下にいくほど新しくなっています

1jun(sun)
3
planetary dog moon

 今日のネアリカンはとっちゃん(26回)と瑞穂ちゃん(8回)だったが、またオレが大失策をやらかしてしまった。
 毛糸がない。
 たしかあとひと玉あったはずなのに。家中をひっくり返してもらくだ色の461はでてこなかった。
 困ったときのナラティヴ・アプローチ。
 「これも毛糸の神様の計らいよ」と、滝尾神社散策へいくことにした。
 小雨降るなか木々たちがさざめく。
 植物も笑う。
 彼らは笑顔を緑の発色と輝度によって表現する。
 最初はわからないかも知れないが、水晶体が緑に
染まるほど、植物の微細な感情が読めてくるんだ。(思いこみでいいんだよ)
 誰もが恋をすると美しくなるように、植物も人間に「きれいだなあ」と思われば生き生きと成長する。
 人間も植物も物理的な食物や養分のみで生きていると言われてきたが、オレが新説(珍説)を発表しよう。

 あらゆる生物(たぶん無機物も)は「他者の感情」を栄養素として取り込んでいる。

 感情栄養素(Emotional Vitamin)の機能
 「ラブミンA」は、わたしを愛して(Love me)という生命の維持に欠かせない基本栄養素です。愛情の酸化を防ぐ作用があり、喜びや感謝を正常に保つ働きがあります。不幸に対する抵抗力を増して落ち込みにくくし、視覚的な美に作用して重要な働きをします。
 「ホホエミンC」は、不運に対する免疫力を強化し、顔色を悪くするウラミン色素が沈着するのを抑え、抗ストレス作用があります。
 「ナヤミンE」は、哲学の末梢神経を広げ、情報の循環をよくし、思考の冷え性や肩こりを予防します。感情の老化防止を防ぐ作用があります。
 「イタミンK」は、心の血液を固まらせる成分の生成に深くかかわり、心が出血したとき血液凝固作用を促します。男の意地の骨格を強くする効果もあります。
 「ネタミンB」はストーカーとしての脚気や疲労を防止し、記憶力を高め、神経系の働きを敏感にします。過剰摂取に注意しましょう。
 ※参考文献(http://www.genkiyohou.com/wadaino/vitamin_2.html)

2 jun(mon)
4
planetary dog moon

 ついに「家族のカムイ」が完成した。
 ちーぼーが「宿題」の房を家でつくってきてくれ、父のカムイの胸にたらす。ネアリカ初の立体装飾だ。ちーぼーはジャスコにいたときリボン結びを特訓されたので、じつに美しく仕上がっている。
 きのうとっちゃんや瑞穂ちゃんと宇都宮で毛糸を買ってきたので準備は万端だ。カッファqのヤスコちゃんも参戦し、オレも失策を取りもどすために燃えた。
  「家族のカムイ」完成とカッファqのオープン1ヶ月を居酒屋「瓢吉」で祝った。
 ちーぼーはめでたくジャスコを辞め、雑貨屋さんで働いている(なぜかネアリカに来ると仕事を辞めちゃう人が多い)。ある日お客さんがバリ製の小銭入れを買ってくれた。50代の女性ですり切れるほど使い込んだ小銭入れをだして支払った。
「この小銭入れはまだ成田空港がないころ、羽田空港のおみやげ売る場で買ったの。もうボロボロでしょ、そろそろ休ませてあげないとね」
 ってことは20年も使っていたのか。ちーぼーはお客さんのはにかむような笑顔と物に対する愛情に感動したと同時に考えた。
 自分には20年もいっしょにいた物ってあるだろうか?
 ちーぼーは愛用の物品をひとつひとつ思い浮かべたが、20年ももった物はない。
 そうだ、20年間いっしょにいたものがひとつだけある!
 それは ……
 家族だった。

5 jun(thu)
7
planetary dog moon

 明日は、アルタイの「カイ」の東京公演を手伝いにいく。いっしょに素樹文生ミッシェルあやちゃんもスタッフをやることになった。
 打ち上げのあとは「アイソレーション・タンク」の宮部さんちに泊まって、翌朝羽田から沖縄にいく。
 ボロットさんの 沖繩公演は座喜味城跡(ざきみぐすく)でおこなわれる。北海道の二風谷からアイヌのシャーマン、アシリ・レラ(山道康子)もきて、世界遺産に登録される聖地で出会う。シャーマンの語源は、シベリアのツングース語「SAMAN=サマン」からきているといわれる。アルタイ(シベリア)、沖縄、アイヌという3大シャーマニズムのトライアングルがつながるのだ。
  たった三日間とはいえ沖縄は25年ぶりなので、ワクワクする。

