンされた米田さん、UFOに飛び乗ろうとして2階の窓から落ちて骨折した大和さんなど、おもしろすぎる。
 一般社会で蔑まれてきた幻覚や妄想が自慢でき、表彰までされちゃうんだから。
 年商1億円、年間見学者1,800人というべてるのすごさは、障害者を社会復帰させるのではなく、障害者を受け入れる社会をまるごと復帰させちゃうということだ。こんな壮大な妄想、いや構想を実現させてしまったのは、世界ひろしといえど、べてる以外にはない。

 べてる関係の書籍を入門順にならべてみた。

べてるの家の「非」援助論(医学書院刊)
とても普通の人たち(北海道新聞社)
悩む力(みすず書房)
べてるの家の本

8 may(thu)
7 spectral surpent moon

 エイズ撲滅運動のNGOをやめたまっぽんが「セックス・ボランティア」の仕事をしたいと言っていた。前線ではなく、事務としてだが。
 福祉先進国オランダでは、障害者に対するSV(セックス・ボランティア)制度が確立している。
 身体、知的、精神障害者(老人をふくむ)は、あたりまえのことだが健常者と同じように性欲はある。
 男性むけはもちろん、女性やゲイにも対応しているところがすごい。
  実際に、セックス、オーラルセックス、マスターベーションの補助などをおこなう。
 料金は1時間半で150ギルダー(約1万円)。25ほどの自治体では、月2回分(300ギルダー)の援助金を出している。
 オランダと同じく売春を禁止していないデンマークは、公立補助器具センターで、義足などといっしょにマスターベーションの器具を無償貸与している。
 売春を禁止しているスウェーデン、ノルウェー、アメリカでは、性交まではせず、マスターベーションや性交が難しい障害者を補助したり、障害者同士のカップルのベッドインを手伝ったりする。
 性教育として、視覚障害者に裸の異性にさわらせたり、障害のために性の目覚めのおそい人にセックス指導をする。
 福祉においてヨーロッパより30年遅れていると言われる日本でも、1年ほどまえから障害者専門のデリバリーヘルス店ができた。
 ヨーロッパの福祉理念は「ノーマライゼイション」というのが柱だ。障害者をできるだけ「ノーマル化」するか、健常者に近づけるか、という考えである。

 さて、べてるの家ならどう考えるだろう?
 「健常者に近づくことが幸せとは限らない」
 「障害者は苦労する権利を奪われている」
  「自分では良心的だと思っている人々が障害者を囲い込み、彼らの可能性を摘んでいる」のではないか?
 オランダのように月2回、無料で風俗にかよえて幸せか?
  ぜひ、ミーティングのときに訊いてみたい質問である。
 ミスターべてることキヨシどんは、用もないのに病院に遊びにいき、「ビタミン愛」を摂取してくる。知り合いの看護婦たちと無駄話をしてるすきに、オッパイなどにさわったりしちゃう。キヨシどんはアイドルだし、看護婦さんも笑って罵る。「ビタミン愛」というネーミングが絶妙なんだよね。
 障害者であるカオルちゃんが妊娠したときも、ミーティングで徹底的に話し合い、カオルちゃんを支援し、みんなで育てようということになった。
 家族という枠を越えたアマゾンのインディオたちのような共同体だ。
 ヨーロッパの福祉理念「ノーマライゼイション」をはるかに越えて、べてるは「アブノーマライゼイション」を尊重し合う。
 出発まであと2日、早くいきてえー!