6 jun(fri)
8
planetary dog moon

 ボロットさんの東京公演は、1800人の大盛況。
  手伝いにきてくれた素樹文生ミッシェルあやちゃんがすばらしい感想を日記に書いているので読んでみて。
 シズラーの2次会、デニーズの3次会のあと、宮部さんちに泊めてもらった。明日から沖縄で相部屋だし、白銀台なので羽田空港に近い。
 「タンクは自由につかってください」
  宮部さんはなんと「アイソレーション・タンク」のとなりに布団をしいてくれた。
  朝の4時まで飲んで酔っぱらっていたので、いったん布団にはいったものの、どうも気になる。オレ自身日記や友人などにタンクを宣伝してるものの、一回もはいった経験がないのだ。
  あと6時間後には羽田空港にむかわねばならないし、寝坊したらタンクに入る機会を逸してしまう。
 パンツが足首にからんで尻餅をつきながら、素っ裸になった。
 いちおうシャワーを浴びてから、おそるおそるタンクにはいる。
 ドアを閉めると空気がむわっときて、真っ暗闇になる。
 よこになると、耳の中に水が流れ込んできて、つい体を起こしてしまった。
 そうだ、耳は浸していいのだと思い返し、もう一度力を抜いて浮かぶ。
  体温に近い水の温度(35度くらいか?)が心地いい。
 思わず「ひょっこりひょうたん島」を口ずさみながら、浮遊感を楽しむ。
 ♪な〜みをちゃぷちゃぷ♪とか歌いながら、手首だけをばたつかせ、頭をプラスチックのやわらかい壁にぶつけたりして遊んだ。
 こんな深夜に素っ裸でちゃぷちゃぷ遊んでる自分に笑い出しそうになったが、これは不安の裏返しだということに気づいた。
 視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚と、五感をすべて失った状態に放り出されると、
 まず「笑ってごまかす」ようだ。
 「ここで寝たら死ぬかな?」
 やばいやばいとあせりつつ、 強烈な睡魔が襲ってくる。
 「タンクで死者を出したら、宮部さんに多大な迷惑がかかってしまう」
 やばい、眠い、やばい、眠い、やばい、眠い、でも気持ちいい……。

7 jun(sat)
9
planetary dog moon

  朝、耳に塩がふいた「AKIRAの浅漬け」が発見された。 深い瞑想をするためセッションは1時間と決められているアイソレーションタンクで、5時間も熟睡してしまった。
 アイソレーションタンクにとっては、前代未聞の侮辱。
 ウォーターベッドじゃねえんだから、布団代わりにつかうなよ。
 今までタンクを精神的面からばかり評価していたが、体のリラックス効果もすごい。全身の筋肉がほぐれて、爽快な気分だ。

 モノレールで羽田空港にむかう。25年以上もまえ、1ドル300円近い時代に飛行機代50万円くらいかけてオレはアメリカにわたった。
 成田の開港が1978年だから、のちの旅行は羽田を使ってない。なにしろ国内を飛行機で旅したことがないのだ。
 待ち合わせの場所に着くと、ボロットさん親子、巻上さん一家、ランディさん一家、丹治さん夫婦(編集者)などが待っていた。川内倫子さん(写真家)の両親、兄夫婦は大阪からむかうという。ぜんぶ会わせると22人の大所帯だ。

 2時間半のフライトで那覇に到着した。
 あいにくの雨、気温も23度と寒い。宮部さんの友人恭子さんと、沖縄在住のさえみさんの車に乗り、斎場御獄(セイフア・ウタキ)へいった。
  ウタキは神事を司る聖域で、もともとは男子禁制の場所である。母なる神の住む久高島を望むセイフア・ウタキはもっとも重要な場所で、国家的な行事に使われていた。
 どしゃぶりの雨の中、熱帯雨林に囲まれた石畳の参道をのぼっていく。大庫理(ウフグーイ)という遙拝所をすぎ、 寄満(ユインチ)という海の幸山の幸や宝物が集められた場所をすぎ、セイフア・ウタキのシンボルである三庫裏(サングーイ)へでる。
  巨大な岩盤が岩山に寄りかかり、三角形のトンネルを造っている。約1万5千年前におこった地震の断層のズレからできたという。
 せり出した岩山から2本の鍾乳石が乳房のごとく垂れ下がっている。先からしたたる霊水には再生の効果があるとされ、珍重された。
 三角岩のトンネルを抜けると畳十畳くらいのスペースにでる。ここから洋上に浮かぶ久高島が望めるのだが、今日の海は真っ白くけぶるばかりだ。
  久高島は琉球王朝よりはるか昔から母なる神を祀っていたシャーマニズムのルーツである。母系制協調型社会の原形であり、人間と自然が敬い合いながら共生してきた。12年に一度午年(ウマドシ)におこなわれる大祭「イザイホー」は、後継者である若い女性たちが島をはなれていったため、1978年を最後に途切れている。
 久高島に関するおすすめの本はなんといってもこれ。
  「日本人の魂の原郷 沖縄久高島」比嘉康雄(集英社新書)。

8 jun(sun)
10
planetary dog moon

 ずっと雨が降りつづいていたので、 座喜味城跡(ざきみぐすく)でおこなわれるはずの野外コンサートが屋内に変わった。
 ところが北海道からアシリ・レラ(山道康子)さんが空港に着いたとたん、突然太陽が顔をだした。さすがチュプ(太陽)ばあちゃんだ。おかげで座喜味城でボロットさんが20分だけ歌うシーンを撮影できた。ボロットさんが歌を歌い終わったとたん雨が降り出した。
 読谷(よみたん)町の福祉会館でおこなわれたボロットさんの演奏は東京公演よりさらにすばらしいものとなった。本人も途中からトランス状態で歌っていたという。
 500人近い観客で満杯となった会場に、沖縄民謡やアイヌの歌も加わり、なごやかな盛り上がりを見せた。さまざまな文化が溶け合うチャンプルー(ごしゃ混ぜ)の島ならではのコンサートだった。
 ビーチ69(ロック)カフェでの打ち上げは、沖縄民謡に合わせてみんなで踊り、ボロットさん、巻上さん、ランディさん、オレの即席ユニットで演奏した。
 沖縄の親友、在(ある)さんや、北海道のべてるの家で会った友だちや、一万年祭で会ったターボーやシャイニーなど、たくさんの仲間に再会し、たくさんの新しい友だちができた。