9 may(fri)
8 spectral surpent moon

 今日のネアリカンのえみさんが、「水は答えを知っている」(江本勝。サンマーク出版)という本を貸してくれた。
 噂には聞いていたが、実際に写真を見てびっくりした。あやしいニューエージ本などとちがい、写真として事実を突きつけられるのだから納得せざるをえない。
 著者は8年にもわたって水を凍らせた結晶の写真をとりつづけた。その結果驚くべき結果があらわれたのである。
 湧き水や川や湖などの水は美しい結晶をつくるが、塩素消毒された水道水は醜く歪み結晶とならない。
 日光中禅寺湖畔のホテルが使用していた湧き水はとても美しい結晶をしていたが、役所の指導で塩素消毒をすると、結晶が壊れた。
 東京、バンコック、ロンドン、パリ、シドニーの水道水はひどい。ニューヨークは給水塔に杉の樽をつかっているので結晶ができる。
 水に音楽を聞かせてみる。
 ベートーベン、バッハ、モツァルト、ショパン、ビートルズの「イエスタデイ」、ジャズのバド・パウエルも結晶になったが、怒りと反抗のヘビメタはだめだった。
 音は直接水を振動させるので、あたりまえ結果かも知れない。しかし著者はとんでもない領域に入り込んでいった。
 水の入った瓶に「言葉を書いた紙」を貼りつけるのだ。同じ水に同じ条件でちがう言葉を貼りつける。
 「ありがとう」には、美しい六角形の結晶ができ、
 「ばかやろう」には、バラバラの混沌になる。
 「ムカつく」「殺す」も結晶はできない。
 そこで外国語の「ありがとう」でも実験してみる。
 英語の「THANK YOU」、フランス語の「MERCI」、イタリア語の「GRAZIE」、ドイツ語の「DANKE」、中国語の「多謝」、韓国語の「ハムミダ」、それぞれが美しい結晶となった。
 ちょっと恐いよな。
 だって地球も人間の体も70%は水だもん。
 オレたち平均35リットルのペットボトルに命という水中花を浮かべているようなもんだ。
 自分が発した憎しみは、美しい結晶を破壊し、肉体の7割を怒りに支配される。それどころかどんどん波紋を広げて海のむこうで戦争になっちゃうかもしれない。
 同じように自分が発した感謝が広がっていけば、「世界を救える」かも知れない。
 すっげー!
  君が「ありがとう」と言ったおかげで、「人類は滅亡の危機をまぬがれた」とか、
 君の一言が「銀河連邦の破滅を救った」とか、
 オレたちみんな「救世主」じゃん。
 地球を救うウルトラマンじゃんかよ。
 しかし弱点は、「3分間」しかもたない。

PS 明日からべてるの家にむけて出発する。
 i Bookをもっていくので、うまくいけば北海道から日記を生中継できるかも知れない。
 期待しないで、期待して。

21 may(fri)
20 spectral surpent moon

 たっだいまー!
 北海道のワンダーランドから帰ってきたよ。じつに12日ぶりの日記だなあ。
 べてるの家からアップしようとしたが、できなくてごめんね。
 べてるは総会を生中継するほどIT設備が充実している。しかし日記が書けなかった理由はべつにある。
 毎日が楽しすぎて日記を書いてるヒマがなかったのだあー。
 オレたちネアリカン5名(とっちゃん、文ちゃん、みち、ゆーちゃん)はべてる本家のとなりにある教会に泊めてもらい、毎日ミスターべてること早坂キヨシどんと爆笑宴会の日々をすごした。
 朝の9時からニューべてるのミーティングに出席し、総会の準備、パンフレットつくり、花壇づくり、教会の大掃除、昆布つめなどを手伝う。
 出入り自由の日赤病院にかよい、SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)という生活技能訓練に参加した。
 16日(金)前夜祭では去年の倍の300人が集まり、「牛の丸焼き」が運ばれるを待っていたが、バーベキューカーが手前の町で炎上し、消防隊がかけつけ消火するという大騒ぎ。
べてるにトラブルはつきものなので、主治医の河村先生は「牛の丸焼き」が「牛の丸焼け」になったと大笑いしていた。
 われわれは前夜祭で季節限定のスペシャルバンドを結成した。
 妄想画家AKIRA(ヴォーカル、サイドギター担当)、妄想作家田口ランディ(ヴォーカル、くねくね担当)、妄想音楽家下りん(べてるを代表する爆発リードギター担当)
、バンド名は3人の頭の文字をとって「あらし」=「嵐」。
 ただし所属事務所はジャニーズではなく、べてるだ。
 「No Exit」(ひきこもりのテーマ)、「キャラバン」(パナウェーブのテーマじゃなく、田口ランディ作詞、ヴォーカルの「輪廻歌謡」)、「タラバガンダ」(タラバガニのテーマではなく、アルタイの民謡)の3曲を演奏した。
 本番10分前に結成したバンドにもかかわらず、嵐のような拍手をもらった。
 17日(土)の総会には500人を超える人が集まり、各部署の活動内容などが発表された。
  総会のメインはなんと言っても「幻覚妄想大賞」である。
  会場が固唾を呑むなか、意外な人物が発表された。
「今年のグランプリは……早坂キヨシさん!」

 怒濤の拍手が文化会館を震わせる。
  なんとミスターべてるは10年間無冠だったのである。昔は3日に一度発作を起こしていたものの、べてるを代表するスターとなってからは後輩を介護する側にまわっていた。ところがはじめての外国講演で爆発したのだ。
 台湾の先住民族との交流会で、キヨシどんはビンロウ(覚醒効果のあるナツメヤシの実で)を噛みアッパラパーになった。帰りの飛行機でも暴れつづけ、成田にある日赤病院に入院。「成田離婚」ならぬ「成田入院」という流行語まで広めてしまった。
 オレにとって最大の収穫は、「魂の兄貴」キヨシどんに出会えたことだ。毎日いっしょに酒を飲み、腹がよじれるほど笑い、感動させてもらった。
 「べてるに来ると元気がうつるが、病気もうつる」といわれる。この10日間で天地がひっくり返るような体験をしてしまったので、言葉が追いつかない現状だ。
 今回のくわしいレポートは7月22日発売の小説現代8月号(講談社)に発表するので、楽しみに待っててちょーだい。
 今まで悩み相談とかされると「アマゾンに行きなさい」とか言っていたが、これからは「 べてるに行きなさい」って言いそう。
 悩める人に、べてるはいつでも開かれている。
(大洗ー苫小牧のフェリーは6500円だし、べてる浦河教会に1300円で泊まれる。女性にはキヨシどんのセクハラサービス付き)
 君の世界観を180度転換するべてるの入門書として、まずは「非援助論」(医学書院刊)を読んでみて。
 「青い鳥」じゃないけど、こんな逆さまのパラダイスが日本にあったなんて!

22 may(thu)
21 spectral surpent moon

 今日のネアリカンは、SARS流行のためチベット行きをべてる行きに変えたみち。キヨシどんにも「心の妻」だと慕われていた。

 ドバッとたまったメールをみてると、熊本の須藤さんから大ニュースがとどいていた。
 ついにやったね。川辺川ダム反対派の全面勝利!

 川辺川利水訴訟の控訴審判決が昨日福岡高裁で言い渡され、原告勝利の判決。
 嬉しいニュースに昨夜から今朝、そして新聞記事と何度も何度もテレビをハシゴしたり、記事を読んだりしながら、嬉しい気持ちをかみ締めています。
 「ダムの水は要らん」と、国の事業にNOを突きつけた、球磨の百姓の一念が、裁判所を動かしました。
 「死者の同意書」「署名の書き換え」「押印の手直し」・・・と杜撰で、百姓を馬鹿にした彼らのやり方が白日のもとにさらされ、事業の公益性そのものを問い直す、おおきな転換として控訴審判決がだされたのです。
 熊本の、ダム反対の住民は昨日から「盆と正月が来た」ような大騒ぎです。
 本当に嬉しくて溜まりません。

 原告の代表は、今東京の農水省前で『上告を断念せよ』座り込みや抗議行動や大臣との面会などを行っています。
 その中で嬉しいニュースが飛び込んできました。
 国が上告を断念するそうです。
 8時から亀井大臣の会見。
 ダムの水は要らんとして、様々な嫌がらせなどをものともせず執念で戦い抜いてきた百姓一揆が、実を結びました。
 大臣の会見内容を確認した上で、その評価を下す必要がありますが取り急ぎ、ご報告まで。
 本当にありがとうございました。

24 may(sat)
23 spectral surpent moon

 べてるの家から帰って病気が出た。
 テレビが見られない。
 新聞(ネット)が見られない。
 猫といっしょに1日3回も昼寝している。
 夢と現実の境目がなくなっているようだ。
 今日の午後、覚醒夢というか、白昼夢をみた。
 オレは玄関に立っていて、居間のカーテンがふわっとふくらみ、死んだ父と母が現れた。
 ふたりとも4、50代の若さで、オレと妹は子どもだった。
「またいっしょに暮らしましょう」
  母は台所にむかい、父は居間のこたつに座った。
 また昔みたいな家族生活が送れるかと思うと、うれしくってしかたがなかった。
 「やったね」と妹をふりかえると、玄関には誰もいなかった。
 不安になって顔をもどすと父も母も消えていた。
 みんなを探しに行こうとベッドから起きあがると、夢だったことに気づいた。
 まぶたが、ぐしょぐしょに濡れていた。