9 jun(mon)
11
planetary dog moon

 国際通りの市場で沖縄料理を満喫し、後ろ髪を引かれながらも飛行機に乗った。
  日光へ帰宅したのは夜の9時過ぎだ。
 「ニャア」という声が聞こえた。
 まちがいない、チビ(ラ・キアーペ)の声だ。
 心配になって懐中電灯で探したが、見つからなかった。
 出がけに見送ってくれた姿が目に浮かび、胸騒ぎがスコールのごとく降ってきた。

10 jun(tue)
12
planetary dog moon

 朝8時、となりの駐車場にチビが寝ているのを発見した。
 あわててかけよると、動かない。
 ほほをよせて心臓の音に耳を澄ますと、
  死んでいた。
 まだ体温が残っていたので、朝に息を引き取ったのだろう。
 オレの帰りを待って今日まで生き続けてくれたと思うと、ありがたくて泣けてくる。
 チビは1989年5月ニューヨークで生まれた。
 子どものころからやんちゃで、2歳年上であるコマと出会わせたとき、コマの鼻を皮をベロンチョとむいてしまったという。
 90年に日本に移住。
 大きな犬にさえ自分から飛びかかり撃退してしまう勇者だった。
 水道の蛇口から直接水を飲むのが好きで、誰かがキッチンに立つとすかさず風呂場へ走り、おねだりのポ−ズをとった。
 オレが原稿を書いているときはひざのうえで眠り、
 ベッドで本を読んでいると胸のうえにのっかって眠った。
 妹が3歳の周二郎とかけつけてくれ、3人でお葬式をやる。
 死んだあともいっしょにいたいので書斎のまえの花壇に穴を掘ることにした。
 昼寝のポ−ズで硬直した体を横たえ、
 大好きなまぐろのそぼろと水をあげる。
 「また会おうね」となんどもくりかえしながら、
 素手であたたかい黒土をかける。
 また家族がひとりへってしまった。
 いや、カムイモシリで会える家族がひとりふえたのだ。
 淋しくはない。
 生きていても、
 死んでいても、
 オレたちはひとつだ。

 撮影 かんなぎたま

12 jun(thu)
14
planetary dog moon

 たくさんの方から弔メールをいただき、こんな幸せな猫も珍しいと思います。
 いくつかを匿名で紹介させてもらいます。

 A Oさん
チビ、この前に逢ったばかりなのでなんかヘンなかんじです…
わたしもチビの冥福をお祈りします。
コタツの脇で丸い猫団子状態になっていたあの姿は忘れません。
チビに出逢えてよかったです。

 M Nさん
チビの目のような優しい月がでています

 Y Kさん
朝、アキラさんからチビのことで電話があると思ってたんで、びっくりはしなかったけど、昨日、6時過ぎに会ったときは、もしかしたら、アキラさんが帰ってくるまで持たないかもって思ってたから、今朝、アキラさんに最初に触れてもらって嬉しかっただろうなぁって、チョットわたしも嬉しかったです。
おかしいけど・・。昨日、御水を指につけて飲ませようと思って、チビの口元にもっていっても、ぜんぜん飲もうとしなくて、飲めないんじゃなくて、飲まないのが分かったし、静かにアキラさんを待っいたから、チビの気持ちがアキラさんに届くから大丈夫!って思ってチビの側を離れたんだけど、やっぱり心配で階段のところで振り返ってチビを見てみたら、あまりの凛とした姿に、何だか安心しちゃったんです。
変ですよね、死んじゃう気がしてるチビを見て安心するなんて・・。何だかうまく言えないけど、チビは何でも知ってるんだってその時感じたんですよ。それと振り返って見たときのチビは、年よりに見えなかったんです、何だか若かった。チビ、今ごろ何してるんでしょうね!

 A Kさん
今日 久しぶりにホームページを見させてもらって そしたら丁度 ちび のお話で 思わずメールさせていただきました。
今まで あまりネコと遊んだことがなくて、AKIRAさんのお家で ネコちゃんたちに会って ネコ好きになったから。
実家のふうちゃん(犬)が血尿でるって聞いて すごく心配してた時だったから。
側にいることを求めがちだけど、それだけが大事じゃないんだって 思う。
いつも一緒に。

 Y Nさん
チビの死。
私もチビは、あぼじいの帰りを待っていたのだと思います。
たぶん、べてるの家の時からチビは死期を感じていたんでしょうね。
それでも猫の習性をムシして、死をあぼじいに知らせたチビにあぼじいへの愛情を感じます。
私もやっぱりさみしい。
絶対にチビを忘れない。

 Y Mさん
最後のにゃあは「ありがとう」だったと思います。
また絶対アキラさんのところに現れます。
チビにとってのアキラさんも愛しくてしょうがない存在
だったと思います。
涙出るけど、寂しくてしょうがないけど、
また会えます。
ネアリカン全員、またチビに会いたくってしょうがないからです。
「ちびーー、帰ってきてーーー」と思ってたらアッチ側から
「しょうがないにゃー」って来てくれます。
わがままかもしれないけれど。
でも、だから、元気だしてください。すみません
こんなことしかいえなくて。

 K Oさん
チビのことを、さっき聞きました。
とっても残念です。
あんなにカッコイイ顔のチビに会えたこと、絶対に忘れません。
もう会えないなんて、寂しいな。
コマは、元気にしていますか?心配しています。