25 may(sun)
24 spectral surpent moon

 オレが家を空けているあいだ、近所に飲み屋をオープンしたヤスコちゃんが猫たちの世話をしてくれた。
 しかし1週間をすぎたころ、チビ(ラ・キアーペ)が行方不明になる。
 去年の2月に父が死に、4月にオレがメキシコ旅行していたときも同じだった。チビは行方不明になり、オレが家に帰ったあと餓死寸前の体でもどってきた。
 16歳のチビは、人間の年齢で96歳の高齢者である。
  オレが北海道からもどり行方不明のチビを探すと、となりの廃屋の軒下で眠っていた。
 「猫は死に際を飼い主に見せない」というが、体調が悪くなるとより刺激の少ない場所を選んで隠遁する習性をもっている。
 獲物を全力で追いかけて捕まえるライオンより、昼寝しながら獲物を待ち伏せする低燃費な生き方と孤独な死に方を選ぶのだ。
 となりの廃屋にいるチビにエサと水を運び、「もどってきて」と話しかけた。
 すると今日、チビはうちの台所にもどってきてエサを食べ、ベッドで昼寝するオレの胸のうえで眠る。
 いつもどおりの日常がもどったことに、オレは感動すらおぼえた。
 オレはチビの荒れた毛を撫で、スペイン語で「estoy aqui=オレはいっしょにいるよ」、「te quiero=愛してる」、「guracias=ありがとう」 と話しかける。
 しばらく反応はなかったが、やがてゴロゴロとのどを鳴らしはじめた。
 ペットもいっしょに転生するというが、本当だろうか?
 チビはオレの胸でゴロゴロし、コマ(イル・クオーモ)はオレの太股に顔をこすりつけて眠っている。
 ……なんだか幸せ。
 「至福体験」というのは大げさなイベントじゃなく、
  あたりまえな日常に幸せを再発見することなんだろうな。

26 may(mon)
25 spectral surpent moon

 地震すごかったねー。
 栃木県は震度3くらいだったけど、築70年のうちは震度4くらいあった。
 やばいと思ってすぐ外に飛び出し、
 前の家の奥さんと目があって気づいた。
 なぜかオレはおたまを握りしめていたのだ!
 夕飯に三つ葉入りポタージュをつくっていたせいなのだが、
 「非常事態にもっとも大切なもの」がおたまだと思われたら恥ずかしいので、
 さりげなく背中に隠した。
 たぶん、口笛とかは吹かなかったと思う。

27 may(tue)
26 spectral surpent moon

 アマゾンから帰ってきたビコから電話があった。
 20日間ほどパブロ・アマリンゴさんの絵画学校に滞在し、その後ペルーアマゾン最大の都市イキトスのはずれにあるジャングルに2ヶ月間こもり、ずっとアヤワスカを飲みつづけていたという。
 くわしい話は直接会って話したいとのことだが、その生き生きとした声からビコが大きな体験をくぐってきたことがわかる。
 アヤワスカの幻覚体験も、べてるの家の幻覚妄想患者も、同じベクトルをむいているように思う。
 それは「友だちをふやそう」ってことだ。
 オレたちは、経済効率や物質文明の便利さのために、幼なじみたちを追い出してきた。
 幻聴さん、幻覚さん、妖精さん、精霊さん、妖怪さん、鬼さん、魔法使いさん、八百万の神さんなどなど。
 オレたちはネアンデルタール人の時代からずっと彼らに遊んでもらってきたのよ。
 人間たちが遊んでくれなくなった彼らは、「ポケモン」や「ハリーポッター」や「千と千尋の神隠し」という閉鎖病棟に入院させられている。
 べてるにいって思った。
 健常者と精神異常者をへだてる鉄格子が逆だって可能性もあると。
 閉鎖病棟に入っている人の想像力は無限に羽ばたけるが、健常者は社会、道徳、常識、組織と、無数の檻に囲まれているじゃん。
 近代社会が押し進めてきた「ノーマライゼーション=正常化」を放り投げて、「アブノーマライゼーション=異常化」にしちゃえばいいんじゃないの。ひとりひとりが自分の異常さを認めれば、楽になれるよね。
 べてるの松本くんが名言を吐いた。
「分裂病は、友だちがふえる病気です」
 オレたちひとりひとりが脳に幽閉してきた友だちを解放して遊べば、世界が一回り広がるかも。

 アヤワスカも「幻覚剤」ではなく、正確に言うと「意識拡張剤」だな。
 ビコは夜中の12時半に出る便の日にちをまちがえて、飛行機を乗り過ごした。
 同じく乗り遅れたオレは次の日の便に無料で振り替えてもらったのに、ビコはだめだった。日本から仕送りしてもらい10万円もする片道チケットを2週間かかって再購入したそうである。ビコのパニクる姿を想像すると笑えてくる。
 「アヤワスカ!」の終章には、無料で差し替えてもらえると書いてあったはずなのに……。
 やはり空港でテロ事件でも起こさないと、無料チケットは手に入らないのか?