 K Wさん
猫ちゃんが他界なさったとのこと…
ご愁傷様でございます。
うちにも、12歳になる雌猫がいます。ひとりきりでお留守番が
寂しかったようで、東京に戻った後はしばし離れませんでした。
AKIRAさんの猫ちゃんは、肉体を脱ぎ捨てることで、いつもAKIRAさんと
一緒にいられるようになって喜んでいると思いますよ、きっと。

 R Tさん
チビ、亡くなったのですね。
さびしいね。
偶然なのかもしれないけれど、いまは私の周りは「死」の月みたいで、
いろんな人が大事な存在を亡くして悲しんでいます。
こういうことも寄るのでしょうか……。

 K Sさん
チビの死、その鼓動が聞こえなくなっていること
の衝撃は、いかばかりかと、日記を拝見して心を凍らせています。
akiraさんの帰宅を待って、それから次の世界に旅立つ
チビ、そしてakiraさんのつながり。

 M Kさん
私の住んでいる団地の階段下の花壇は
他の階段の花壇より
それは緑豊かな木々や花が咲きます
桜の木は三階までとどき
春にはとても綺麗でした
今、紫陽花の花が色ずきはじめ
雨の季節のそれはとても素敵です
ゆすらんめの実は甘く
スイセンの香りやすずらんのかわいらしさや
つつじの蜜、オシロイバナの実で遊び
スミレやあやめチューリップ、どくだみ・・・
だれも手をかけない花壇なのに
どこの階段より豊かなんです

たくさんの小さな命が
帰った場所です
24年前初めて飼った
青いインコ
私の風邪が治った次の日に
帰っていきました
何匹のハムスターがモルモットが小鳥が
リス、かめ、金魚、すずむし、カブトムシ、クワガタetc・・・・・。
「また会おうね」「また会おうね」「また会おうね」
なんども なんども なんども なんども なんども
くりかえした さよならの 場所です

昨年の秋
この手の中で
大きく息をすい
コトリ・・・と死んでいった
小さな命の最後の温かいぬくもりを
思い出しました。(ナミダデガメンガユガンジャウナァ)

去年の冬
こたつで聴いた
水を飲む
バケツに落ちる水の音が
カタカタと
私の記憶にも生きています。(マタアオウネ)
ネアリカの最中いつのまにか
そっと隣で座り 一緒になにやら
考えてる姿がうかびます(マタアオウネ)

もう二度と繰返すもんか!と思う哀しみより
数倍の暖かいやさしさをくれる命に
寂しさはいらないですね
何時でもどんな時も会えるから
形はなくてもあえますからね♪

という訳で(?)
今晩はチビの旅立ちを祈りながら

13 jun(fri)
15
planetary dog moon

 小説現代(7月22日発売)の原稿も9割方仕上がったし、今日は新曲が浮かんだ。
 タイトルは「もしもぼくが死んだら」という。
 おいおい、ひくなよ。むっちゃ明るくておぼえやすいメロディー、超ポップポップ。結婚式の歌はたくさんあるけど、葬式ソングってないだろう?
 トトチョフやラ・キアーペの突然の死から学んだんだ。
 サムライみたいに「いつ死んでもいいように準備だけはしておこう」って

 自殺願望なんて鼻毛の白髪ほどもないから安心してね。
 スーパーカーや自家用ヘリまでもってる坊主に葬式なんかやってもらいたくねえし、心のこもらない10分のお経に20万円も払うなんてまっぴらだ。

 ついでに希望的遺言をここに書いておこう。

1 葬式は、野外でライブステージとたき火をかこんで、日没から日の出まで歌え踊れの大宴会。雨天結構、台風歓迎。
2 香典禁止。入場無料で酒とつまみは持ち込み。
3 死体処理について。
  第一候補 土葬で微生物の栄養になりたい。
  第二候補 ライブのたき火、または河原に薪を積んで燃やしてほしい。
  第三候補 火葬場で燃やされても、骨は墓に入れないで川か海か大地に蒔いてほしい。
4 何回忌とかはいっさいなしで、命日に騒ぎたい人が企画すればいい。
5 最後にこの歌を合唱する。

もしもぼくが死んだら
笑顔で見送ってちょうだい
涙は君に似合わない
泣き顔なんてしまんない
いやでもあの世で会えるから

もしもぼくが死んだら
川に流してやってちょうだい
墓石なんていらない
葬式なんてくだんない
墓場は丸ごと地球だから

Say see You again 今世はありがと
Say say see You again 来世もよろしく

もしもぼくが死んだら
みんなであざ笑ってちょうだい
最後まで救いようのない
こんなバカ見たことはない
陽気に飲んで歌ってちょうだい

もしもぼくが死んだら
「幸せもん」とねたんでちょうだい
後悔なんてはやんない
未練は鼻クソほどもない
なぜなら君に出会えたから

Say see You again 今世はありがと
Say say see You again 来世もよろしく

もしもぼくが死んだら
シカバネ踏み越えてってちょうだい
いけないとこはどこもない
やれないことはなにもない
そのまま 素のまま 我がままに

もしもぼくが死んだら
みんな仲良くやってちょうだい
憎しみなんてつづかない
わかりあえないはずはない
愛し合うために生きてるんだ

Say 少納言 春はあけぼの
Say 夷大将軍 アイヌネノアンアイヌ

Say see You again 今世はありがと
Say say see You again 来世もよろしく

Say see You again マジでありがと
Say say see You again んじゃまたよろしく

Adios amigos !