30 may(fri)
1 spectral surpent moon

 今日のネアリカンは、京都からポンちゃん(本田朋子)が1番乗り、名古屋からみちちょふが2番乗り、東京からバイクでくるはずのあやちゃんがなかなか来ない。
 午後2時頃、あやちゃんから電話があった。
「今、埼玉の川越です。バイクが高速でトラブって30キロくらいしかでなくなっちゃったんです。今日はもうだめかもしれません」
 けっこう泣きそうな声だ。今日は絶好のツーリング日和だし、日光行きの練習に三浦半島まで行ったりしてる。
 「そうか、かわいそうに」とみんながあきらめたころ、ふたたび電話があった。
 高速をおりるとすぐにバイク屋が見つかり応急処置をしてもらったのでふたたび日光にむかいますとのことだった。
 アヤちゃんの愛車は1962年物の ホンダCB72(ナナニイ)というビンテージ(=ポンコツ)だ。点火プラグのカバーにひびが入りエンジントラブルを起こしたのだ。
 夕方5時前にまた電話があり、オレの家の前に到着した。
 みんなで歓迎にいってびっくりした。
 アヤちゃんの右手には大きな火ぶくれがあった。宇都宮のインターにはいるところでよろけ、エンジンにさわってしまったのだ。
 家に上がってもらい、氷水で冷やす。
 ふだんは「クラゲねえさん」と呼ばれるくらいほんわかとしたあやちゃんなのに。こんなぼろぼろになってまでネアリカにきてくれるとは、見上げたド根性である。
  ポンちゃんは「明日までに完成させる」と野望を燃え上がらせ、みちちょふは50枚にもおよぶ未来のネアリカのタイトルを刺繍してきてくれた。

 「ハートアタックNo1」
 ♪苦しく貼ってえ〜悲しく貼ってえ〜毛糸のなかでは兵器なの
 ♪ボンドが埋まるとお〜胸にはさむわあ〜
 ♪冷しゃぶと酢、スパイス
 ♪ワンツーワンツードラッグ
 でも鼻毛がでちゃう
 だってネアリカンだもん

31 may(sat)
2 spectral surpent moon

 3人 のネアリカンは、カッファqで飲んで、タケちゃんの車で小倉山温泉いって、合宿した。
 ポンちゃんを筆頭に、みちちょふ、あやちゃんも朝9時半から貼りはじめる。
 台風が南に上陸したせいで激しい雨が降りつづく。
 アヤちゃんの火傷はさらにふくれあがり、「なめくじエイリアン」状態だ。

 こんな手でアクセル握って雨の高速を飛ばしたら、帰らぬ人となっていただろう。たとえ火傷しなくても初心者であるあやちゃんにどしゃ降りの高速は危険だ。
 なんでも都合よく解釈するオレは、こう思うことにした。
  火傷によってあやちゃんは一命をとりとめた。なめくじエイリアンはあやちゃんの命を救うために宇宙からやってきた救世主なのだと。
 このような「強引グ・マイウェイ的こじつけ」、「超楽天主義」は、不幸や苦労をワクワク・ドキドキに変える魔法だ。オレは自分の体験や先住民からこのような「心のサバイバル術」を学んだ。
 それが最先端の医療現場で使われていることを知ってびっくりした。
 「ナラティヴ・アプローチ」という、今までの医療をひっくり返す革命である。「ナラティヴ」という言葉は、「物語」や「語り」を意味する。「ナレーター」(語り手)や「ナレーション」(語り)などと同じ単語だ。
 ベースとなる「社会構成主義=social constructionism」によると、「言葉が世界をつくる」という。まず確固たる世界があって、それを言葉という道具が説明するのではなく、世界は語られることによって現出する。
 たとえば誰も見たことのない「神」を言葉にすることによって人類は宗教という共通認識をつくりあげた。
  臨床の現場では生物学的なアプローチからこぼれ落ちた患者自身の「語り」や「物語」が必要とされる。精神病患者も痴呆老人も末期ガン患者も、それぞれの個人史があり、さまざまな関係性のなかで生きてきた。その豊かな「歴史」のまえに医者やセラピストは「先生」としてではなく、「生徒」として患者から学ぶのだ。
 従来客観性ばかりを押しつけられてきた医者やセラピストにも患者と同じように個人史があり、患者もそれに耳を傾ける。
 医者も患者もその家族も病気を中心とした「語りの共同体=ナラティヴ・コミュニティー」であり、物語を紡ぎ出すパートナーである。
 実際言葉で伝えられれば、破壊や自傷行為によって注意を引きつける必要は減ってくる。
  物語の文脈を悲劇から喜劇へ転換することができるのだ。
 本当の革命とは世界を変えることではなく、世界を見る目を変えることだろう。

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