16 jun(mon)
18
planetary dog moon

 変な歌を書いたんで「AKIRA死亡説」が流れ、安否を確認するメールがけっこうきてしまった。ここに来る人って、あわて者多いな。ご心配なく。
 どっこい生きている。
 そんなことより、今までトップシークレットにしていたネアリカ最強の秘密兵器の登場である。
「DAISUKE KAGAWA !」
 日光ドームを揺るがす歓声に崩れそうになる我が家。
 そうダイスケはフランスのスケートボード会社「motivate design」のアーティストに抜擢され、8月16日〜31日まで福岡市の「・・・IAF SHOP gallery」で個展をおこなう。
 10枚目のネアリカは未来のスーパースターダイスケが下絵を描いてくれるのだ!
 「おまえは下絵まで他人に書かせるのか!」とか叱られそうだが、通常アーティストが下絵を他人にまかせることなどありえない。
 しかし逆である。
  これまでネアリカをやってきて、「他人に下絵をまかせるくらい、自信がついた」のだ。
 今回でネアリカは新しいステージに立った。
 これからはますます参加者の創作自由度が増すだろう。
  ふたりで新しいキャンバスを貼り、ダイスケは鉛筆で下絵を描きはじめる。
 なんの迷いもなく、生き生きとした線が魔法のように生まれていく。
 オレはあっけにとられながらも、新たな美の出産に立ち会えたことを感謝した。
 ダイスケがバイトしているレストランをやめ現在日光の「明治の館」で働いている由美ちゃんがかけつけ手伝ってくれる。
 これもまた不思議な縁である。
 では天才ダイスケの下絵をご鑑賞あれ。

17 jun(tue)
19
planetary dog moon

 午前中に東照宮にいってきたダイスケは、「トーショーギッシュ」な極彩色で毛糸を貼りはじめる。
 オレも負けじとサイケデリックな色彩で対抗する。
 これはダイスケvsネアリカ
 線vs色の戦いである。
 昨日あまりにも見事な下絵ができあがった段階で、線8割、色2割くらいのパワーバランスになるなと思っていたが、とんでもない。
 線によって囲われた領土を色彩が占領していくにつれ、予想もしない生き物に生まれ変わっていく。
 オレはすばらしい下絵をこんなに楽しくもてあそんでいいのかと自問しながらも、ドラえもんの塗り絵を36色のクレヨンでぐしゃぐしゃにする幼稚園児状態だ。
 なによりダイスケ本人が自分のスタイルを壊すことにちゅうちょしない。つーか自己破壊に快感を感じている。
 時間を忘れて没入した。
 線と色、
 創作と破壊、
 自我と滅我、
 餓死寸前の獣のように、
 禁断症状のジャンキーのように、
 無言のまま、
 未開の地平に横たわる宝を探しつづける。
 これは大失敗に終わるかも知れない。
 でも「あたりさわりのない成功」より、
 「偉大なる失敗」をオレは求めつづける。
 カッコつけすぎ?
 そーゆー性格なんだから、
 しょーがねえじゃん。

18 jun(wed)
20
planetary dog moon

 「もしもぼくが死んだら」を読んで、「早まらないで!」と早まった人もいたが、「自分の葬式を生きてる間に考えよう」というメールもいくつかきた。
 みんな自分の死なんて想像したくないし、めんどうくさい宿題は後まわししてきた。
 でもさ、君もいつかは死ぬんだぜ。
 生きてるうちに宿題を提出しておかないと、ハゲタカのような葬儀屋や坊主がむらがり300万円もの大金をむしり取っていく。
 自分が汗水流して働いた金が、税金も払わない坊主のフェラーリに消えていくのは腹立たしいじゃないか。
  300万円あれば、遺族がラーメンを6000杯食える(なぜかオレはラーメンを貨幣価値にしている)。
 30万から100万円もふんだくれる戒名料なんて、天国への裏口入学そのものじゃん。
 もともと仏教には葬式なんてないし、ブッダも「葬式なんかやってるヒマがあったら修行しろ」と言ってる。
 日本で火葬がポピュラーになったのは戦後だよ。
 現在日本人の99%は火葬だが、八王子、町田、相模原など市民火葬料金は無料だし、東京都でも2万〜4万円ほどだ。
 「荼毘(だび)にふす」っていうのは古ヒンドゥーの「ジャーピタ」からきてるが、インドではガンジス河に散骨するので墓がない。
  民俗学者の柳田国男は戦前から「いまのまま墓を造り続けていたら日本中が墓だらけになってしまう」と警告してるし、墓石は60万から200万円、墓場は200万から400万円、さらに高騰をつづけている。
 本来香典だって知り会いの家に死者が出たときに食べ物をもっていく「食料香典」がはじまりで、大正、昭和で「金銭香典」になった。香典返しなんてしたら「お返しがほしくてもってきたんじゃねえ」と村八分にされたそうだ。
 とにかく日本の葬式は、歪み、しがらみ、金がらみ。
 せっかくこの世のしがらみから解き放たれたんだから、すっきりシンプルに祝ってほしいもんだ。
 オレの友だちって貧乏人が多いんで香典もいらない。
 喪服ももってないだろうし、派手な服のほうがかっこいい。
 棺桶は家具職人のケンちゃんにコンパネ(680円X2枚)でつくってもらい、参加者に寄せ書きをマジックで書いてもらう。
 火葬が終わったら骨にメキシカン・アボカドディップをつけて食ってもらう(こりゃ変態っぽいのでやめよう)。
 けっこう自分の葬式の演出を考えるのって楽しいな。
 想像するだけで終わらせないで、企画書(遺言)を身内に提出しておこう。
 忘れちゃならないのは、葬式の中心にすえられる「イエィー!」(遺影)だ。
 すべてのアルバムをひっくり返し、とびきりの一枚を選んでおこう。プリクラの拡大もありだし、80歳のおじいちゃんが18歳のときの「イエィー!」を飾るのもオーケーだ。
 オレはこれがいいかな。

19 jun(thu)
21
planetary dog moon

 風は遊ぶ
 夕暮れの堤防を走る男の子
 すりむいたひざに固まりゆく葡萄色のカサブタに

 風は遊ぶ
 河原に蕗の皿を広げる女の子
 まっさらな砂利のご飯にかけられる泥んこカレーの湯気に

 風は遊ぶ
 塾をさぼってゲーセンにむかう少年
 なけなしの小銭を冷静に配分する紅潮した手のひらに

 風は遊ぶ
 ピンクのシェイバーを分解する少女
 鈍銀の刃をもと親友に投函する後ろ髪に

 風は遊ぶ
 大学の合コンで酔いつぶれた青年
 ぶざまな吐瀉物にたかった一匹のハエに


 風は遊ぶ
 オアフ島の教会でライスシャワーを浴びる花嫁
 誰も受け取れないように放ったブーケに

 風は遊ぶ
 砂漠に倒れ伏す兵士
 はりついた砂粒を汗が押し流すひたいに

 風は遊ぶ
 7階の屋上から身をのりだす主婦
 ふわっと宙を舞ったミフィーちゃんのエプロンに

 風は遊ぶ
 6メートルもの津波に呑みこまれる漁船
 理性などでは太刀打ちできない怒りに

 風は遊ぶ
 凪いだ波頭に散らばる光の宝石
 賞賛する者たちさえ沈めた海面に

 風は遊ぶ
 車いすを押す妻の名前さえ思い出せぬ夫
 ありがとうが言いたくて
  ふうっと吐き出すため息に

21 jun(sat)
23
planetary dog moon

 今日のネアリカンは、ミッシェル中山、ポール名取、DJ中田、ジョニー須藤。
 おめえらいったいなに人だ!
 日本人ならカタカナ名を使うな。「美死得」とか、「歩売」とか、「泥自営」とか、「叙二位」にすれば……許す。
 チャレンジャー美死得は小龍包だけにあきたらず、鴨肉のちまきと半透明の皮にくるんだエビ蒸しギョウザをつくった。神をも恐れぬ所業である。
 歩売と叙二位はトルコ、イラン、パキスタン、インド、タイを旅した仲間である。
 明日の奥日光パークマラソンに歩売と泥自営と叙二位が出場する。「森のなかをヒーリングラン」というサブタイトルで、5キロから20キロのコースを選べるという。
 しかし泥自営(オナラ多発症)は腰を痛め、コンビニで買ったぶっかき氷を背に巻き、へこへこ歩くのがやっとだ。
 残酷にも美死得は瀕死の泥自営を見て言った。
「その体型、カピバラに似てるー!」
 泥自営は戸惑う。
「カピバラってなに。過肥腹とか書くの?」
「ちがうわ、アマゾンにすむ世界最大のネズミよ」
「やだな、明日からカピバラって呼ばれそう」
「いいじゃない、世界一よ」
「そうか……世界一かあ」
  泥自営はおびえるように訊いた。
「カビバラは走れるか?」
「走れるよう、ネズミだもん」美死得が少女漫画的な目を輝かせる。
「おれ、明日走るよう! カピバラの名に恥じないように走るよう!」
  燃える青春に立ち上がる泥自営は、激痛に崩れ落ちる。
「たとえ……はいつくばってでも」
 明日の結果が楽しみである。

PS 明日は夏至、一年でもっとも夜が短くなる日である。
 省エネを訴える環境省の呼びかけにより全国2000カ所がライトダウンされる。札幌の時計台、東京タワー、大阪城、沖縄の首里城など全国のライトアップスポットの照明がいっせいに消されるのだ。
 友人たちが呼びかけ人になった「100万人のキャンドルナイト」では、人工衛星から見た日本がどれだけ暗くなるかが中継され、電気を使わないイベントが紹介されている。このイベントは世界中に伝播していくと思う。
 もう一度闇をとりもどそう。
 いい、明日の夜8時から10時までの2時間はろうそくですごしてみようぜ。
 電子レンジとオーブントースターをいっしょに使ってしまいヒューズがとんだときみたいに。家中の電気をぜんぶ消すんだ。冷蔵庫も2時間くらいだいじょうぶだよ。
 1864年にマクスウェルが電磁波に関するマクスウェルの方程式を発見し、1867年に 直流自励式発電機が発明され、1876年にヤプロチコフが電気ロウソクを発明し、1879年にエジソンが白熱電球の発明した。
 生まれたときから電気があるのがあたりまえな生活をしてきたオレたちだが、人類700万年の歴史で電気を使っているのはたった120年だぜ(金にたとえると、7000000円と120円)。
 オレも異国やキャンプ生活で電気のない夜は体験してるけど、
 闇ほど豊かなものはない。
 くりかえすが、明日の夜8時から10時までの2時間。
 闇で会いましょう。

22 jun(sun)
24
planetary dog moon

 今日のネアリカンは、アマゾン帰りのビコ、娘のネオ、友人のジャン・クリストフ、8回目のベテラン瑞穂、その友人スミちゃんとカナコちゃん夫婦である。料理部長ミッシェルは玄米雑穀海鮮ちらしをつくってくれた。
 スミちゃんはホームページのデザイナーであり、ミュージシャンでもあり、旅人である。
 カナコちゃんは青森出身で三内丸山古墳にもとあった中学校に通っていた。そこらへんの畑から土器などの破片がごろごろ出て、よく壊して遊んでいたという。「人類の遺産を破壊していたのはわたしです」とファンキーに笑う。
 ジャン・クリストフはロマン・ロランの本からとったジョークと思いきや本名である。
  日本在住15年のフランス人で、合気道4段の先生なのだ。ロマン・ロランのジャン・クリストフは信念に生きる強情者だが、合気道のジャンは飄々とすべてを受け入れる禅僧のような達人であった。
 ほとんどすべての達人に共通する要素として、「若いときは不良」というのがある。ジャンは気化したガソリンをシンナーのように吸引してトリップしていたという。
 小学校5年生のネオちゃんがホームページをつくった。「米粒ダイエット」や「マニュキアをはがす裏技」、学校メイクのコツなど、びっくりの内容である。
 ビコはアマゾンのジャングルに2ヶ月間こもり、アヤワスカをほとんど毎日飲みつづけた。語り尽くせぬほどたくさんのビジョンを見たが、最終的にいきついたのは「感謝」だったという。
 たとえどんなに無様な人生だろうと、生きているということは奇跡である。
 そんな陳腐な言葉をアヤワスカは実感として教えてくれる。


PS 昨日の「100万人のキャンドルナイト」は、なかなか好評だったようだ。
 オレは8時の電車でネアリカンが帰ったあと、ひとりろうそくを灯した。パソコンもCDプレーヤーも使えないし、「電気なしでなにができるか」考える。絵を描くには暗いし、文章もパソコンがないとやりにくい。けっきょくギターを弾きながら歌をつくった。
 やはり闇はイマジネーションをはばたかせるんだなあ。

23 jun(mon)
25
planetary dog moon

 ネアリカは、この3日間で17人(オレを入れて)の大躍進である。あと一回で本体を貼り終えそうな勢いだ。
 とくに今日は、27回目のとっちゃん、9回目のちーぼー、5回目のハルカちゃんがおり、ミカちゃんとイサくんが初参加してくれた。
  ミカちゃんは、フリーでテレビの編集をやっている。「ブロードキャスター」、「ガチンコ」、「どっちの料理ショー」などは、ミカちゃんが切り捨てたり、つなぎ合わせた作品をみんな見ているのだ。さすがバランス感覚の妙技。左端のパートが中央につながる部分を見事に橋渡ししてくれる。
 イサくんは、前日宇都宮で開かれた「第一回とちぎアディクションフォーラム」において250人の観衆の前でひきこもりに関するスピーチをした。
 「アディクション」とは生活に支障をきたす病的な習慣のことで、アルコール中毒や摂食障害、ドラッグからパチンコまで、さまざまな依存症をさす。
 現在30歳のイサくんは、引きこもり歴9年の大ベテランである。
 21歳のとき自動車免許の合宿(8人部屋で20日間)がきっかけで、対人関係に自信を失う。バイト先でも人と会話できず、自己否定をくりかえし、飲み会でも雑談できず固まってしまう。自分を支配しようとする父との関係に苦しみ、「お父さんを乗り越えられないよ」と卒倒する。1年前はじめて父に感情をぶつけた。
「あんたがおれを壊したんだ!」
 以来父がひきこもりを理解してくれるようになり、いっしょにクリニックにいくと「あなたといっしょにお父さんにも変わってもらいましょう」と言われた。
 イサくんはふたりの医師のもとで回復にむかう。
 内科臨床医であり写真家である井上冬彦さんと精神科医でありアル中の関口宏さんだ。
 イサくんはランディさんのファンであり、井上さんはランディさんの友だちである。関口さんが院長をつとめる烏山病院や文庫こころとからだのクリニックでもネアリカをはじめているという。いろんな縁がめぐりめぐってイサちゃんをひきこもりから連れ出した。
 なんだかうちも関口クリニックの分院みたくなってきたなあ。
 イサちゃんもいっしょにワイワイ笑いながらネアリカを楽しんだ。
 みんながそれぞれ好き勝手な色を貼りながら、響きあい、育みあって、豊かな調和をつくりだす。
 「変容(トランス)のカムイ」は未来の縮図のような気がしてきた。

25 jun(wed)
27
planetary dog moon

 たまたまはいったプリント屋の本棚に古いマンガのコレクションがあった。
 永島慎二、村野守美、川本コオ、青柳祐介、上村一夫、真崎守など、60年代後半から70年代を代表するコアな作家たちだ。
 「必ず返しますから」とたのみこみ、溺読した。
 オレより1世代まえの人たちの無垢で傷つきやすい感性が伝わってくる。
 当時の若者は学生運動に身を投じたり、「フーテン」や「ヒッピー」になってドロップアウトした。
 社会に反抗したヒッピーもいっせいに消え、今では団塊の世代として逆に若者を縛りつけている。
 オレはヒッピー世代の残りカスであり、「don't believe hippy」(ヒッピーを信じるな)というパンク世代でもある。

ヒッピー
パンク
世代
60〜70年代
80年代
音楽
グレイトフル・デッド、
ジョップリン、
ヘンドリックス、
ピストルズ、
クラッシュ、
ディスチャージ、
ドラッグ
LSD
コカイン、ヘロイン
文学
ハックスレー、
カスタネダ、
バローズ、
アッカー、
サイケデリック
モノトーン

 オレがアメリカに渡った80年代はヒッピーなど消えていた。
  「今どきヒッチハイクで全米をさまよってるは、おまえくらいのもんだ」と乗せてくれたドライバーに笑われたもんだ。
 80年代の孤独な「ひとりヒッピー」は、団体行動の嫌いなオレらしい。もしヒッピー全盛の時代に生きていたら、反抗して「模範サラリーマン」になってたかも知れないしな。
 ついでに80年代初頭に火がついたレゲエとヒップホップとノイズの影響も受けている。さながらごった煮の鍋である。
 流行やファッションで反抗を演じる者たちは引き際よく引退し、天の邪鬼だけが永遠に抗いつづける。
 世代なんかじゃなくて、そういう「種族」なんじゃねえの。
 こんな駄文を読んでる君も「天の邪鬼遺伝子」を引き継いでるな。

 PS1 人気ホームページ「電脳風月堂」を主催するジュンさんから新宿ロフトプラスワンへの出演以来があった。オールドヒッピーたちの話が聞けるのが楽しみだ。9月14日(日)なので、近づいたらまた告知するね。

 PS2 
新婚旅行で広島からネアリカに参加してくれた小林春駒さんが、ウェブTVに熱いエッセイを書いてくれました。

26 jun(thu)
28
planetary dog moon

 今日のネアリカンは、6回目のえみさんだ。
 右上の本体部分を完成させてくれた。思いっきりサイケデリックな色彩で「変容のカムイ」がトランス・フォームしていく。
 えみさん自身も意識の変容をめざして退行催眠を受けている。
 アメリカで前世療法を学んだ日本人医師のクリニックに、月一回のペースで5ヶ月ほどかよっている。
 催眠というと、完全に意識を失ってしまうのかと思いきや、そうでもないという。ちゃんと日常の意識も目覚めていて、部屋の物音なども聞こえる。観察者の自分と被験者の自分がいるのだ(これは幻覚剤を飲んだときも同じだ。たとえばトイレにいくときなどは通常の意識にもどせる)。
 催眠中はさまざまなビジョンを見る。
 石畳の街にいる(おそらく中世ヨーロッパ)少年兵士……両親と車(今でいうクラシックカー)にのっている女の子……母親の胎内にいる赤ちゃん……一面の青紫が黒に呑みこまれていくビジョンなど。1回1時間のセッションのうち、いくつかのビジョンを断片的に見る。
 前世療法に関する本を読むと劇的な変化を期待してしまうが、あれは何百の症例の中から厳選されたもっともドラマチックな例たちである。
 オレも前世を知りたいが、今は切実な問題をかかえていないので劇的な変化は望めないだろう。
 やっぱオレごときは、昼寝のときに見る白昼夢で満足してたほうがいいのかも。

27 jun(金)
1 cosmic turtle
moon

 マヤ暦で最後の「宇宙の月」にはいった。
 テーマは「私の歓びと愛をどのように広げるか?」。
 キーワードは、「越える」、「持ちこたえる」、「存在」。
 アドバイスは、「1年間の行為や体験をまとめあげ、来年にむけて新たに刷新していくとき。やり残したことがあれば完成させ、目の前の仕事に専念して、現在の状況を持ちこたえる」

 1年の終わりであり、正月でもある7月25日には富士山の山頂で大いなる祭りが開かれる予定だったが、中止になってしまった。メキシコでお世話になったウイチョルのシャーマン、ドン・パンチョもくるはずだったが、ちと残念である。しかしこんなイベントもある。せっかくの機会なのでネアリカンも必見だよ。

メキシカンアート「ウィチョール族の世界」
”神々とともに歩むメキシコ先住民族ウィチョール、その神話世界を極彩色のビーズと毛糸で紡ぎ出す”

日時 7月1日(火)〜19日(土) 11:00〜19:00
場所 Gallaly HASEGAWA
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前1-19-5 TEL:03-3423-8357
http://www.hasegawa-jp.com/
info@hasegawa-jp.com
JR山手線・原宿駅(竹下口)より徒歩1分営団
地下鉄千代田線・明治神宮前駅より徒歩3分

 年末に出版予定のメキシコの旅行記「神の肉(テオナナカトル)」に没頭している。
 旅行記はお手の物だと思っていたが、深く突っ込めば突っ込むほど言葉を選びあぐねてしまう。
 いい作品というのは危険なバランスの上に成り立っている。
 たとえば、

 1 ガラス窓がある。
 2 何者かが石を投げつけ、粉々に砕け散る。
 3 アスファルトに散乱するガラス片。

 1のようにただ安定しているものは退屈だ。3のようにバラバラになってもやがて飽きられてしまう。
 2の状態を封じ込める奇跡を永遠につづけなければいけない。
 狂気の一歩手前で踏みとどまる強靱な精神、
 共通言語という虹を決して放棄しない覚悟、
 自分を明け渡し世界を丸ごと畏敬する謙虚さ、
 創作の闇をのぞき込むたび、
 恐れ、
 おののき、
 逃げ出したくなる。
 それでも「越え」、
 「持ちこたえ」、
 「存在」しなければならない。
 自分のなかの何者かがあざ笑う。
 おまえはもう、ここでしか生きられないのだと。  

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